小中学校でプログラミング教育やICT機器を活用した学習を行うには、当然ながら学習用端末が必要になる。
前回紹介した通り、GIGAスクール構想では「Windows 10 Pro」「Chrome OS」「iPadOS」の3つのOSについて「標準端末」が定義されている。日本における主要なPCメーカーは、この定義に適合するノートPCや2in1 PCを相次いでリリースしている。
レノボ・ジャパン、NECや日本エイサーなど、一部のメーカーでは、学習用端末のラインアップにWindows 10 ProモデルとChromebook(Chrome OSモデル)の両方を取りそろえている。これは、教育ICTサービスにWebブラウザベースで稼働するものやクラウド(遠隔サーバ)を利用するものが多く、特定のOSに依存せずに済むことが背景にある。
特定のOSに依存しないということは、サービスが利用できる限りにおいて端末のOSによって学習環境に大きな差は出ないということでもある。そう考えると、その時々においてコストパフォーマンスに優れるOS(と端末)を選ぶことが合理的……なのだが、実際は既に導入されているOSを搭載する端末を追加導入するケースが多い。
海外の教育市場では、Chrome OSのシェアが高い。特に米国では、K-12市場(幼稚園から高校までの市場)における同OSのシェアが2015年に約50%に達し、2016年には約58%まで上昇した。一方、日本では圧倒的にWindowsのシェアが高く、NECによると国内文教市場におけるシェアは95%程度と推定されるという。これは、Windowsになじみのある教員が多いためだと思われる。
NTTコミュニケーションズのスマートエデュケーション推進室の稲田友担当課長は、レノボと共同提供する「GIGAスクールパック」の発表会において、「学校の教師の多くは基本的に慎重な、イノベーター理論でいう『アーリーマジョリティー』タイプ。実用性をじっくり検討してから採用するというスタンスである」と語っている。同じOSの端末を買い足す傾向を端的に示した格好だ。
しかしGIGAスクール構想を受けて、Googleは3月18日、Chromebookとクラウド型教育プラットフォームの「G Suite for Education」を中核とした教育機関向けソリューション「Google GIGA School Package」を発表している。
Google GIGA School Packageには、導入を支援する教員や管理者向けの研修プログラム「Kickstart Program」も含まれている。端末の管理がしやすいというChromebookのメリットが周知されれば、今後は国内教育市場でもChrome OSのシェアが増加する可能性がある。
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