ポケモンGOの隠れたルーツ「Field Trip」を知っていますか?ITはみ出しコラム

» 2016年07月30日 06時00分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 「ポケモンGO」の人気は衰えません。米企業の業績発表ラッシュとなった今週も、米Appleのティム・クックCEO米Facebookのマーク・ザッカーバーグCEO米Googleのスンダー・ピチャイCEOがそれぞれ、業績発表後の電話会見でこのゲームについてコメントするほど盛り上がっています。

 hanke 0 日本でも社会現象となっている「ポケモンGO」

 ポケモンGO誕生のきっかけは、Googleが2014年のエイプリルフールネタに発表した「Googleマップポケモンチャレンジ」だったという話は結構有名です。

 それでは、任天堂に話を持ち掛けてポケモンGOの開発を行った米Niantic(ナイアンティック)のジョン・ハンケCEOとはどういう人物で、いつからこの「外を歩き回る+AR(拡張現実)技術」というゲームを作ろうと思ったのでしょうか。

 hanke 1 Nianticのジョン・ハンケCEO

 ハンケさんのLinkedInによると、テキサス大学卒業後、カリフォルニア大学バークリー校でMBAを取ってから、1996年に3DO(松下電器がかつて販売したゲーム機のライセンス供給元!)へ入社し、2年席を置いた後、2つばかり企業を立ち上げました。その2つ目の企業であるKeyholeが2004年にGoogleへ買収されて、Googleの人になったという経緯です。

 このKeyholeという会社は、衛星+航空撮影で集めた画像を地図情報としてデータベース化し、企業や一般ユーザーに販売していました。そうです、これこそがGoogle Earthのオリジナルです。ハンケさんはどうやら、ゲームと地図が好きみたいですね(実はCIAのエージェントなんじゃないかという、Ingressユーザーなら妙に納得するうわさもありますが、どうでしょう)。

 そんなわけで、Google入りしてからもしばらくは、Google Earth、Google Maps、ストリートビューなどを担当する副社長を務めていました。

 Googleでは「こういうことやりたい!」という社内ベンチャーが(少なくとも当時は)奨励されていたので、ハンケさんはARの何かをやりたいと願い出て、2011年に社内ベンチャーのNiantic Labsを立ち上げました。

 Niantic Labsでは2012年11月に、AR対応の位置情報ゲーム「Ingress」をリリースしました。でも実はその数カ月前に、もう1つアプリをリリースしています。

 知る人ぞ知る「Field Trip」です。

 今でもデモ動画にじーんときて記事を書いたのを覚えています(今でも自分の2代前のAndroid端末にこのアプリが入っています)。


 仕事が忙しくてろくに外を歩かないようなちょっと疲れた感じのビジネスマンが、ふと窓の外を見ると、そこには双眼鏡を下げた少年が……。誘われるようにして一緒に街の探検を始めるというストーリーが、デモ動画では流れます。

 このField Tripは、GPSをオンにして街を歩き、登録されている街の名所やショップに近づくとプッシュ通知が表示され、ヘッドフォンをしていればその場所の解説もしてくれるという、当時は画期的なアプリでした(ほとんど話題にならなかったけど)。

 これも当時はめずらしいクラウドソーシングで、ユーザーは自分で名所旧跡を登録できました。ARアプリではないですが、デモ動画の紹介はまるでARです。

 hanke 2 Field Tripのデモ動画より。まるでARみたいです

 リリース時期からみて、Niantic LabsはField TripとIngressをほぼ同時に開発していたのだと思いますが、Ingressの人気が高まったので、そちらにシフトしちゃったようです。Google Glassと組み合わせれば、これはこれで(Glassともども)もう少し人気が出たかもしれないのに残念でなりません。

 その後、Niantic LabsはGoogleからスピンアウトし、Nianticになりました(Googleは今もNianticに出資しており、ポケモンGOのインフラはGoogleのものだそうです)。

 ハンケさんは最近いろんなところで、「ポケモンGOは人々に街に出て歩いて、人と出会ってほしいから作った」と語っていますが、その思いはField Tripのころから一貫していたんですね。

 ちなみにこのField Trip、2015年5月からアップデートされていませんが、まだGoogle Playからダウンロードできます。久しぶりに起動してみたら、近所のおしゃれ住宅が登録されていました(登録したのは建築家さん)。

 ポケモンGOの「ポケストップ」は今のところ一般ユーザーが登録申請できませんが、Field Tripの「カード」は今でもステップを踏めば登録できるみたいです(ヘルプはこちら)。

 hanke 3 Field Tripの更新は止まっていますが、ダウンロードは可能です

バックナンバー

関連キーワード

Google | ポケモンGO | Ingress


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月14日 更新
  1. きょう発売の「MacBook Neo」、もうAmazonで割安に (2026年03月11日)
  2. 新品は絶滅、中古は高騰──「令和にMDを聞きたい」と願った筆者が、理想の再生環境を整えるまでの一部始終 (2026年03月13日)
  3. M5 Max搭載「14インチMacBook Pro」がワークステーションを過去にする 80万円超の“最強”モバイル AI PCを試す (2026年03月13日)
  4. セールで買った日本HPの約990gノートPC「Pavilion Aero 13-bg」が想像以上に良かったので紹介したい (2026年03月11日)
  5. 12機能を凝縮したモニタースタンド型の「Anker 675 USB-C ドッキングステーション」が27%オフの2万3990円に (2026年03月11日)
  6. 3万円超でも納得の完成度 VIA対応の薄型メカニカルキーボード「AirOne Pro」を試す キータッチと携帯性を妥協したくない人向け (2026年03月12日)
  7. ワコム上位機に肉薄? 10万円で18.4型4K! 高コスパ液タブ「GAOMON Pro 19」の長所と弱点 (2026年03月13日)
  8. 「MacBook Neo」を試して分かった10万円切りの衝撃! ただの“安いMac”ではなく絶妙な引き算で生まれた1台 (2026年03月10日)
  9. 高音質・良好な装着感・バッテリー交換式――JBLのフラッグシップ「Quantum 950 WIRELESS」は妥協なきヘッドセットか (2026年03月12日)
  10. 10万円切りMacが17年ぶりに復活! 実機を試して分かったAppleが仕掛ける「MacBook Neo」の実力 (2026年03月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年