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» 2010年03月05日 18時32分 UPDATE

「Webコンテンツを現実空間に拡張」 セカイカメラのAPI公開 (1/2)

セカイカメラのAPI「OpenAir for Publishers」が法人向けに提供される。企業のWebコンテンツをセカイカメラと連携させ、「現実空間に拡張できる」とし、グルメ情報や不動産情報を扱うパートナー企業などとの先行事例が公開された。

[山田祐介,ITmedia]
photo 頓智ドットの井口氏

 頓智ドットは3月4日、iPhone向け拡張現実(AR)アプリ「セカイカメラ」のAPI「OpenAir for Publishers」の公開に合わせたイベント「Bootstrap 1.0」を開催した。同社の井口尊仁代表は、「拡張現実空間に、初めてオープンなプラットフォームがやってくる記念すべき瞬間」と意気込み、APIの内容と、APIを使ったコンテンツ連携の先行事例を紹介した。


セカイカメラ、波乱の1日

 イベントの開催日はセカイカメラにとって波乱に富んだ1日だった。新聞に掲載されたiPhoneの広告でセカイカメラが紹介されたかと思えば、App Storeから突如アプリが削除された。Appleの審査基準が変更された模様で、無線LANを活用する一部のアプリが公開できなくなり、クウジットの無線LAN位置測位技術「PlaceEngine」を採用しているセカイカメラもApp Storeから姿を消した。同社は次期バージョン「セカイカメラ v2.2」の近日公開に向け準備を進めており、v2.2を発表するタイミングでApp Storeでの配信を再開させる予定だ。

 無線LAN機能を取り除いても通常のGPS測位で屋外の利用はまかなえるが、エリアやフロアを認識してAR空間を構築する屋内向け商用ソリューションにはPlaceEngineが不可欠で、今回の件の影響は少なくない。イベント当日は「対応はこれから」と同社COOの佐藤僚氏は話していたが、PlaceEngineがAppleの審査をパスできなければ、屋内ソリューションは新しいアプローチを強いられることになりそうだ。

第1弾のAPIは有償サービス向けに提供 将来的には無償APIの公開も視野に

 今回のイベントで公開されたAPIは、外部サーバにあるWebコンテンツをセカイカメラと連携させ、AR空間にエアタグとして表示できるようにするもの。セカイカメラユーザーからのリクエストと、コンテンツプロバイダーが自社サーバに抱えるコンテンツとをセカイカメラのサーバが中継する仕組みで、「マスターデータをパブリッシャーのサーバ側に配置することで、既存のデータベースや管理ツールをそのまま利用できる。データをキャッシングしてリクエストをコントロールできるので、無駄なアクセスも省ける」(井口氏)。

photophoto APIでできること(写真=左)と、APIを利用する際の構成(写真=右)

 このAPIは法人向けの有償サービスとして提供される。APIを使って表示できるエアタグは「オーソライズドタグ」として表示され、アイコンのデザインがカスタマイズ可能で、エアタグの内容が金色のフレームで縁取られる。さらに基本的にはユーザーがエアタグにコメントを残すことができないなど、“企業公式”のエアタグとして通常のエアタグとの差別化が図られている。

 ユーザーはフィルター機能を使ってオーソライズドタグのみを表示させることが可能で、次期バージョンではユーザーの付近にある各社のオーソライズドタグの中から、表示したいオーソライズドタグを任意に選択できるようになるという。こうした公式エアタグを充実させることで、安心で役に立つコンテンツを増やし、セカイカメラの体験性を「底上げ」するのが同社の狙いだ。また、コンテンツの増加と並行し、次期バージョンではアプリの処理速度も改善するなどしてユーザーの不満に応えていく。

 キーワードを入れて検索するといった従来のインターネットとは異なり、セカイカメラでは「現実空間がインターネットの入り口になる」と井口氏は説明する。企業はAPIを使うことで、場所にひも付いたフレッシュな情報をセカイカメラユーザーに訴求できるようになり、ソーシャル機能「セカイライフ」を通じて、Twitterのようにユーザーのつながりを経由した情報の伝搬も見込める。

 店舗や施設など、“場所”と関わりのあるデータを持つ企業は、自前の緯度経度情報や、住所を緯度経度情報に変換したデータを使って、APIによるセカイカメラ上でのコンテンツ配信を比較的簡単に始められるはずだ。COOの佐藤氏は「まず最初に考えたのは、グルメ、不動産、旅行などの情報と相性がいいだろうということ」と振り返る。実際、今回のイベントに合わせて発表された先行事例の数々は、こうした業種のものが多かった(詳細は次ページ)。

 現状ではオーソライズドタグを配信する方法として、GoogleMapsAPIプレミアを使った頓智ドットの商用ソリューション「セカイカメラEx」のツールを利用する方法と、今回のAPIを活用する方法の2種類が用意されたことになる。また、ゼンリンデータコムの提供する地図ソリューション「e-map」の利用企業であれば、セカイカメラとの連携オプションを使って、セカイカメラ上にコンテンツを簡単に配信できる。

 気になるのは今後無償のAPIの提供があるのかだが、井口氏は「非商用のAPIの提供も同時に検討している」とコメント。「商用、非商用にかかわらず、拡張現実をさらに豊かにするためのパートナーを求めている。OpenAirはまだ始まったばかり。アイデアあふれる事業プランやコンテンツをご提案いただければ」と、参加を呼びかけた。

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