iPhone OS 4が切り開く、新たなビジネス活用の可能性iPhoneとビジネスのミライ(1/2 ページ)

» 2010年04月28日 20時22分 公開
[手塚康夫(ジェナ),ITmedia]

 米現地時間の4月8日、iPhoneの次期最新OSであるiPhone OS 4が発表された。3回目のメジャーバージョンアップとなるiPhone OS 4へのアップデートは、iPhone向けには夏に、iPad向けには秋に提供される予定であり、一般ユーザー向けの機能はもちろん、ビジネス向けの機能も大幅に拡充される。

 1500以上といわれるAPIや、100を超えるユーザー向けの新機能が提供されることで、新たなビジネスモデル創出の可能性が広がることは間違いないと筆者は予想している。まずは、エンタープライズ向けにアップデートされた主要な機能を見ていこう。

マルチタスクのサポート

 ユーザーに最も大きなメリットをもたらすのは「マルチタスク」のサポートであろう。今回のマルチタスク対応では、7つのマルチタスキングサービス(バックグラウンドオーディオ、VoIP、バックグラウンドロケーション、プッシュ通知、ローカル通知、タスク完了通知、高速アプリ切り替え)が利用できるようになる。

 例えばビジネスシーンでは、SkypeなどのVoIP機能を持つアプリで顧客と会話をしながら、WebブラウザのSafariで社内のWebベースのCRM/SFAにアクセスし、必要な顧客情報を参照して即座にメールアプリに切り替え、顧客に最適な情報を提供する――といった、無駄のない効率的なワークスタイルをiPhoneやiPadで確立できるのだ。

メール機能の進化

 今回のアップデートでは、メール機能も大きな進化を遂げている。複数メールアカウントのメッセージを1つの受信ボックスでまとめて表示できるようになり、複数のExchangeアカウントも同時に表示可能になった。スレッド単位でのメッセージ表示も可能になるなど、ユーザーインタフェースも大幅に向上した。

 メールの添付ファイルは、他のアプリケーションでの展開が可能になったため、今後はメールのやり取りの中でさまざまなファイル形式のデータを展開できるようになるだろう。

セキュリティ機能の強化

 セキュリティ機能は、iPhone OS 3.0でリモートワイプ(遠隔操作でiPhone上のデータを完全に消去する機能)に代表される多くのセキュリティ機能が実装され、iPhone OS 4でもさらに強化される。

 新たにメールと添付ファイルの暗号化に対応し、データ保護APIが公開された。これにより、アプリを開発する際、アプリケーション内に格納するデータの暗号化が可能になり、企業におけるアプリケーションの運用においても、セキュアな環境でアプリを利用できるようになる。

 また、SSL VPNをサポートすることも明らかになり、Juniper NetworksとCisco Systemsが開発中のアプリケーションを対応させると発表している。

運用管理の効率化

 現状では、アプリケーションはApp StoreやiTunes経由でのインストールが必須だが、iPhone OS 4からはネットワークでワイヤレスに配布できるようになる。これにより、企業が社内専用のアプリケーションを開発し、社内で配布する際のオペレーションが劇的に軽減される。大規模にiPhoneを導入している企業にとって、アプリケーションの配布は大きな負担になっており、今回のアップデートによる本機能の搭載は朗報といえるだろう。

 また、Mobile Device Management APIの公開もiPhoneの運用管理においてメリットをもたらす。現状、端末の一元的な運用管理は、iPhone構成ユーティリティを使って複数ユーザーのiPhone設定を行うための構成プロファイルを作成し、それをユーザーに配布することで行う仕様だ。これが今回のアップデートで、Mobile Device Management APIの公開されると、ソリューションと統合したiPhone端末の運用管理が実現可能になり、構成ユーティリティに依存することなくiPhoneの設定変更や端末のリモートロック、リモートワイプを実行可能になる。より効率的でセキュアな運用管理が実現するわけだ。

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