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» 2018年01月13日 06時00分 公開

鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:6億台のPCで使える「Cortana」がAIアシスタント競争に苦戦する理由 (1/3)

CES 2018では「Amazon Alexa」や「Googleアシスタント」が引き続き注目を集めた。その一方で、Windows 10標準のアシスタント機能である「Cortana」は、PC以外の採用例を増やすことに苦戦している。

[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]

 2017年に日本上陸を果たしたAmazon.comのAIアシスタント「Alexa」と、それに対応したスマートスピーカーの「Amazon Echo」が世界的に注目を集めている。

 毎年1月には米ラスベガスで世界最大規模のテクノロジートレードショー「CES」が開催されるが、2017年のCES 2017に続き、2018年のCES 2018でもAlexa旋風を巻き起こした。

HP Pavilion Wave CES 2018ではAlexa対応のWindows PCが登場。写真はHPの小型デスクトップPC「HP Pavilion Wave」

 これに対抗するGoogleもCES 2018で大規模なプロモーションを展開し、同社のAIアシスタントである「Googleアシスタント」のアピールを繰り広げた。純正スマートスピーカー「Google Home」以外にもGoogleアシスタント対応デバイスを増やし、家電製品の「制御ハブ」としてのポジション確立に躍起だ。

 Googleは、Amazon Alexa対応のタッチディスプレイ搭載デバイス「Amazon Echo Show」に対抗すべく、Googleアシスタント対応のタッチディスプレイ搭載デバイス「Smart Display」を発表。2018年内に、JBL、Lenovo、LG Electronics、ソニーがこのSmart Display製品を発表する見込みだ。

Google Smart Display Googleが発表した「Smart Display」。Googleアシスタント対応のタッチディスプレイ搭載デバイスだ。画像はLenovo製のもの

 こうした中、Alexaは新たな対応デバイスとして、Windows PCを積極的に加えていこうとしている。CES 2017ではAlexa導入の対象となるデバイスが白物などの家電中心だったが、CES 2018はその波がPCの世界にも広がってきたのだ。

 MicrosoftはAIアシスタント「Cortana」をWindows 10の標準機能として搭載しているが、それとは別にAlexaをPCに追加するとは、どういうことなのだろうか。

Cortana Windows 10標準のAIアシスタント「Cortana」。MicrosoftはこれをPC以外にも広げようとしているが……

CES 2018でAlexa対応Windows PCが続々と登場

 Alexa対応PCの口火を切ったのは台湾Acerだ。「Aspire」「Spin」「Switch」「Swift」といったノートPCやオールインワンPCの一部モデルをAlexaに標準対応させると発表した。対応PC自体は2018年の第1四半期に出荷されるが、実際にAlexaの機能を使うには、同年半ばに提供予定のアップデートを適用する必要がある。

 対応PCは音声認識用のDSPにIntel Smart Sound Technologyを採用し、Far-Field(2.74m)の距離で認識可能な4対のマイクを内蔵するなど、音声入力の処理を大幅に強化しているのが特徴だ。

 これにより、スリープ状態での音声による呼び出しや、PCから離れた状態でのAlexaの利用が可能といったメリットが得られることが、従来のPC向けアシスタントと異なる。

Acer PC AcerはノートPCやオールインワンPCの一部モデルをAlexaに対応させると発表

 また、ASUS、HP、LenovoといったメーカーもAlexa対応製品を発表しており、2018年前半(恐らくは第2四半期)には北米を皮切りに、世界各地に順次市場投入していくことになる。

 単純なソフトウェアでの対応だけでなく、前述のマイク機構の強化や、Alexa専用のLEDインジケーターを搭載するPCもあるなど、ハードウェアレベルでAlexa対応を意識しているのが大きい。

AlexaとCortanaの連携はいつ実現するのか

 さて、こうした話を聞いて疑問に思った方もいるかもしれない。AmazonとMicrosoftは2017年8月末に提携を発表し、両社が擁するAIアシスタントのAlexaとCortanaの相互乗り入れで合意している。

 例えばAmazon EchoなどAlexa対応デバイスでCortanaを呼び出せば、Cortanaの機能が利用可能になる。逆に、Cortana対応のWindows 10デバイスでAlexaを呼び出せば、Alexaの各種スキルを利用できるというわけだ。

 AlexaはAmazon Echoだけでなく家電への導入も進む一方、Cortanaは搭載デバイスがWindows 10 PC限定ながらも世界に約6億台の稼働デバイスが存在する。そのため、互いの世界を広げる上でベストマッチの組み合わせとみられていた。

 しかし、この連携機能の提供は予定より遅れている。発表当初は2017年内に利用可能になるはずだったが、既にそのデッドラインを過ぎたにもかかわらず、両社から提供時期の変更などの発表はない。

Alexa and Cortana Alexa対応デバイスの「Amazon Echo Show」(左)とCortana対応のWindows 10ノートPC(右)。AlexaとCortanaの連携機能は提供が遅れている

 そして、年明け早々にCES 2018でのAlexa搭載PC発表ラッシュだ。この1月に発表されたということは、製品の開発自体はAmazonとMicrosoftのAIアシスタント連携予定が明らかになった2017年の夏前にスタートしたと考えてよいだろう。

 つまり、本来は「AIアシスタント連携」が利用可能になるのが先で、それを追う形で「Alexa自体に対応したPC」が発表されるはずだったのが、順序が入れ替わってしまったことになる。

 AIアシスタント連携では、Windows 10 PCからAlexaを呼び出す場合に、いったんCortanaを起動してからAlexaへと切り替える必要があり、その点で面倒かもしれない。従って、PC本体でAlexaの標準対応が進んでしまうと、あえてCortana連携機能を使う必要がなくなってしまう可能性もある。

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