ジブリに「ネット使う決意」させたKDDI 「コクリコ坂から」でタイアップ

» 2011年06月22日 17時08分 公開
[山田祐介,ITmedia]
photo KDDIの高橋専務(左)とスタジオジブリの鈴木プロデューサー(右)

 「インターネットと距離を置いてきた」というスタジオジブリがこの夏、新作映画「コクリコ坂から」(7月16日公開)のキャンペーンをKDDIとともに展開する。7月1日から映画と連動したテレビCMを展開し、「スタジオジブリ初」という予告編や宮崎吾朗監督インタビューなどのモバイル配信も行う。映画の舞台となる横浜市とも協力し、スタンプラリーやARアプリ「セカイカメラ」を使ったキャンペーンを実施する。

KDDIとのキャンペーンで、ネット活用の「腹を決めた」と鈴木氏

 記者発表会に立ったスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、スタジオジブリがこれまで「インターネットと距離を置いてきた」一方、「そろそろネットをやらなきゃいけないと思っていた」と、思いを明かした。ニコニコ動画で試写会の様子をネット配信するなど、ジブリのネット活用の模索は始まっているが、鈴木氏がネットを使う「腹を決めた」のは、KDDIとのキャンペーンが持ちあがったのがきっかけだという。

 鈴木氏によれば、KDDIとのキャンペーンが決まったのは2010年11月。「ネットをやる」と決意したとたん、ラジオ共演で知り合ったドワンゴの川上量生会長から「ジブリで働きたい」と申し出があるなど、巡り合わせのようにネットとジブリをつなぐ“人との出会い”が生まれたという。川上氏は、KDDIとのキャンペーンにも尽力したそうで、キャンペーンの発表会もニコニコ動画でライブ配信された。

 NTTドコモやソフトバンクからもタイアップの申し出はあったが、KDDIの高橋誠専務らの「建前でものを言わない」人柄から、同社とのキャンペーンを決めたと鈴木氏。「インターネットを使わずにキャンペーンをできないか」「携帯のない時代、みんな幸せだった」といった言葉もぶつけながら、企画を練ったという。

 高橋専務は鈴木氏に対し、「無料で簡単にコンテンツが見られる時代だが、価値あるものを価値をもって提供したい」といった思いを説明したそうだ。「(ジブリに)いみ嫌われていると思っていたが、念願がかなった」(高橋氏)

 また、鈴木氏は“ネット、ケータイ嫌い”とされる宮崎駿監督の意外な一面も明かした。鈴木氏はあるとき宮崎氏にケータイを持たせたそうで、「僕の前では『使っていない』と言っているが、会社で買っているので明細で使っているか分かる。かなりの頻度で使っている(笑)」という。「現代を避けて通ることはできないということで、キャンペーンもやっていきたい」(鈴木氏)

photophoto ニコ動でも中継されたキャンペーン発表会。手嶌葵さんが映画の主題歌「さよならの夏〜コクリコ坂から〜」を披露した。前日が24才の誕生日だったとのことで、高橋氏と鈴木氏が花束を贈呈

キャンペーンのテーマは「不易流行」

 キャンペーンのテーマは「不易流行」。普遍的なものを大切にしながら、新しいものを取り入れていく姿勢を表現する。KDDIは「人と人とが向きあう大切さ」「伝えたいという自然な気持ち」という同社の変わらぬ思いをキャンペーンにこめる。

 テレビCMでは、「私を、あなたに伝えたい」というメッセージとともに映画の主題歌、そして主題歌を歌う手嶌葵さんを起用。映画にちなんだロケ地で撮影し、手嶌さんの手にはiidaの新モデル「INFOBAR A01」が握られている。

 PC、モバイルサイトでは、映画に登場するUW旗(航海の無事を祈る旗)にちなんだキャンペーンも展開する。人に伝えたい思いを「フラッグメッセージ」として一般ユーザーから募る。

 さらに、au端末向けに映画の予告編や宮崎吾朗監督のインタビュー映像をモバイル配信。携帯の待ち受けFlashや、Androidスマートフォンの画面を映画のビジュアルにカスタマイズできる「きせかえtouch」、主題歌の“体験版”などのコンテンツも提供する。


photo 映画のビジュアルやUW旗をモチーフにした「きせかえtouch」を提供する

 映画の舞台が1963年の横浜であることから、7月16日からは横浜市との連携キャンペーンも実施。ジブリオリジナルのガイドマップで映画や横浜の歴史について学べるスタンプラリーなどを行う。

photo セカイカメラで映画の時代の横浜を知ることができる

 また、1963年当時の風景や情報を、セカイカメラを使ってARコンテンツとして街に浮かばせる。山下公園や大さん橋、港の見える丘公園などでセカイカメラをのぞくと、コンテンツが浮かび上がるという。また、キャンペーンを快適に楽しめるよう、「au Wi-Fi SPOT」を市内に設置し、提供する。


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