WD Red Pro(4Tバイトモデル)のスペックを、WD Redと比較する形で表に掲載した。ここからも、WD Red Proの信頼性を最重視した設計思想が見てとれる。まず、プラッタ1枚あたりの容量の違いに注目したい。プラッタ1枚あたりの容量は、多ければ多いほど速度面では有利だが、信頼性を考えるとデメリットもある。
製品名 | WD Red Pro | WD Red |
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製品型番 | WD4001FFSX | WD40FERX |
インターフェイス | Serial ATA 6Gbps | Serial ATA 6Gbps |
パフォーマンス | ||
データ転送レート | 171MB/s | 150MB/s |
キャッシュ容量 | 64MB | 64MB |
回転速度 | 7200rpm | Intelli Power |
プラッタあたりの容量 | 800GB | 1.2TB |
電力仕様 | ||
読み取り/書き込み時消費電力 | 8.6W | 4.5W |
アイドル時消費電力 | 6.5W | 3.3W |
スタンバイ/スリープ時消費電力 | 0.6W | 0.4W |
使用環境 | ||
動作時温度 | 5〜60℃ | 0〜65℃ |
非動作時温度 | -40〜70℃ | -40〜70℃ |
動作時耐衝撃性(2ms、読み取り/書き込み) | 30Gs | 30Gs |
動作時耐衝撃性(2ms、読み取り) | 65Gs | 65Gs |
非動作時耐衝撃性(2ms) | 250Gs | 250Gs |
アイドル時動作音 | 31dB | 25dB |
シーク時動作音(平均) | 34dB | 28dB |
信頼性 | ||
ロード/アンロードサイクル | 60万回 | 60万回 |
ビット読み取りあたりの回復不可能な読み取りエラー | 1/1014以下 | 1/1014以下 |
MTBF(平均故障間隔) | 100万時間 | 100万時間 |
その他 | StableTrac、3D Active Balance+、ハードウェアベース振動補償、デュアルアクチュエータ、時限エラー訂正(TLER)、全数拡張バーンインテスト | StableTrac(※5TB以上のモデルのみ)、3D Active Balance+ |
ファームウェア | NASware 3.0 | NASware 3.0 |
製品保証 | 5年間 | 3年間 |
磁気記録による高密度記録は、これまでも何度も限界と言われつつ、そのたびに技術革新によりその限界を突破して向上してきたわけだが、信号処理、エラー訂正も含めて、技術的にシビアな部分であることは間違いない。同じ世代であえて比較すれば、記録密度は低いほうが、シビアな条件でもデータ保持がしやすく、エラー訂正の頻度も少ない、安定感のある読み書きが可能だ。
もちろん、実際に製品に導入されている以上は高記録密度であっても通常利用時に問題になることはないのだが、高温や振動など、シビアな条件下では、そういう原理的な差も表面化してくる。WD Red Proの1プラッタあたり800Gバイトというのは、現行世代の技術からすればかなり余裕があり、高負荷環境下を想定して信頼性のマージンを大きくとっていると考えることができる。
プラッタ1枚あたりの容量が少ないと1回転あたりに読み取れるデータ量は少なくなるため、同一回転速度においてはデータ転送速度で不利になるが、WD Red Proのプラッタ回転速度は7200rpmと高速なため、データ転送レートでもWD Redよりも高くなっている。
WD Redと同様に、NASシステムに最適化されたファームウェア「NASware 3.0」が導入されており、NASシステム最適な性能と信頼性が確保されている。温度耐性、振動耐性など、それぞれの要素はよりシビアな条件での利用を想定したものとなっている。
そのため、マルチ軸センサーで振動を検知してリアルタイムに補正する「ハードウェアベース振動補償(Hardware based vibration compensation)」、モーターシャフトを両端で固定して振動を削減することでプラッタの安定性を向上させる「StableTrac」、アクチュエータ(ヘッド/アームの制御部品)のデュアル化でヘッドの位置決め精度を向上させた「Dual Actuator Technology」など、ハードウェアの裏付けを必要とするさまざまな装備が加わっている。
さらに、RAID環境での利用を想定し、RAIDコントローラのタイムアウト時間を考慮した時限エラー訂正機能「TLER(Time-Limited Error Recovery)」にも対応する。
なお、すべてのWD Red Proドライブは、8〜16台NASシステムの高負荷状況を想定して温度範囲を拡張したバーンインテストを行なって出荷されているという。保証期間もWD Redの3年間に対し、5年間と長期間を保証する。
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