スマホシフトで“端末メーカーの競争軸はどこに”――ソニーモバイルは「コミュニティ」重視へ:Open Mobile Summit London 2012(1/2 ページ)

» 2012年06月01日 17時38分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
Photo Arete Researchのアナリスト、リチャード・クレイマー氏

 「スマートフォンは黒くて平たい端末ばかりで、差別化が大きな課題になっている。2012年、メーカーにとって状況はさらに苦しくなる」――。こう話すのは、Arete Researchでマネージングパートナーを務めるアナリストのリチャード・クレイマー氏だ。

 スマートフォンは世界のモバイル市場を席巻しており、AndroidとiOSの2つのプラットフォームでエコシステムがほぼ固定しつつある。Android端末を開発するメーカーは互いにしのぎを削っているが、似通った形になりがちな上、機能面での差別化も難しいことから競争が激化している。

 「携帯電話メーカーで収益を伸ばしているのはApple、Samsung、HTCの3社くらい。メーカーは厳しい状況に置かれている」と、クレイマー氏は警告する。5月29日と30日の2日間にわたり、英ロンドンで開催されたモバイルイベント「Open Mobile Summit London 2012」で同氏は、スマートフォン業界を鋭く洞察した。

Photo パネルディスカッションの登壇者。左からLG Electronics、モバイル担当バイスプレジデントのチャン・ヨンソ氏、Vodafoneのターミナルグループディレクターのパトリック・ショメ氏、ソニーモバイル最高マーケティング責任者のスティーブ・ウォーカー氏、Arete Researchのリチャード・クレイマー氏

モバイル端末市場に“PC型モデル”の波、差別化が困難に

 2012年、モバイル端末市場は2300億ドル規模になると予想され、台数にして7億5000万台から8億台の端末が出荷される見込み。スマートフォン人気は衰えを知らず、今後は新興国にも普及が拡大するとみられている。市場は活況を呈しているが、そこに端末を供給するメーカーの勢力図は塗り替えられ、2011年にはNokia、Research In Motion(RIM)、LG、Motorola、Sony Ericsson(現在ソニーモバイル)などのトップベンダーがシェアを落としている。クレイマー氏は「問題は差別化の難しさにある。2012年には、この問題はさらに悪化するのでは」と予測する。

 端末メーカーの利益が激しい価格競争で圧迫されているにもかかわらず、特許ライセンスとマーケティングなどの支出は増えている。さらに「標準ハードウェアとプラットフォームソフトの組み合わせというPC型のモデルが入ってきている」(クレイマー氏)ことから、差別化が難しくなっている。「メーカーが投入する端末はどれも黒くて平たく、ほとんどの消費者は見分けがつかない。これは根本的な問題で、状況を変える必要がある」(同)

 Androidはデファクトとなり、かつてのMicrosoft(Windows)とIntelのように、Android(Google)とQualcommが支配する時代が訪れている(クレイマー氏は2社の組み合わせを“GooQ”と称している)。「あらゆるエコシステムがコンポーネントからスタートし、コンテンツなどに拡大する。現在エコシステムを独占しているのは、Apple、そしてGoogle+Qualcommだ」(クレイマー氏)。iOSとAndroidがスマートフォンのシェアの大多数を占めており、残されたスペースは少ない。「通信キャリアは3つ目のOS戦略をとる場合、慎重にするべきだ」とクレイマー氏は助言した。

 クレイマー氏はトレンド予測として、モバイル業界が「アフターハードウェア・フェーズ(AH)」に入りつつあるとみる。「タッチ画面、通信速度などハードウェア側の進化は一段落した」(クレイマー氏)。例えば、iPadのスマートカバーで大きな利益を上げているAppleも、その一例だ。iPadを購入する人の多くがスマートカバーも一緒に購入しており、Appleはスマートカバーで四半期ごとに5億ドル近くの売り上げを計上しているという(スマートカバー30ドル×iPad1550万台)。Amazonも、「Kindel Fire」のPrime Serviceで同じことを始めようとしており、端末メーカーがハードウェア以外のところで収益を上げる方法を探り始めたとクレイマー氏は説明する。

 もう1つのトレンドが新興国のスマートフォン人気だ。新興国では100ドルを切る安価なスマートフォンが次々と登場し、新たなカテゴリーが生まれるとクレイマー氏は予想する。成長国にはないイノベーションが起こっており、例えば中国ではインターネットのサービスブランドを持つ企業が携帯電話をリリースするなどのトレンドもみられるという。

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