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» 2012年05月24日 22時41分 UPDATE

エリクソン、ワイヤレスジャパンに出展――“脱土管、脱ネットワーク障害”向けソリューション展示

次世代モバイル通信のネットワーク構築、急増するトラフィックへの対策、土管化を避けるためのビジネスモデルの構築――。ワイヤレスジャパンのエリクソンブースでは、こうした課題への解決策を提示する。

[日高彰,ITmedia]

 エリクソン・ジャパンが、5月30日に開幕する移動体通信の見本市「ワイヤレスジャパン2012」に出展する。

 LTEをはじめとする新技術の導入、そしてスマートフォンの普及によってモバイルネットワークのトレンドが急速に変化しつつある中、エリクソンでは先進的市場として日本を重視しているといい、ワイヤレスジャパンでも新技術からサービス、ソリューションに至るまで幅広い展示を行う。

Photo ワイヤレスジャパンのエリクソンブース

LTEからW-CDMAへの音声通話のハンドオーバーをデモ

 デモンストレーションの目玉は、LTEから3Gへアクティブに音声通話をハンドオーバーするSRVCC(Single Radio Voice Call Continuity)の実演だ。

 現在、商用サービスとして提供されているLTEネットワークでは、音声通話はサポート外となっている。そのため、LTE網に接続している間に通話が着信すると、従来の3G網による回線交換方式に切り替えて対応している。

 この「CS(Circuit Switched)フォールバック」と呼ばれる動作では、LTEでのデータ通信中に音声着信が発生しただけでパケット接続も3Gになってしまうので、利用者の利便性を損なうことになる。また、ネットワークの利用効率の面でも、本来なら音声通話もLTE網で統合的に取り扱うのが望ましい。この対応策として提案されているのが、LTEのパケット網を利用して音声通話を実現する「VoLTE(Voice over LTE)」という技術で、NTTドコモらも将来はVoLTEを導入する意向を示している。

 しかし、LTEはは3Gに比べてまだまだカバーエリアが小さいため、VoLTEでの通話中にユーザーがLTEエリアから3Gのみのエリアへ移動してしまう可能性がある。このとき、VoLTEから3G回線交換へのハンドオーバーを行うのがSRVCCだ。

 このデモは、2月にバルセロナで開催された「Mobile World Congress 2012」で初披露された。動作自体は一瞬なので何事もなく見えるが、SRVCCは3GからVoLTEへのスムーズな移行に不可欠な技術であり、LTEの本格展開にあたって重要な要素とされている。

sa_ercs02.jpgPhoto 端末がLTEエリア外に出たとき、VoLTE通話を従来の回線交換にハンドオーバーするSRVCC(画面=左)。かつてはVoLTE導入の是非が議論されることもあったが、メリットが検証された現在は世界的に導入の機運が高まっているという(画面=右)

スマホで急増するトラフィックに対応する製品も

 トラフィック増大に対応する製品としては、パケットゲートウェイを構成する次世代プラットフォームとなる、SSR(Smart Services Routers)の最新モデルを展示する。従来製品からデータ転送能力を高めているだけでなく、異なるシャーシをまたぐ複数基で冗長構成を組める機能も近日提供する予定だ。

 また、今後コアネットワークの可用性をさらに高めるため、シグナリング(制御信号系)の処理とデータ転送系の処理を共通のプラットフォームでまかなうソリューションも検討している。

 トラフィックは、動画などによるデータ転送量の増大だけではなく、従来型のフィーチャーフォンに比べて頻繁にやりとりされるシグナリングの処理の負荷がむしろ重大な問題になっている。シグナリングとデータ転送の両方を共通の機器で処理し、それぞれへのリソースを動的に割り当てることで、シグナリングの負荷が高いときは制御系に多くの処理能力を割り当て、そうでないときはデータ転送に多くのリソースを割り当てることでスループットを上げるといった運用も可能になるという。

sa_ercs04.jpgPhoto パケットコアの基盤となるSSRの最新機種を展示する(画面=左)。シグナリング、データ転送、その他各種アプリケーションを共通プラットフォームで処理する方向へ発展させる(画面=右)

サービス、ソリューションのデモも

 今回のワイヤレスジャパンでは、ネットワーク関連の技術や機器のみならず、各種のソリューションやサービスも展示される。

 出張コストの削減や、意思決定の迅速化のニーズを受け、米Polycomとの協業で開発したのがビデオ会議システムの「Ericsson Visual Communication」。このソリューション自体は各国の通信事業者向けの製品となっている。

 通信事業者がIMSの機能を利用して顧客企業にビデオ会議システムを提供するため、高い相互接続性を確保することができ、映像・音声品質の保証も可能となるなど、インターネット経由のビデオ会議システムに対して“キャリアグレード”のサービスを提供できることが特徴となっている。アクセス回線は固定/モバイルを問わず、スマートフォン、タブレット、PCのいずれにむけても高画質のビデオ会議を提供できる仕様になっている。

Photo “キャリアグレード”のビデオ会議サービスを提供するVisual Communication

 通信事業者向けのソリューションとしては、ネットワークやCRMシステムなどから得られる各種データを分析し、サービス品質を可視化する「MESA(Managed End-user Service Assurance)」も用意。事業者のオペレーションの一部を代行するマネージドサービスの一部として提供するもので、ネットワークの利用状況を常時監視し、現在のパフォーマンスを分かりやくダッシュボードに表示する。携帯電話のユーザーがパフォーマンスの低下を問題視する前にその兆候を察知することでサービス品質を維持し、解約率低下・顧客満足度向上につなげることができる。

Photo サービス品質低下を事後対応でなく事前に察知しユーザー満足度を維持するMESA

 そのほかM2M関連の新たな取り組みとして、スマートフォンの位置情報を利用した「GeoMessaging」技術の研究成果も紹介する。これは移動中の自動車にエリア情報を提供するといった用途を想定した技術。端末はグリッド状に区切られた一定範囲の境界を越えるたびにサーバに位置登録を行うとともに、新たに進入するグリッドに関するデータを取得する。災害時に進入禁止エリアを設定し、そこへの自動車の流入に対して警告を出すといった使い方が可能で、都内で実証実験を実施したという。

sa_ercs08.jpgPhoto スマートフォンの位置情報を利用して情報配信を行うGeoMessaging。災害地域への進入を警告するシステムの実験を都内で実施

 同社では、今回の出展テーマを「Networked Society」とし、モバイルネットワークの設備や技術のみならず、さまざまなデバイスが通信機能を持ち、常時ネットワークに接続される将来の社会像を見越したソリューションやコンセプトを来場者にアピールする考えだ。

 なお、同社関連の講演スケジュールは以下の通り。

■ワイヤレスジャパン エリクソン講演
日時 会場 講演概要 スピーカー
2012年5月30日(水)14:00-14:30 会議棟7F国際会議場 エリクソンの描く”The Networked Society” 表取締役社長 ヤン・シグネル氏
2012年5月30日(水)17:00-17:30 展示会場内A会場 エリクソンのNFCに対する取り組みについて ビジネスデベロップメント本部長 木下 直樹氏
2012年5月31日(木)14:40-15:20 会議棟6F 607号室 進化するモバイルブロードバンドとエリクソンの取組み チーフ・テクノロジー・オフィサー 藤岡 雅宣氏
2012年5月31日(木)15:00-16:30 展示会場内C会場 クラウドによるM2M市場拡大 モバイル・ブロードバンド部 担当部長 関矢 壮範氏
2012年6月1日(金)14:50-15:30 展示会場内C会場 Networked Society M2Mによる価値の最大化を目指して エリクソン・リサーチ・ジャパン所長 小田 稔周氏

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