続いて、岐阜県立加納高等学校の大平隆司教頭が登壇し、校務のデジタル化による働き方改革の実践について報告された。
加納高校は先述の連携協定における「校務のデジタル化による働き方改革研究」のモデル校で、生徒からの欠席/遅刻連絡のデジタル化に取り組んできた。同校は普通科(7学級)、音楽科(1学級)、美術科(1学級)の3学科からなり、生徒は約1200人在籍している。
複数の学科があることはさておき、同校は公立高校としては在籍生徒数が多い。従来は教職員の中から「電話当番」を決めて、欠席や遅刻の連絡を受けてきたという。そのこともあり、校務において意外と大きな負担である「欠席連絡」の効率化に取り組むことになったのだろう。
モデル校として、加納高校では生徒の欠席/遅刻連絡をWebフォームに置き換えた。生徒やその家庭から連絡フォームに情報が入力されると、教職員には「Microsoft Teams」のメッセージとして遅刻/欠席の情報が通知される。自席のPCからも状況を確認できるので、時間の節約になるという。クラス担任以外の教職員も状況を把握しやすいので、「全職員での生徒の見守り」も実現しやすくなったようだ。
欠席/遅刻情報はExcelシートとしても記録されるようになっており、保健室における生徒の健康状況の確認や出欠状況の統計にも用いられている。現在は学校日誌の入力にも活用されており、業務の効率化に一役買っているという。
欠席/遅刻連絡のデジタル化は、教職員からの評価も上々のようだ。顔が見えないゆえの「生徒からの安易な欠席連絡」という課題はあるものの、9割以上の教職員がこのシステムの運用と電話番制度の廃止の継続を望んでいるという。年間数時間ではあるものの教職員の残業時間を削減できたことや「朝早く行かないといけない」という心理的負担を軽減できたという面が評価されたようだ。
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