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Googleの新ビデオチャットアプリ「Duo」は他と何が違うの?ITはみ出しコラム

» 2016年08月21日 06時00分 公開
[佐藤由紀子ITmedia]

 米Googleが2016年5月開催の開発者会議「Google I/O」で発表した2つのコミュニケーションアプリをご存じでしょうか。そのうちの1つ、1対1のビデオチャットアプリ「Google Duo」が日本でもダウンロードできるようになりました。Android版とiOS版、同時リリースです。

 duo 1 日本でもリリースされたビデオチャットアプリ「Google Duo」

 Duoは、GoogleアカウントなどのIDを必要とせず、電話番号同士でビデオチャットできる通話アプリです。電話番号は必要ですが、Wi-Fi環境ではWi-Fiで通話できます。

 日本ではまだあまり話題になっていませんが、米国では公開後、すぐにGoogle Playの無料アプリランキングでトップに躍り出たそうです。レビューのスコアも「4.5」とかなり高い評価を得ています。

 ビデオチャット(古い表現だとテレビ電話)アプリは既にたくさんあって、一番似ているのはAppleの「FaceTime」です。また、Googleの「ハングアウト」やFacebookの「Messenger」、Microsoftの「Skype」にあるビデオチャット機能、そして「LINE」などとも近いです。

 1対1の動画チャットにしか対応しない(グループチャットはできない)ところはFaceTimeに似ていて、IDが不要で携帯の電話番号で接続するところはLINEのようです。

 Duoの使い勝手は、少なくともFaceTimeよりは、ずっとシンプルで分かりやすくなっています。FaceTimeもかなりシンプルですが、通信先の相手をマニュアルで登録する手間や画面に表示されるボタンの意味が、IT系ではない、いわゆる“普通の人”(私の母親など)にとっては、まだまだ分かりにくいようです。Duoのシンプルさはそういう人でも使えそうな気配がします。

 duo 2 ボタンが1つしかない起動画面(左)、通話中に画面をタッチすると表示されるボタンは3つだけ(右)

 一方、懸念されるのはアプリの位置付けです。このままいくとGoogleのチャット系アプリは、このDuoと、Duoと同時発表されて間もなく公開予定の「Allo」と、既存のハングアウトの計3つになります。

 duo 3 DuoとAlloはGoogle I/Oで同時に発表されました

 これに対し、Googleは「3つのアプリは全然目的が違う、きちんとすみ分けができるアプリだ」と言っています。

 ハングアウトは当初は一般向けでもある総合的なコミュニケーションツールでしたが、今後はGoogle Appsのコミュニケーションツールとしてエンタープライズ向けに特化していく見込みです。AlloはDuoとは全く違う、AI bot「Google Assistant」を搭載するアシスタント機能に重点を置いた高機能なチャットアプリとなります。

 そう言われても、既にハングアウト、Skype、Facebook Messenger、(私はインストールしていませんが)LINEを入れてある端末に、さらに2つも似たようなアプリをインストールするのはちょっと嫌だなぁ、と思ってしまいます。

 Duoのいいところの1つは、操作がシンプルなところなので、今後新機能が追加されていくことはあまり期待しない方がいいと思います(そうしたらシンプルではなくなっちゃうから)。音声のみの通話(映像なしの通話)に対応する予定は発表されていますが、例えばグループ動画チャットやbotの対応などはないでしょう。

 もっとも、Duoは外から見ると単純なアプリですが、実はWebRTCベースだったり、Googleが取り組んでいるTCPに代わるトランスポート層の高速プロトコル「QUIC」を採用していたり、エンドツーエンドで暗号化されていたり、着信すると画面に相手の映像が(応答する前に)表示される「ノックノック機能」が付いていたりと、かなり意欲的です。

 なので、目に見えないところがどんどん改善されていくのかもしれません。

 もうすぐリリースのAlloも、ただの「Facebook MessengerのGoogle版」みたいに見えますが、Google Assistantの内蔵がウリです。Facebook Messengerもbotに対応しましたが、Googleの場合はGoogleアカウント経由でユーザーについて熟知したアシスタントが動くところが強みとなります。

 なんとなく、Googleのエンジニアの実験に付き合わされているような気がしないでもないですが、面白いから付き合ってみようかな、とも思うのでした。


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