人気プロ絵師による「Cintiq Pro 24」完全レビュー(3/7 ページ)

» 2018年04月07日 06時00分 公開
[refeiaITmedia]

ガジェオタ的に性能をチェック

 というわけで、設置もできましたのでいろいろ試していきましょうか。まずは性能面から……。

 最初に取り上げたいのは今回の一番のトピック、解像度についてです。既に書いたように、Ciniq Pro 24は4Kパネルを採用して、約190ppiの画素密度になっています。これは、従来までの100ppi前後だった大型Cintiqと比べると画期的なことです。液晶タブレットは普通のディスプレイよりも目に近い位置で使うので、従来の機種ではピクセルがとても粗く見えていました。

 今回は、文字を表示させてのぞき込めばピクセルがあることは分かるけど、画像を表示させた状態でピクセルが気になるということはほぼありません。

高画素密度でピクセルが気にならない

 せっかくなので、本機のppiと、以前調べてためておいたメモから作った、色んなデバイスのppiを比べたグラフを見てみましょう。

デバイス毎のppi比較

 異なるデバイスでppiをそろえていることが多いApple製品を多く掲載しています。

 AppleはRetinaディスプレイを訴求しはじめて以来、一部を除く多くのデバイスで、「ピクセルが視認できない」画素密度についての洞察に基づいて、それをぴったり満たす仕様で製品を作り続けている珍しいメーカーです。なので、ピクセルが見える・見えないとはどのあたりの数字で変わるのか、という観点で大いに参考になると思います。

 また、手元にある、もしくは見た覚えがあるデバイスの中に近いppiのものがあるなら、Cintiq Pro 24のピクセルの細かさを想像する参考になるはずです。

発表時のアピールポイントでもあった「低遅延」をチェック

 さて、次に遅延についても見てみましょう。Cintiq Pro 24/32の発表イベントの中で、今回の製品は従来機よりも低遅延になっているとの情報が公開されました。そこで、今回は比較用の従来機は用意できませんでしたが、遅延について簡単に調べておこうと思います。

 調べ方は以下の通りです。横線を1本引いて、そこに縦線を何本か引き、その様子を120fpsで高速度撮影します。その映像をコマ送りして、横線をペン先が通りすぎてから縦線が通りすぎるまでのフレーム数を数えます。

縦線がペン先より遅れて横線を通りすぎる様子

 比較対象は、以前掲載したSurface ProとiPad Proのレビューで同様の方法で調べた4機種です。何回かの平均っぽい値を書いてはいますが、あまりきっちりした結果ではありません。また、今回のCintiq Pro 24だけは、Windowsペイントに加えてOneNoteのWindowsストア版の値も取っています。

描画遅延比較

 同じCintiq Pro世代である、Mobile Studio Pro 16よりも少し速いのでは、ということが分かります。というかこの世界の製品は「Pro」しかない気がして怖いっスね……。

 また、意外なことに、一番余計な処理をしていない(=一番速い)と思っていたWindowsペイントよりも、平滑化処理が入っているように見えるOneNoteの方が速いという結果になっています。

 UWPアプリ(Universal Windows Platform)だから速いと分かったわけでもないですし、現時点でUWP版のお絵描きアプリもそれほどないので、実用上で大いに意味がある結果というわけでもないです。ですが、結果の思わぬ副産物として、「え、Cintiq Pro思ったより速いのでは?」と思えました。

 iPad Pro 10.5の、ハードからドライバ、OSまで全部自社でチューニングでき、LCDを120fpsにするまでして詰めに詰めた結果に対して、ほんの少ししか遅くないのです。近い条件ではOSメーカーのアドバンテージがあるMicrosoft製品と同じぐらいです。PC本体やOSなどを自由にできない液晶タブレット単体の枠としては、十分に速いのではないでしょうか。

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