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» 2011年04月15日 20時00分 UPDATE

バーチャルからリアルへ広がる「助け合い」――あの日から位置ゲー「コロプラ」に起きたこと (1/2)

「できる限り支援します」――位置ゲー「コロニーな生活☆PLUS」に根付く“助け合いの文化”は、東日本大震災によって現実世界へも広がっていった。「リアルとバーチャルの架け橋」という思いを胸に、運営スタッフも復興への取り組みを形にしていく。

[山田祐介,ITmedia]
photo 「コロニーな生活☆PLUS」のゲーム画面

 携帯電話の位置情報を使い、移動しながらゲームを楽しむ“位置ゲー”――その代表的な1つに、コロプラが運営する「コロニーな生活☆PLUS」(通称:コロプラ)がある。場所を移動することでもらえるゲーム内通貨などを使って自分のコロニー(街)を発展させていくゲームだ。現実の居場所とゲームが連動し、行く先々で近隣ユーザーと交流しながらゲームを進めるのが醍醐味の1つとなっている。

 東日本大震災が発生してから、ゲームにはいくつかの特別な機能が実装された。その1つがゲーム内における被災エリアへの「ワープゾーン」の設置だ。全国のユーザーがワープゾーンを通って被災地域に移動し、被災地のコロニーを助けられるようにしている。

photo ゲーム内の掲示板には、被災地ユーザーへの支援に関するスレッドが立っている

 コロニーは放置されると時間とともに荒廃してしまう。被災し、ゲームにアクセスできなくなったユーザーのコロニーを守るため、他のユーザーが物資を補給したり、アイテムを使ってコロニーを一時的に凍結したりしている。被災地ユーザーの掲示板には、「できる限り支援します」「どうかご無事で」の書き込み。コロニーの持ち主が再びゲームに戻ってくると信じ、今この時も「支援」は続いている。

 お腹も満たせず、暖も取れないゲームの中の支援。しかし、落ち着きを取り戻し、再びゲームにアクセスした被災者の励みになることもある。「本当にありがとう」――震災の数日後から、そんなお礼の言葉を目にすることもできるようになった。地域の掲示板機能を通じて、自治体からの連絡やバスの運行状況といった、震災に関するローカルな情報を提供するユーザーもいる。

携帯ゲームにもできることがある

photo コロプラ取締役CSOの長谷部潤氏

 コロニーな生活☆PLUSは「助け合い」のゲームだ。ゲームの開始初期はコロニーの維持が難しく、多くのユーザーは“先輩コロニー”の支援を受けながら自分のコロニーを発展させていく。

 震災を受け、運営スタッフは被災エリアのコロニーを自動的に一時凍結させることも考えた。しかし、助け合いの文化を信じて「あえて被災地のゲーム進行を止めなかった」と、コロプラ取締役CSOの長谷部潤氏は言う。運営サイドとして凍結しないかわりに、被災地へのワープゾーンを設け、支援用のアイテムやゲーム内通貨、コロニー凍結機能をユーザーに提供した。

 さらにこうした取り組みと合わせて、現実の被災地への義援金もゲーム内で募ることにした。コロニーな生活☆PLUSに加え、「キャリー・ストーリー」という同社の位置ゲーで、復興への思いを込めたゲームアイテムと引き替えにユーザーからの募金を受け付けた。

 3月末の締め切りまでにユーザーから集まった寄付金は、約4000万円。これに、コラプラからの1000万円の寄付金を加え、約5000万円を日本赤十字に寄付する。「“助け合い”というゲームの習慣が、そのままリアルでも実践された」と、長谷部氏は考えている。

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