EdgeブラウザのChrome対抗策 次なる一手はWindows 10からの分離か鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

» 2017年05月23日 06時00分 公開

 長らくWebブラウザの世界でInternet Explorer(IE)が大きなシェアを獲得していたのは、過去のIEから連綿と続くアプリケーション資産の動作をサポートし、主に企業ユーザーが継続利用していたことにある。ただし、そのような「レガシー」のサポートはMicrosoftにとって大きな負担であり、新機能導入の阻害要因にもなっていた。

 一方、Webブラウザ開発において身軽な立場にいたGoogleは次々と新しい機能を投入して改良した新バージョンのChromeブラウザを頻繁にリリースし、2010年代にはライバルらに対して抜きん出る存在にまで成長している。

 新勢力の台頭は、Microsoftにとって看過できない問題だ。対抗策として、IEで積み上げてきた既存のコード(レガシーサポート)を捨て、Windows 10では「Edge」という新しいブラウザとレンダリングエンジンを採用するに至った。

 こうしてWindows 10とともにリリースされたEdgeは、間もなく登場2周年を迎える。NetMarketShareによれば、1年前の2016年4月時点でグローバルのデスクトップ向けWebブラウザ全体でのシェアは4%強程度にすぎない。当時IEは4割近いシェアを確保していたものの、その割合は減り続けており、実質的にChromeなどの競合製品の流出が続いている。

 その後、2016年8月に一般公開されたWindows 10の大型アップデート「Anniversary Update」ではChrome対抗の目玉となる「拡張機能(Extensions)」をついに導入し、続く2017年4月一般公開のWindows 10大型アップデート「Creators Update」の世代では「初期設定でのFlashコンテンツブロック」や「EPUBファイル表示」、「開いているタブの保存」といった新機能も追加してきた。

Edge Windows 10標準ブラウザ「Microsoft Edge」

 このように進化を続けるEdgeだが、1年前と比べてブラウザシェアの状況はどう変化したのだろうか。

IE+Edgeのブラウザシェアは低下中

 Webブラウザのシェア計測では、NetMarketShareとStatCounterの2つが有名だ。前者はインストールベースの計測でIEが優位になりやすい傾向があり、後者は実アクセス数ベースでヘビーユーザーが多いブラウザが優位になる傾向がある。

 StatCounterでは長らくChromeが過半数以上のシェアで首位ブラウザの地位を占めていたが、NetMarketShareではIEが強く、ChromeがIEを抜いてシェア首位に躍り出たのはちょうど1年前の話だった。

 それから1年後となる2017年4月時点のグローバルにおけるブラウザシェアを見ていこう。NetMarketShareによると、2017年4月のシェアはChromeが59%、IE+Edgeが24.02%となり、さらに両者の差が開いている。少なくともEdgeは4%台から5%台へと微増しているので、ユーザーを大幅に減らしたのはIEだ。

 Windows 7の延長サポートが2020年1月に終了するため、多くの企業では既存のレガシーシステムの見直しまでのカウントダウンが始まっている。MicrosoftではWindows 10におけるIE11の継続サポートを表明しているものの、実質的にはより「モダンな環境」への移行を推奨しており、こうした動きがIEのシェア下落をもたらしている。

NetMarketShare 2017年4月時点でのデスクトップ向けWebブラウザシェア(出典:NetMarketShare)

 StatCounterの集計も同様で、IEのシェア減少分をEdgeのシェア増加でカバーできていないのが実情だ。Windows 10におけるデフォルトブラウザというゲタがあってなお、Edgeが厳しい状況には変わりない。登場から2年が過ぎようとしており、そろそろ抜本的なマーケティング施策の見直しが必要になるころだと考えている。

StatCounter 2016年3月〜2017年3月のデスクトップ向けWebブラウザシェアの推移(出典:StatCounter)

ユーザーはクロスプラットフォーム対応を重視か

 Microsoftが本社を構える米国でも、Edgeの不調を伝えるメディアは少なくない。例えば、米ZDNetの「Does anyone actually use (or even know about) Microsoft's Edge browser?(誰か本当にMicrosoftのEdgeを使っている人はいる? あるいは知っているというだけでも)」という記事は、タイトルからして辛辣(しんらつ)だ。

 Windows 10ユーザーであっても、Edgeの存在自体を知らなかったり(あるいは意識していない)、少しでも素養があるユーザーであればクロスプラットフォームで利用しやすいChromeを導入していたりするという内容だ。これはMicrosoftのEdgeを盛り上げたいというキャンペーンが、主にユーザー側の素養や指向によって成功しにくいという可能性を示唆している。

 もう1つ、StatCounterのデータでWindowsとAndroidのOSシェアが逆転したというトピックにも触れておきたい。Androidはスマートフォンとタブレット、WindowsはPCという違いがあるが、ユーザーの滞留時間がモバイルで長くなれば長くなるほど、モバイル環境で使えるブラウザやアプリの存在が重要になり、必然的にPCの利用環境もそれに引きずられることになる。

 先ほどのクロスプラットフォーム対応はいい例で、スマートフォン、タブレット、PCでブックマークや履歴、タブの同期が手軽に行えるなら、Chromeを選択するというのも自然な流れだ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年03月14日 更新
  1. きょう発売の「MacBook Neo」、もうAmazonで割安に (2026年03月11日)
  2. 新品は絶滅、中古は高騰──「令和にMDを聞きたい」と願った筆者が、理想の再生環境を整えるまでの一部始終 (2026年03月13日)
  3. M5 Max搭載「14インチMacBook Pro」がワークステーションを過去にする 80万円超の“最強”モバイル AI PCを試す (2026年03月13日)
  4. セールで買った日本HPの約990gノートPC「Pavilion Aero 13-bg」が想像以上に良かったので紹介したい (2026年03月11日)
  5. 12機能を凝縮したモニタースタンド型の「Anker 675 USB-C ドッキングステーション」が27%オフの2万3990円に (2026年03月11日)
  6. 3万円超でも納得の完成度 VIA対応の薄型メカニカルキーボード「AirOne Pro」を試す キータッチと携帯性を妥協したくない人向け (2026年03月12日)
  7. ワコム上位機に肉薄? 10万円で18.4型4K! 高コスパ液タブ「GAOMON Pro 19」の長所と弱点 (2026年03月13日)
  8. 「MacBook Neo」を試して分かった10万円切りの衝撃! ただの“安いMac”ではなく絶妙な引き算で生まれた1台 (2026年03月10日)
  9. 高音質・良好な装着感・バッテリー交換式――JBLのフラッグシップ「Quantum 950 WIRELESS」は妥協なきヘッドセットか (2026年03月12日)
  10. 10万円切りMacが17年ぶりに復活! 実機を試して分かったAppleが仕掛ける「MacBook Neo」の実力 (2026年03月10日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2026年