Windows 10プレビュー版に加わった新しい更新設定「Release Preview」とは?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2016年02月15日 08時00分 公開
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ユーザーによって更新タイミングを区分けしたWindows 10

 過去の連載でも何度か解説しているが、Windows 10ではユーザーを何種類かのグループに分け、開発されたばかりの最新ビルドが順番に各グループへ伝搬していくというアプローチを採っている。つまり、ユーザーグループによってWindows Updateの更新内容や更新タイミングが異なる。

Windows 10 Windows 10。画面はWindows 10初の大型アップデート「Threshold 2(TH2)」こと「November Update(1511)」を適用した後のもの

 具体的には、Microsoft社内を中心とした内部でのテストが目的の「Internal Ring」、次にWindows Insider Programに登録して「Windows 10 Insider Preview」の名称で最新ビルドを受け取る「Fast Ring」と「Slow Ring」、その後は一般ユーザーを対象にした「Current Branch(CB)」、そして企業向けの「Current Branch for Business(CBB)」となる。

 表立った問題がないと判断された最新ビルドはまずInternal Ringに公開され、このうちの選別されたものがFast Ringに配信され、そこからさらに選別が行われたものがやや遅れてSlow Ringへと到達する。そして年に2〜3回程度、この最新ビルドでも一定のマイルストーンを達成したと判断されたものがCBへと配信され、一定の移行期間をもってCBBにも提供となる。こうして、Windows 10プラットフォーム全体が最新状態に保たれることになるわけだ。

Windows 10におけるWindows Updateプロセス Windows 10のアップデートは、複数あるブランチ(グループ)に対し、Windows Updateを通じて段階的に最新ビルドを提供していく
Windows 10のアップデート提供モデル Windows 10のアップデート提供モデル。一般ユーザー向けのCB、企業向けのCBB、さらに企業向けで固定環境での利用を想定したLTSBなど、対象に応じてWindows Updateに複数のモデルが用意されている

 このうち、Windows Insider Programの中でも従来のFast RingとSlow Ringは「若干の配信ラグがある」程度でそれほど大きな差はなかったが、「TH2」こと「November Update(1511)」の配信が開始され、最初のWindows 10 Insider Previewが配られた2015年12月にMicrosoft側で運用ルール変更に関するアナウンスがあり、両者の区分がより明確化された。

 Slow Ringについて大きな変化はないが、Fast Ringはより高頻度に最新ビルドが配布されるようになり、Internal Ringの配信ペースに近づけることでWindows Insider Proguram参加者らをWindows 10の開発により積極的に参加させる狙いがあるようだ。

 一方でFast Ringではテストが不十分なビルドが配信されてくる可能性があるため、少しでも問題を回避したいと考えるユーザーには、Slow Ringの選択を同社では推奨している。Microsoftが公開しているデータによれば、ソフトウェア開発者のカテゴリではユーザーの3割近くがWindows Insider Programに参加しているとのことで、フィードバックを返しつつ、早期に最新機能や変更に触れることで、自身の開発作業に役立てていこうという考えがうかがえる。

Windows 10 Insider Previewの「Release Preview」とは?

 それでは、こうした状況で登場した「Release Preview」とはどのような位置付けなのだろうか。前述のように、Fast RingとSlow Ringには開発者向けビルドがほぼ直接降りてくるため(「Development Branch」と呼ばれるグループに属する)、そのビルド番号は一般ユーザーが利用しているCB(現在は「Build 10586.xxx」)より新しいもの(現在はFast Ringで「Build 14257」)となる。つまり、内部的にはCBと異なる。

 Microsoftが2月10日に発表した内容によれば、新たに追加されるRelease Previewは「CBユーザーが最新のアップデートやドライバへ早期アクセスするのに最適なもの」ということで、ビルド番号がCBと同じで安定性の高い状態のOSでありながら、各種アップデートのみを先行して試すことができる。Insider Hubアプリを使って各種リソースにアクセスしたり、フィードバックを返す機能を使える点も特徴だ。

Release Preview 「Release Preview」は、従来の開発者向けブランチ(Development Branch)とは異なるCurrent Branch(CB)でありながら、最新アップデートをテストできる

 Microsoftによれば、数週間内にもRelease Previewが利用可能になるとしているが、筆者の環境では既に選択可能だ。「設定」アプリの「更新とセキュリティ」から「Windows Update」タブを選択して「詳細オプション」を開くと、「Insider Previewビルドの入手」という項目があり(Windows Insider Programに参加している場合)、ここでスライドバーを動かすと右端から順番に「Fast Ring」→「Slow Ring」→「Release Preview」となっている。

Windows 10 Insider ProgramのRelease Preview設定 Windows 10 Insider Programでは既にRelease Previewを選択可能だ

 Release Preview選択時にどの程度の頻度でアップデートが提供されるのかなど、現時点では不明点も多いが、Fast RingやSlow Ringで積極的に最新ビルドを試したいわけではないものの、Windows Insider Programには参加していたいというユーザーは、取りあえず選択してみる価値はありそうだ。

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