コラム
» 2018年12月09日 06時00分 公開

ITはみ出しコラム:EdgeブラウザがついにChromiumを採用へ Mozillaは「独占は危険」と警告

「Edge」が「Chromium」ベースのブラウザになる――ウワサは本当でした。Googleの「Chrome」と同じエンジンになることで、警戒を強めているのが「Firefox」のMozillaです。

[佐藤由紀子,ITmedia]

 Windows 10のデフォルトブラウザ「Microsoft Edge」が大きな転機を迎えました。

 MicrosoftがEdgeブラウザを、オープンソースの「Chromium」ベースに変えると発表したのです。Edgeがこれまで採用してきた独自のHTMLレンダリングエンジン「EdgeHTML」は、Chromiumが使っている「Blink」に切り替わります。新しいEdgeのプレビュー版は2019年初頭にも配信される見込みです。

 Windows担当副社長のジョー・ベルフィオーレ氏は公式ブログで、この移行は「ユーザーにとってより良いWeb互換性を作り、全てのWeb開発者にとってWebのフラグメンテーションを少なくする」ため、と語っています。

 今後Chromiumベースになるのはデスクトップ版(Windows 10デバイス向け)のEdgeです。Edgeはモバイル版もありますが、既にAndroid版はChromiumと同じBlinkを、iOS版はAppleが中心になって開発しているオープンソースの「WebKit」を、それぞれHTMLレンダリングエンジンに採用しています。

Edge Windows 10デフォルトブラウザの「Edge」

 Chromiumという名前を聞いてピンを来た方も多いと思いますが、Googleの「Chrome」はChromiumをベースに開発されたブラウザです。つまり、ライバルのブラウザと同じエンジンに乗り換えたというわけです。

 エンジンが変わりますが名称はEdgeのまま、一般ユーザーは設定変更の必要もないそうなので、多くの人から見れば、大きめのアップデートくらいにしか見えないかもしれません。ブラウザエンジンは車のエンジンと同様、普通のユーザーは気にしなくていい、裏で動いている仕組みだからです。でも、この変更はさまざまな影響を及ぼすことが考えられます。

 EdgeがChromiumになると一番助かるのは多分、インターネットでサービスを運営している人たちです。ネットのサービスは、訪問者がどんなブラウザを使っていようとも、ちゃんと動き、表示できるようにしないといけません。ブラウザのエンジンの数だけテストして、問題があれば修正します。EdgeHTMLが消えれば、手間が1つ省けます。

 実はそもそもEdgeのシェアはものすごく小さいのですが、かといってMicrosoftのデフォルトブラウザを無視するわけにもいきません。以下は、StatCounterの調査によるデスクトップとモバイルを合わせた11月のWebブラウザの利用シェアです。

StatCounter StatCounterによるWebブラウザ利用シェア(2018年11月)

 それによると、Chromeの約60%に対して、Edgeは2%未満です。2000年代前半に訪れた「Internet Explorer」の最盛期には及びませんが、Chromeが圧倒的です。

 EdgeがChromiumベースになったからといって、全くテストしなくていいわけではないのですが、Edge固有の問題は激減するでしょう。

 Chromiumは、Chromeの他、「Opera」や「Vivaldi」「Brave」「Samsung Internet Browser」のベースにもなっています。これらはチェックも楽です。

 シェアがある程度あるブラウザでChromiumを使っていないのは、Appleの「Safari」、Mozillaの「Firefox」、中国で人気の「UC Browser」、そしてWindows 7から10への移行に伴ってもうすぐ消える(見込みの)Internet Explorerです。

Browser 主要なブラウザの多く(Chrome、Opera、Edge)がChromiumベースに

 チェックの手間が省けるのは開発者にとっては朗報ですが、選べるブラウザエンジンが減り、独占状態になるのは、健全な市場をキープするには危険という主張もあります。

 Microsoftの発表直後、FirefoxのMozillaが警告しました。「ブラウザエンジンは、オンラインでできることの大部分を決定する。ユーザーが見るコンテンツ、コンテンツを見る際の安全性、Webサイトやサービスがユーザーに提供する管理能力などだ」。これを1社に独占させるのは危険だから「MozillaはGoogleに対抗する」と宣言しました。

Mozilla FirefoxのMozillaが公式ブログで警告

 そもそもMozillaがFirefoxを始めたのは、Internet Explorerの独占状態に危機感を持ったからでした。

 ChromiumはChromeとともに成長してきましたが、オープンソースのプロジェクトです。Chromiumをベースに使うブラウザが増えても、Googleが集められるユーザーデータが増えるわけではないし、ChromiumプロジェクトにGoogle以外の開発者がたくさん参加するほどGoogleの好きなようにはできなくなるので、いいような気がします。

 それでもやはり、何かが市場を独占するのが危険だという主張には同意できます。Firefoxも独自で進化していることだし、Chromeからの乗り換えとまではいかなくても、並行して使っていこうと思います。

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