スマホシフトで“端末メーカーの競争軸はどこに”――ソニーモバイルは「コミュニティ」重視へOpen Mobile Summit London 2012(2/2 ページ)

» 2012年06月01日 17時38分 公開
[末岡洋子,ITmedia]
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新生ソニーモバイルは「コミュニティ作り」を重視

Photo ソニーモバイル 最高マーケティング責任者のスティーブ・ウォーカー氏

 講演の後半に行われたパネルディスカッションでは、ソニーモバイルで最高マーケティング責任者を務めるスティーブ・ウォーカー氏がVodafone、LGの代表者とともにステージに上がり、将来の端末をテーマに意見を交わした。ウォーカー氏は、ソニーの1グループ企業となったソニーモバイルでは「コミュニティ」を重視すると話す。

 ソニーはEricssonからSony Ericssonの株式を買い取り、ソニーモバイルとして完全子会社化した。今後は「ワンソニー」戦略のもと、さまざまな端末でソニーエクスペリエンスを提供していく考えだ。

 今後、ソニーが持つハードウェア以外の資産とソニーモバイルはどのような形で統合されていくのか――というクレイマー氏の質問に対し、ウォーカー氏は次のように答えた。「ソニーにはイメージング技術などのコンポーネントやコンテンツがある。Sony Ericssonのときとは異なり、(完全子会社となったことで)ソニーが持つ技術との完全な統合が可能になった。ソニーモバイルを率いる鈴木国正は、他のコンシューマー製品の設計にも詳しく、さまざまな製品間で統一されたユーザーエクスペリエンスを提供していくことになる」(ウォーカー氏)。

 だが、「統合は、そう簡単なことではない」とウォーカー氏。「真の統合は大きな違いを生む。われわれはすべてを一度に統合するのではなく、少しずつ端末やサービスを統合していく」(同)。

 ウォーカー氏は、ソニー独自のエクスペリエンスを「プレミアムエクスペリエンス」と表現する。具体的には、中核にソニーのコンテンツによるエクスペリエンスがあり、通信キャリアなどがこれを強化することになる。コンテンツの周りにどのようにコミュニティを作るのかを検討しているといい、ネットワークと端末に限定されないコミュニティ作りを目指すとした。

 例えば1億人が登録する「PLAYSTATION Network」は、顧客とソニーが直接関係を構築している貴重なサービスだ。モバイル端末の販売にあたっては、端末メーカーとユーザーの間に通信キャリアが入るため、メーカーがユーザーとの直接の接点を作るのは難しい(うまくいっているのはAppleぐらいだ)。ウォーカー氏はPLAYSTATION Networkを他の端末に拡大することを示唆しながら、「コミュニティの要素を作ることが重要。コンシューマーとの関係は、単にトランザクションベースの関係ではなく、コミュニティが土台となる。ソーシャルネットワークのトラフィックはコンテンツの体験から生まれており、とにかく大切なのはコンテンツの周りのコミュニティ」と語った。

 なお、クレイマー氏が冒頭で“黒くて平たい端末”という言葉で指摘した端末の没個性化については、現場をよく知るVodafoneのパトリック・ショメ氏(ターミナルグループディレクター)もこれに同意している。「コンシューマーはショップに入り、どれも同じに見える端末を見る。今後はテレビのように、画面と分類で区別するのかもしれない。現在、この方向に向かっているようにみえる」(ショメ氏)

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