メニューをたどることなく、待受画面から使いたい機能にすばやくアクセス――。多機能化が進み、操作が煩雑になった携帯を使いやすくする“解”の1つとして登場したのが、携帯電話向けのウィジェットだ。
auが2007年の秋冬モデル向けに「au oneガジェット」を投入したのを皮切りに、2008年夏にはウィルコムが「ウィルコム ガジェット」の提供を開始。2008年秋冬モデルでは、ドコモが「iウィジェット」、ソフトバンクモバイルが「モバイルウィジェット」を導入した。
各キャリアが提供するウィジェットの中でも、“オープン性”と“開発のしやすさ”に配慮したというのがソフトバンクモバイルのモバイルウィジェット。開発者がアプリを配信するためのプラットフォームとしてウィジェットストアを用意し、賞金総額1000万円のウィジェットコンテストを開催するなど、コンテンツ市場を活性化させるための施策を展開している。
サービス開始から約5カ月が経過した今、どんなウィジェットが人気を集めているのか。また、今後はどのようにモバイルウィジェットのすそ野を広げていくのか。ソフトバンクモバイル プロダクト・サービス本部 開発統括部 通信プラットフォーム開発部 担当課長の難波伸司氏、プロダクト・サービス本部 開発統括部 移動機技術部の柴田暁穂氏、マーケティング本部 サービスマーケティング部 サービス企画課兼ビジネス開発推進室 課長の溝渕浩二氏に聞いた。
ITmedia モバイルウィジェットがスタートしてから4カ月が経過しましたが、ウィジェットの数はどのように推移していますか。
難波氏 3月に入った頃から投稿が増え始め、コンテンツの数は250近くに達しています。ウィジェットの仕様が理解されはじめ、作り方もこなれてきたためか、アイデアで勝負する作品が増えているのが面白いですね。
2008年11月下旬のサービス開始時には「AQUOSケータイ FULLTOUCH 931SH」1機種のみだった対応機種も、2009年春モデルで「AQUOSケータイ 932SH」「831SH」「831SH KT」「830N」の4モデルが加わるなど拡大しています。
柴田氏 メーカーとしてはシャープとNECが対応しており、今後、もう1メーカーが参加する予定。携帯メーカー3社が対応することで、かなりの端末をカバーできるようになると思います。
ITmedia ケータイならではのユニークなウィジェットは登場していますか。
溝渕氏 最初の対応機種がタッチパネル端末であったため、それを生かした面白いアプリがありました。例えば「燃えよ上腕三頭筋」というアプリは、腕立て伏せをするときに、鼻でウィジェットにタッチして回数を図るというというもの。モバイルとタッチを生かしたユニークなウィジェットです。
ほかにも携帯のバイブ機能をマッサージに使う「ポケット☆マッサージ」や、電波のアンテナを100本立たせる「バリ100」など、作り手のアイデアが光る作品が登場しています。
難波 クリエーターの方々が面白いウィジェットを開発するというのも、私たちが目指す方向の1つですが、「ビジネスに使えるプラットフォームでありたい」という思いもあります。
ITmedia ビジネスに役立つウィジェットとは、どのようなものですか。
難波 例えばPC向けウィジェットは、プロモーションツールや、自社サイトへの誘導ツールとして使われることも多く、ケータイ向けウィジェットもマーケティングツールとして使えることを訴求したい。具体的にはセミナーを開催し、関心がある企業の方々に直接話して理解を深めたいと考えています。
柴田 あまりに広告っぽいものでは、ユーザーもダウンロードしないので、必然的にユーザーにも企業にもメリットがあるようなものが出てくるのではないでしょうか。
溝渕 食品メーカーがPC向けに配信しているレシピウィジェットはユニークな取り組みだと思います。PC向けウィジェットを手がけている企業にも、ぜひモバイルに進出してほしいですね。
難波 PC向けのウィジェットプラットフォームとも協力して、すそ野を広げていきたいですね。モバイルの世界で閉じたウィジェットだけを伸ばそうと思っても無理があり、トータルで市場を盛り上げて、ウィジェットやガジェットを広く知ってもらう必要があるでしょう。
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