「ネチケットを守りましょう!」とまじめに言われていた頃のこと

» 2017年02月02日 06時00分 公開
[上田啓太ITmedia]
オレの知ってるネットと違う

 突然、古い言葉を思い出すことがある。もう二度と使わないような言葉だ。

 このあいだ、「ネチケット」という言葉を思い出した。現在は使われなくなったネット用語である。2000年頃によく使われていた。ネットにおけるエチケット、略して「ネチケット」である。

 いま見ると「ダジャレじゃん」と思ってしまうが、当時はまじめな言葉だった。例えば無礼な書き込みをすると、「ネチケットを守りましょう!」といわれる。いま思い出すと笑ってしまう。ダジャレを振りかざして激怒する。これは、なかなかないことですね。

ライター:上田啓太

上田啓太

1984年生まれのブロガー。京都在住。15歳のときにネットに出会い、人生の半分以上をネットとともに過ごしてきた男。

個人ブログ:真顔日記 Twitter:@ueda_keita


普通にしていればネチケットは守れた

 高校生の頃に通っていたチャットルームの入口に、大きく「ネチケット」と書かれていた。その下に注意文が箇条書きになっていた。その内容は常識的なものだった。初対面で失礼な口をきくなとか、相手の嫌がることは言うなとか、個人情報を不用意にばらすなとか。

 私が「ネチケット」という言葉を知ったのはそのときで、まだネットの作法は分からないから、「ネチケットを守らなくては!」と素直に思っていた。もっとも、普通にしていれば守れることが大半だったと記憶している。「それはネットにかぎらないでしょ」と言いたくなるネチケットが多かった。

 本当にネット特有のものは何だったかというと、いまいち分からない。「メールに画像を添付するときはファイルサイズに気を付ける」とかだろうか。当時の貧弱な回線だからこそのマナーともいえる。たまに、異常なサイズの添付画像が「.bmp」の拡張子で届くことありましたよね。

初心者の頃の失敗談

 ひとつ失敗談がある。「ネチケットを守らなかった」というほど大げさなものじゃないが、掲示板に書き込む上での基本が抜けていて、見知らぬ誰かに注意されたのだ。高校一年、ホームページを作りはじめて1週間という時期だった。

 初心者なりにページを作ってみたが、どうしても一部のテキストが文字化けしてしまう。自分でいろいろといじってみても解決しない。それで、当時参考にしていたHP制作サイトの初心者用掲示板に頼ることにした。そのときの書き込みがまずかった。

 「最近ホームページを作ったんですけど、へんな文字が出るんですけど、なんなんでしょうか」

 まず、口調が雑だった。丁寧にしようと頑張っていたが、雑だ。「ですけど」の二連発も気になるが、「なんなんでしょうか」という締め方が絶妙におかしい。すごく投げやりな印象を与える。「文字化け」という表現を知らないから、「へんな文字が出る」と書いているのも恥ずかしかった。

 しかしまあ、それはいいのである。致命的なのは、この書き込みをしたとき、自分のページのURLを書き忘れたことだ。まさに無知ゆえにグダグダという感じで、肝心の情報が抜けていた。結果的に、質問掲示板に「へんな文字が出る」というアヤフヤな愚痴を書いただけになっていた。恥ずかしい。

大人による丁寧なツッコミ

 私の不十分な書き込みには、速攻で返信がついた。

 「ちゃんとURLを書きましょう。実際にページを見ないと分からないでしょう?」

 大人による丁寧なツッコミ、という感じだった。この時期のネットには、こういう「丁寧なツッコミ」があふれていた気がする。ネット空間に流通する文章の「敬語率」が、いまよりも高かったというか。私は注意されて不備に気付き、PCの前で赤面しながら、あわてて書き込んだ。

 「ホームページのアドレスはhttp://XXXXXXXXXです。なんなんでしょうか」

 もし過去に戻れるならば、「なんなんでしょうか」は封印する。それはいい。私は無事にアドバイスをもらい、「へんな文字」は消すことができた。多分ソースを見てもらったんだろうが、解決法自体はよく覚えていない。URLを書き忘れて注意されたことばかり記憶している。

 ちなみに、この書き込みは、その後も結構長いことネットに残っていた。私はたまに見に行っては、「うわちゃぁ〜」と一人で赤面していた。黒歴史に自ら突っ込んでいくスタイルである。個人的に、黒歴史とアルコールの相性はすごく良いと思っていて、酒を飲みながら自分の過去の恥ずかしい書き込みを見ていると、おつまみがいらない。

「ネゲット」という言葉もあった

 「ネチケット」よりはマイナーだが、「ネゲット」という言葉もあった。ネットで異性をゲットすることである。これに関しては、すこし前にTwitterで「オフパコ」という言葉が使われているのを見て、電撃のように思い出した。今はネゲットのことをオフパコと言うのか!

 古い言葉が消えていく一方で、新しい言葉が生まれている。しかし中身は変わらない。ネット空間に男と女がいるかぎり、こういう言葉は、形をかえて何度もよみがえるのだろう。不死鳥伝説である。死んだと思っていたネゲットは、オフパコと名をかえて、不死鳥のようによみがえったのだ。

 しかしまあ、ずいぶん俗っぽい不死鳥ですね、これは。

オレの知ってるネットと違う

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