既報の通り、富士通クライアントコンピューティング(FCCL)は7月10日、ノートPC「FMV LIFEBOOK」の新製品を発表した。
FCCLは2016年2月、富士通のPC事業を分社する形で設立された。その後、富士通は2018年5月に株式の51%をLenovo Group Limited(Lenovo)に、5%を日本政策投資銀行に譲渡。FCCLは事実上Lenovo傘下の企業となった。
新製品が発表された7月10日は、FCCLが新株主構成になってから435日目を迎えた日。同日に行われた発表会で、齋藤邦彰社長は同社の目指すPC作りについて改めて語った。
齋藤社長は、FCCLの強みは「お客様に寄り添い、いち早くニーズを吸い上げ、国内R&D(研究開発)体制ですばやく製品化する」ことだと語る。その成果が、2018年秋モデルとして投入された「ESPRIMO FH-X」や「LIFEBOOK UH-X」であり、電子ペーパーを用いたペーパーレスノート「QUADERNO(クアデルノ)」であるという。
研究開発拠点を国内に構えることで、ユーザーのニーズを反映した製品を迅速に投入できる――これが、同社のアイデンティティーの1つとなっている。
齋藤社長は「これからも、お客さまに“ほしい”と思ってもらえる製品を少しでも多く提供できるようにFMVをもっと進化させていく」と決意を語った。
富士通のPCブランド「FMV」は1993年に誕生。約30年の歴史を重ねてきた。
「Windows 95」の誕生やインターネットの普及――PCは時の流れとともに一般家庭にも普及し「なくてはならないツール」(齋藤社長)の1つになった。一方で、それはコモディティ化が進んだことも意味する。「どのパソコンも、大して変わらないのではないかと思っている人」がいるのも事実だ。
そんな時代だからこそ、齋藤社長は「FMVの価値とは何なのだろうか?」と考えてきたという。そして「日本人らしい繊細で行き届いた心遣い」をPC開発に生かし、キーボード面のカーブなど設計面で細かい部分まで改良を積み重ねるというように、「人を想(おも)う心がなければ作れないPCがFMV」という結論に至ったようだ。
今回の発表会で、齋藤社長は独自路線でPCを作っていく意思を改めて示した。今後、FMVがどのような姿になっていくか、注目だ。
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