韓国でも「OMNIA」発売――ますます盛り上がる“タッチケータイ”市場韓国携帯事情

» 2008年12月11日 18時49分 公開
[佐々木朋美,ITmedia]

 11月末にソフトバンクモバイルから発売されたSamsung電子のタッチパネルケータイ「930SC OMNIA」(オムニア)。韓国でもタイミングを同じくして、SK Telecom(以下、SKT)からOMNIAが発売された。SKTの“T”というブランドで展開することから、「T*OMNIA」(ティーオムニア、型番:SCH-M490)と名付けられた。

 日本の930SC OMNIAは、いくつかあるタッチパネル端末の1つに過ぎないが、韓国ではやや位置付けが違う。というのも、T*OMNIAは韓国で2カ月間に20万台以上を販売した「Haptic」(ハプティック)や、その後継モデルとして大人気の「Haptic 2」と同じUIを採用している、ユーザーにとってはおなじみの存在。それだけに期待も大きい。

 また、T*OMNIAはOSにWindows Mobile 6.1 Professionalを採用したほか、韓国で人気のSNSサービス「Cyworld 2.0」や、待受画面上のアイコンから直接親しい仲間にメッセージを送れる「パジャマファイブ」といったSKT専用サービス、衛星DMB、韓国最大手のウイルス対策ソフトである AhnLab(アンラボ)の「AhnLab Mobile Security」を搭載するなど、仕様も日本版とはずいぶん異なっている。

photophoto ソフトバンクモバイルから登場した「930SC OMNIA」

高額だが人気の「T*OMNIA」

photo “全智全能 T*OMNIA”をうたった広告。Hapticは“画質がいまひとつ”とユーザーの間で不評だったのに対し、この上を行く3.3インチのワイドVGAディスプレイを採用したT*OMNIAの画質は魅力の1つとなっている

 気になるT*OMNIAの端末価格は、内蔵メモリを4Gバイト搭載したモデルが96万8000ウォン(約6万5000円)、同16Gバイトのモデルは106万8100ウォン(約7万1000円)。「昨今の為替相場の急騰など、対内外の経営要件による原価上昇要因を最小限に反映した」(SKT)とはいうものの、ほかの端末と比べると高価なモデルには違いない。

 端末の価格設定に関しては、100万ウォン台と強気に出るSamsung電子と、90万ウォン台に下げたいSKTとの間で意見の食い違いがあったようで、販売価格は発売直前まで明らかにならずちょっとした話題になった。現在は、どうやって安く購入できるかに関心が集まっている。

 韓国でも携帯電話の割賦販売が導入されており、1〜2年ほどの回線契約を条件に、端末代金の分割払いと基本使用料などの割引がセットになったプランがある。SKTの場合は「ダブル割引制度」という名称で提供しており、3万5000ウォン(約2400円)/4万5000ウォン(約3000円)/5万5000ウォン(約3700円)/7万5000ウォン(約5000円)の月額基本料を支払えば、割引や無料通話といったサービスが受けられる。月額7万5000ウォンを24カ月契約するプランなら、割引額の合計は46万8000ウォン(約3万2000円)ほどになり、T*OMNIAの実質負担額は50万ウォン台(約3万4000円台)とぐっと手ごろになる。

photo 現在、タッチパネル携帯としては韓国で最高の人気を誇っているHaptic 2。発売当初から話題をさらったHapticの後継機であるという点、機能のグレードアップでHapticをしのぐ高機能さや楽しさを持ったという点で高い評価を受けている

 しかし月額基本料が7万5000ウォンというのは、韓国においてはかなり高額だ。SKTの標準料金制でも、基本料は1万2000ウォン(約800円)に過ぎない。また、月額1万ウォンの定額パケット通信プランや、月額1万1000ウォンの衛星DMB利用料金など、端末の性能をフルに使おうと思えばさらなる出費が必要だ。

 とはいえ、T*OMNIAが高価格なのは高機能ゆえであり、価格以外でもT*OMNIAの話題性は非常に高い。T*OMNIAは万能なスマートフォンという触れ込みでプロモーションされており、いわゆる携帯電話であるHapticシリーズとは似て非なるものだ。しかし韓国ユーザーの間では、「T*OMNIAか? Haptic 2か?」という議論が絶えない。

 “Hapticの流行に乗って買ったが、価格に比べ性能がいまひとつなのでT*OMNIAが良い”“T*OMNIAは使いこなせないなら、宝の持ち腐れ”など、さまざまな意見があるが、新しいもの好き、高性能多機能好きの韓国ユーザーにとって、T*OMNIAはHaptic以上に所有欲を満たす端末であることは間違いない。現に、発売当初は最も高い端末の1つだったHapticだが、短期間で数十万台を販売しており、その高い付加価値が認められれば端末価格や維持費は二の次になる。Samsung電子やMicrosoft、SKTとも高価格であることをマーケティング強化策として打ち出しており、アーリーアダプター層を中心に、今後の販売の伸びを期待している。

ブランド力・デザイン力で勝負に出るLG

 Samsung電子が最先端の技術力を誇示すれば、高級感、デザイン力で勝負してくるのがLG Electronicsだ。同社は世界的にヒットした“プラダケータイ”の第2弾「LG-KF900」を11月半ばに発売したほか、システム手帳で有名な「フランクリン・プランナー」(Franclin Planner)とコラボレートした携帯を12月に発表した。

 プラダケータイの特徴といえばフルタッチ操作であり、LG-KF900もそれを受け継いでいる。2本の指で操作できる“マルチタッチ”機能を搭載やスライド式のQWERTYキーボードを備えるなど、ユーザーインタフェースの幅が広がった。さらに腕時計型の、Bluetoothアクセサリー「PRADA Link」(LG-LBA-T950)まで付属し、より高級感が増している。

 “フランクリン・プランナーケータイ”(LG-SU100)は、システム手帳の目標管理ツールを携帯電話でも利用できるようにしたもの。LG Electronicsによると「顧客調査の結果、10人中7人がスケジュール管理ツールとして携帯電話を挙げた」ということで、利用頻度の高い機能を、最大限強化したのがこの端末だ。

photophoto プラダケータイの第2弾「LG-KF900」。シンプルで高級感ある外観はそのままに、機能面を強化。初代プラダケータイは9月末時点で、ミリオンセラー(全世界)を達成しており、LG Electronics製ブランド携帯の頂点に君臨している(写真=左)。フランクリン・プランナーケータイ(写真=右)。3インチディスプレイは有機ELで、文字や写真が非常に鮮明に見える。ビジネスマン向けということで、電子辞書が豊富に揃っていたり、モバイルバンキング専用バッテリーを備えるなど独自の機能を備えた。価格は60万ウォン台後半(約4万円台)

 スマートフォン戦略がスタートしたばかりのLG Electronicsは、「来年には、タッチパネル携帯の分野でリーダーシップをとりたい」と意気込んでいる。単にタッチパネルを搭載するだけでなく、デザイン力やブランド力、特徴的な機能をプラスして差別化を図る。

 同社は2009年中に、10種類以上のスマートフォンを国内外の市場に送り出すことを明らかにしている。その中には“OMNIA対抗機”となる高機能端末も含まれるようだ。同社がこれまで築いてきたプレミアムイメージはそのままに、低・中間価格の端末に関しても、1000万台以上の販売を見込めるモデルの開発を目標にしている。

 そのLG Electronicsが最も力を入れているのが「Edge」(エッジ、型番:LG-SH470)だ。欧州では“タッチライティングフォン”として販売されているもので、ディスプレイ下部に、内蔵LEDのタッチセンサーを装備。操作するごとに光の矢印が描かれたり、輝く星が尾を引くような模様が描かれるなど、イルミネーションとしても楽しめる。

 こうしたスマートフォン戦略の延長にあるのは、世界シェアの向上だ。同社は「10%台を狙う」としているが、単なるタッチパネル端末はもはや食傷気味。魅力的な機能だけではなく、LG Electronicsが得意とするデザインも重要な要素となってくる。高機能を求めるユーザーからは、“デザイン優先で決してハイスペックではない点が残念”という声も出ているが、デザインを生かすためにタッチUIを取り入れる、またミドルクラスでもタッチUIを提供する、というのは差別化戦略の1つといえるだろう。

photophoto Edgeは、画面に強化ガラスを採用しているほか、照度センサーも搭載し、周囲に合わせて画面の明るさも自動調整する。タッチパッド部分のLEDもさることながら、端末上部から下部にかけ色が薄いグラデーションとなっているのもおしゃれだ。ちなみに広告には、韓国の若者に大人気の歌手グループ「ビッグバン」を起用している。

Pantech、Motorolaもタッチケータイで対抗

photo Prestoは、カメラが200万画素などHaptic 2よりやや劣る部分もあるものの、画面が3インチのワイドQVGA、下り7.2MbpsのHSDPA対応、地上波DMB対応など、Haptic 2と遜色ない機能を持つ。価格は70万ウォン台とHaptic 2よりやや安い

 これまで韓国のタッチパネル携帯といえば、Samsung電子とLG Electronicsがしのぎを削っている状態だったが、PantechとMotorolaもタッチケータイ市場への参入を目指している。Motorolaは、海外モデルの「Krave ZN4」を韓国向けに投入する予定だ。衛星DMBに対応しており、価格もHaptic 2より安くなるという。

 SKYブランドを展開するPantechは、音楽機能を強化したタッチケータイ「Presto」(プレスト、SKT向け:IM-U310-SKT/:KTF向けIM-U310K)を発表した。名前は、音楽用語の“大変速く”に由来している。

 スタイラスペンで画面上に丸を描けば音楽再生、“く”の字を描けば巻き戻し、再度丸を描けば停止、というように、これまでにない操作方法で音楽機能を利用できる。この機能は操作ロックをかけても、利用できるという。ちなみに、操作ロックのオン/オフは、端末上部のカバーを上に押し上げる操作で行うなどユニークだ。

photo Motorolaの米国サイトに掲載されいてる「ZN4」。韓国版では衛星DMBに対応する

 PantechはPrestoについて、「プレミアムタッチ携帯市場において、Haptic 2と双へきになるよう、マーケティング活動に集中したい」としている。SKYブランドから登場した初めてのフルタッチパネル携帯ということで、韓国ユーザーの多くは様子を見ている状態だが、すでに利用している人のレビューを見ると「動きが速い」「テレビ電話中に画像を送れる」など評価は高いようだ。Haptic 2の対抗馬になりうる可能性を、十分に秘めたケータイといえるだろう。

 2008年の韓国は、Haptic 2など話題のタッチパネル端末が多く発売され、多くの認知を得た。いわいるスマートフォンと混同されている傾向はあるものの、タッチ操作に対する興味は非常に高い。2009年には、さらに多機能になり、優れたデザインのタッチケータイが出てくることに期待したい。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。弊誌「韓国携帯事情」だけでなく、IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。


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