ここまでアップルのスペシャルイベントで紹介された「Apple Watch」と「iPad Pro」を順に見てきた。
特集第3回では「Apple TV」を解説していこう。新たにiOSベースの「tvOS」を搭載することで何ができるようになり、「テレビの未来」をどう変えていくのだろうか。
これまでアップル製品では、ややメインストリームから外れた存在だった「Apple TV」も、今回の発表で主役級に格上げされた。
見た目は、これまでのApple TVの高さだけ増したような形なのだが、できることがまったく違う。キモはSiri Remoteと名付けられた新しいリモコンだ。このリモコンを使うことでiPhoneで慣れ親しんだタッチ操作がテレビにやってくる。
名前の通り、Siriも積極的に活用しており、本体のSiriボタンを押しながら英語で「面白い番組を見せて」や「誰それが出ている番組だけに絞り込んで」などと命令すると、iTunes Storeにある膨大な映画やテレビ番組から該当するものだけが絞り込まれて表示される(発売段階では日本を含む8カ国に対応。ただし、日本語にどの程度対応しているかは現時点で不明)。
リモコンの上部にはクリックも可能なタッチセンサーがついており、これを使って映像の早送りや巻き戻しもかなり狙ったところピッタリで止めることができる。
さらにHDMI CECという規格に対応したテレビであれば、特別な設定なしでテレビの音量もSiri Remoteから制御可能になる(対応していないテレビでは赤外線で制御する)。
Siriが応じてくれる要求の幅はかなり広く、「今、なんて言ったか聞き逃したからもう1回再生して」などと命令すると数秒だけ巻き戻して字幕付きで再生してくれる、といった配慮もしっかり組み込まれている。
対応しているのは何もコンテンツ関係の情報だけではなく「東京の天気は?」などと聞くと画面の下に天気予報の情報が表示される。この状態でリモコンのタッチ部分を下から上にスワイプすると、再生していた番組が一時停止されて1週間の天気が表示される。
ここまででも十分便利だが、何といっても大きな変化がApple TVのOSがiOSベースの新OS、「tvOS」になり、App Storeが用意されたことだ。Siri Remoteを使ってApp Storeを開き、iPhoneやiPadと同じ感覚でアプリを購入して楽しむことができる。
例えば、レーシングゲームであれば、Siri Remoteに加速度センサーやジャイロセンサーが組み込まれているのでリモコンを傾けて操作ができる。また、iPhoneなどをWi-Fi接続のコントローラーとして使うことも可能だ。
イベントではニワトリを操作して車通りの激しい道路を横断させる「Crossy Road」というゲーム(HIPSTER WHALE社)が紹介され、対戦する様子のデモがあったが、実はこの対戦の時、プレイヤーのひとりはiPhoneを使ってプレイをしていた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.