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「Surface 3」の日本版LTEモデルを速攻レビュー本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/3 ページ)

» 2015年06月01日 16時30分 公開
[本田雅一ITmedia]

いち早く入手した「Surface 3」の日本販売モデルを試す

 去る5日19日、日本でも「Surface 3」が発表された。昨年発売されて好評を得た「Surafce Pro 3」と同等の機能性や使い勝手を実現しながらも、大幅な小型・軽量化を果たしたモデルだ。6月19日の発売時はWindows 8.1 Updateがインストールされるが、大きく改良が行われているWindows 10の投入を見据えた、今後のWindows PCが進む方向を照らす製品として期待されている。

筆者が試用した「Surface 3」の日本版LTEモデル

 その一方でSurface 3には発売前から辛辣(しんらつ)な声も多数浴びせられている。中でも多いのがプロセッサパフォーマンスの不足だ。実際に発売されていない製品の性能が低すぎると批判される理由は、搭載するプロセッサがAtomブランドだからだ。

 確かにパフォーマンス面において、Atomプロセッサのデビューは散々だったと言える。省電力化によって従来に比べはるかにコンパクトなWindows PCを実現できた一方で、パワフルなIntelプロセッサのシステムを前提に設計された当時のWindowsでは、応答性のよくない端末になってしまったからだ。

 しかし現在のAtomプロセッサは当時から比べると格段に進歩した。CPUの強化に対してGPUの弱さが目立っていたものの、Surface 3が採用するAtom x7ではその点も強化されている。さらにはTurboモードのクロック周波数も上がった。Surface Pro 3に使われたCore i3の80%程度のパフォーマンスが出るというのが、Microsoftの主張だ。

 さて、この主張、そして来日した製品担当が語った「Atom x7向けにWindowsが最適化されている」というコメントの成果は、使用感にまで及ぶものなのだろうか?

 Surface 3の機能に関しては、LTEが内蔵されたことを除けばSurface Pro 3に準じているため、大幅な軽量化が行われていること、小型化されていること、画面サイズが小さくなったことに合わせて画素数が変化していること(画素密度はほぼ同じ)といった要素はあるが、それらはおおよそスペックを見れば想像できると思う。

 今回の「ファーストルック」では、スペックよりも使用感や購入決定時に知っておきたいと思われるいくつかの情報にフォーカスするとともに、製品発表時に広がったウワサや製品販売面で詳細が見えていない部分についても、その後の取材で判明した情報でフォローアップしておきたい。

まずは分かりにくいLTEモデルの仕様を整理する

 まず、Surface 3が発表されてから、いくつか出ている「ウワサ」について確認をしておくことにしよう。

 筆者自身、知人に直接尋ねられて驚いたのだが、なぜかSurface 3のLTEモデルにWi-Fiが搭載されていないというウワサが根強く伝えられているようだ。発売当初はWi-Fiモデルが個人向けのラインアップとして用意されず、LTEモデルしか発売されないという話が変質して伝わったのだろう。

 ここで言うWi-Fiモデルとは、Wi-Fiのみしかネットワーク通信機能を持たないバージョンという意味だ。LTEモデルとはそのWi-FiモデルにLTE通信機能を追加したもので、当然、Wi-Fiも利用できる。

LTEの接続も、Wi-Fiの接続も、Windows 8.1のチャームメニューから表示するネットワークの設定で行う。当然ながらLTEモデルであっても、Wi-Fi接続は可能だ

 また内蔵するLTEモデムだが、Atomを使ったスマートフォンなどにも使われているIntel製のモデムで、グローバル版との差異はないという。グローバル版のモデムがサポートするLTEバンドのうち、日本で使われているものはBand 1(2.1GHz)、Band 3(1.7GHz)、Band 8(900MHz)しかない。

 発表会場でソフトバンクモバイルの担当役員が「Band 1、3、8しかTELEC申請をしていない」と発言していたが、他のバンドを搭載していないという意味ではないという。日本版とグローバル版の差異はなく、またSIMロックやSIMの違いによる機能制限などは加えられていないため、例えば海外でSIMカードだけを入手してつなげる場合は、他のバンドでもつながると話していた(動作確認はしていないというが)。

 ただし、ワイモバイル、日本マイクロソフトともに販売ページには上記3つのLTEバンドのほか、3G(W-CDMA)としてBand 1(2.1GHz)、8(900MHz)の対応が記載されているのみで、他のバンドに関しては公開されていない。加えて日本の販売が先行しているため、グローバルモデルのモデム仕様が把握できないのも混乱の原因だろう。

 日本マイクロソフトに追加取材したところ、海外での対応バンドはLTEがBand 1(2.1GHz)、3(1.7GHz)、7(2.6GHz)、8(900MHz)、20(800MHz)、3GがBand 1(2.1GHz)、2(1.9GHz)、5(850MHz)、8(900MHz)になるという。今後は、より消費者に分かりやすい情報の開示を求めたい。

Microsoftが明らかにしたSurface 3日本版LTEモデルの対応周波数一覧

 なお、マイクロソフト製のスマートフォン(Lumiaシリーズ)もBand 1(2.1GHz)、3(1.7GHz)、8(900MHz)のほか、7(2.6GHz)と20(800MHz)に対応している。Band 1(2.1GHz)、3(1.7GHz)、8(900MHz)はグローバルで広く使われている周波数帯として、ほとんどの端末でサポートされているもので、ウワサにあるようなワイモバイル向けに特別に仕立てられたハードウェアというわけではないことは留意すべきだろう。

 ただし、相互接続テスト(IOT)に関しては、現時点でソフトバンクモバイルのネットワークとのみ行われている。3Gの方式が異なるKDDIはさておくとして、NTTドコモのネットワークとは接続可能だ。ドコモへの周波数割り当てはBand 1が広いことに加え、東名阪地区ではバンド3の整備も進んでいる。

Surface 3とワイモバイル通信契約のセットは強制されていない

 次に製品販売および卸に関して誤解されやすいのが、現時点で個人向けモデルはワイモバイルのみが扱っている一方、Surface 3の販売とワイモバイルの通信契約は、セットが強制されているわけではないということだ。

 ワイモバイルは月額基本料3カ月無料、Surface Pen無償プレゼント、Surface 3専用となる月7Gバイト(3日間1Gバイト制限なし)のデータ通信プランを3年間月額3696円で提供するといったお得プランを用意。さらには(通信契約が条件だが)無利息での割賦販売、ワイモバイルのスマートフォン契約に対して通信容量を共有する(基本料金追加不要)といった施策も行う。

 しかし、これらはワイモバイルがSurface 3の販売促進で提供しているもので、Surface 3の購入条件ではない。例えばMicrosoftストアで注文したSurface 3や、一括払いで購入したワイモバイル扱いのSurface 3は、もちろん通信契約なしで入手できる。この辺りは、携帯電話キャリア扱いのスマートフォンなどとは異なる。

 お得な価格設定にはしているが、端末そのものは純粋に流通として取り扱っているということだ。このため量販店での扱いも、ワイモバイルの販売コーナーが用いられることになるが、SIMフリーの一般端末と同じように購入することも可能なわけだ。

「Surface 3」の日本版LTEモデルはSIMロックフリー仕様となっており、Type Coverを接続する下面にNano SIMスロットが配置されている
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