CEVA、iPhoneにも採用されたDSPコア技術を3.5/3.9/4G携帯へ

» 2009年05月27日 12時15分 公開
[西坂真人,@IT MONOist]


 半導体IPコアライセンス事業を手掛けるCEVAの日本法人、日本シーバは2009年5月26日、都内で事業方針説明会を実施。日本におけるIPコアビジネスについて語った。


photo 日本シーバの日比野一敬社長

 世界的な半導体市場の不況が続いているが、半導体IP(Intellectual Property)のマーケットは堅調に推移している。その中でもCEVAは、携帯電話やデジタルAV機器など幅広い製品分野で利用が広がっているDSPのIPコアライセンスビジネスで急成長している。

 日本シーバの日比野一敬社長は「2008年、世界の半導体売上げは5.4%減少しているが、半導体IP市場は5.5%の成長を見せている。そしてCEVAは2008年、21.6%の大きな成長を成し遂げた」と語る。

 CEVAがこれほどの成長を遂げたのは、DSPに特化した自社開発体制だ。年間売上げの50%以上を新規DSP開発に投資(2008年の売上げは4040万ドル)。ソフトウェアや各種開発ツールを長期にわたって自社開発するなど、サポート体制にも力を入れている。

 「新規のDSP開発に尽力するだけでなく、当社DSP IPを10年以上ライセンスするところもあるなど製品が長寿命なのも特徴。ライセンサブルなDSP IPの市場で、当社の世界シェアは61%にまで拡大している」(日比野氏)。


photo CEVA副社長のエラン・ブリーマン氏

 拡大を続ける携帯電話マーケットで、DSPのニーズは急速に高まっている。特に、3.5/3.9/4Gなど次世代携帯電話で使われるDSPには、より高性能なものが求められてくる。

 CEVA副社長でコーポレートマーケティング担当のエラン・ブリーマン氏は「世界的にみても、携帯電話は市場は拡大していく。特にスマートフォンは今後大きな市場が期待できる。2008年現在、全世界の携帯電話の18%がCEVAのDSPコアを採用している。2〜3年後には世界のベースバンド市場の30〜50%をCEVAが占めるだろう」と市場への期待を述べる。


photo ベースバンド市場におけるCEVAのマーケットシェア

 欧州の携帯電話では、CEVAのDSPコアをベースバンドとして採用するケースが年々増えている。一方、日本市場での採用はこれまでなかったのだが、シャープやパナソニックの端末に最近採用されたほか、ソフトバンクのiPhone 3Gにも採用されているなど、日本の携帯電話でも徐々にCEVAのテクノロジーが普及し始めている。

photo 拡大するCEVA DSPコア採用の携帯電話。iPhone 3Gにも採用

次世代ケータイのDSPで求められる「高性能」「省電力」「低コスト」

 これまで“ガラパゴス化”してきた日本の携帯電話だが、3.5/3.9/4Gなど次世代ケータイでは国際競争力のある製品作りが課題となっている。その“次の市場”にCEVAが提案する新製品が、2009年2月に発表した次世代携帯電話向けDSPコア「CEVA-XC」シリーズだ。

photo 次世代携帯電話向けDSPコア「CEVA-XC」のブロック図

 同社の汎用DSPコア「CEVA-X」をベースに、次世代ワイヤレス通信向けに最適化したCEVA-XCは、最大3つの命令を256bitレジスタで並列実行できるベクター演算ユニットを搭載。高い処理性能と低消費電力を両立させている。日本へは、LTE/4G/WiMAXなどの市場に向け、「高性能」「省電力」「低コスト」を武器に市場拡大を図る構えだ。

 「現在、次世代携帯電話のベースバンドチップ開発が進んでいるが、そこには数えきれないほどのDSPコアが採用されており、それによるコストアップが機器メーカーの課題となっている。我々のDSPコア技術では、1つのコアでベースバンド処理が行えるというところをアピールしていきたい」(日比野氏)

photo 発表会では、CEVAのもう1つの注力分野であるHDオーディオ向けDSPコア「CEVA-TeakLite-III」の紹介も実施。発表会場では、同社DSPコアを実シリコン上に組み込んだ評価ボードが用意され、Dolby TrueHDの7.1ch HDオーディオをリアルタイムに再現するデモンストレーションが行われた

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