iPad登場で「MAGASTORE」に異変――電通が考える電子書籍のジレンマ(1/2 ページ)

» 2010年06月04日 14時44分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo 電通の文分邦彦氏

 「iPadからの購入が売上の8割を占めている」――5月中旬にiPad対応を果たした雑誌配信プラットフォーム「MAGASTORE(マガストア)」に“異変”が起きた。6月3日にEagleが主催したセミナー「モバイル氷河期のサバイブ計画 第2回:スマートフォンアプリビジネスの攻略法」で、電子書籍事業に関わる電通 雑誌局の文分邦彦氏が、同社の取り組みから見えてきた電子書籍の課題と解決法を話した。

書店型かタイトル型か――電通が考える「電子書籍のジレンマ」

 出版業界が販売部数の低下や広告収入の減少に苦しむ中、KindleやiPadといったデバイスの登場によって電子書籍に対する注目が高まっている。電通はヤッパと提携して2009年9月にMAGASTOREをオープンし、iPhone向けアプリの提供を開始。講談社や小学館といった大手出版社が雑誌コンテンツの配信に乗り出した。さらに、雑誌の単独アプリを配信するためのコンテンツ最適化ソリューション「SpinMedia Remix」をヤッパと開発し、「R25 for iPhone」などのアプリが登場している。

photophoto 書店型アプリのMAGASTORE(写真=左)と、タイトル型アプリの「R25 for iPhone」(写真=右)

 MAGASTOREを開設して半年以上が過ぎ、文分氏にはコンテンツ提供者が電子書籍ビジネスで突き当たる「ジレンマ」がいくつか見えてきた。1つは、MAGASTOREのような「書店型」のアプリに参加するか、R25 for iPhoneのような「タイトル型」の独自アプリを展開するかという、配信スタイルのあり方だ。

 書店型は、配信ソリューションがあらかじめ用意されているので初期投資が少なく済むほか、「プロモーションを書店に任せられる。書店が一般に認知されていれば、あとは良い棚を取ればいい」(文分氏)というメリットがある。一方、“書店側”に売上のマージンを払うことになり、ローリスク/ローリターンなビジネスになる。対してタイトル型は、書店側へのマージンは必要なく、さらにアプリのUI(ユーザーインタフェース)なども自由にカスタマイズできる魅力があるものの、配信環境の構築や運用に大きなコストが発生する。プロモーションも自前で展開する必要があり、雑誌の認知度が高ければビジネスとして成り立つが、そうでなければマーケットで埋もれてしまう、ハイリスク/ハイリターンなモデルと文分氏は話す。

photo 書店型/タイトル型の並行展開で、双方の弱点を補う

 このジレンマの解決法として文分氏が取り組んでいるのは、書店型とタイトル型を並行して展開し、双方を連動させるビジネスモデルだ。書店型アプリでコンテンツを配信して読者を確保しつつ、独自のUIや機能を備えたタイトル型アプリへの誘導や、広告の連動を図る。「GQ JAPAN」などのiPadアプリがこの手法を取り入れ、独立したアプリとMAGASTORE向けコンテンツを展開している。

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