ソーシャル、ローカル、コマースが変えるモバイルマーケティング、海外のトレンドは:Open Mobile Summit 2011 San Francisco

» 2011年11月29日 10時48分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 スマートフォン市場で、ソーシャルとコマース分野のサービスが注目を集めている。業界では、ソーシャル(Social)、ローカル(Local)、モバイル(Mobile)の“SoLoMo”、それにコマース(Commerce)を組み合わせて“SoLoMoCo”といわれることもあるなど、今後の成長が期待される分野だ。

 11月に米サンフランシスコで開催されたモバイル系イベント「Open Mobile Summit Sun Francisco 2011」でも、関連プレーヤーが参加するパネルディスカッションが開かれ、eBayのCEO、ジョン・ドナホー(John Donahoe)氏、ベンチャーキャピタル(VC)Andreessen Horowitzのパートナー、ジェフ・ジョーダン(Jeff Jordan)氏、PR会社Weber Shandwickの創業者、ラリー・ウェーバー(Larry Weber)氏、McCann Ericksonの最高イノベーション責任者、マット・フリーマン(Matt Freeman)氏らがSoLoMoCoサービスの現状と今後の見通しについて語った。

Photo 左からラリー・ウェーバー氏(現在Racepoint Group会長)、モデレータを務めたAll Things Digitalのカラ・スウィシャー氏、McCann Ericksonのマット・フリーマン氏、eBayのジョン・ドナホー氏、Andreessen Horowitzのジェフ・ジョーダン氏

GrouponとFoursquare、それぞれの悩み

 ソーシャル/コマース分野の連携についてウェーバー氏は、「コンテンツの消費や共有が作るソーシャル環境がコマースにつながる」と述べ、コマースを促進できるソーシャルを組み合わせた販売活動が鍵を握るという見方を示した。McCannのフリーマン氏はブランドの広告戦略が変わってきていると指摘。「企業は広告よりも、エンゲージ(ユーザーとのつながり)を求めている。デジタルの顧客プログラムやクーポン、Facebook、Twitterを利用したクイックプロモーションに注目している」と述べ、いまだにテレビに大きな広告予算を投じている企業もあるが、これも徐々に変化していくと予測する。

 また、新たなマーケティングの手法として注目されている、“近くにいる潜在顧客にクーポンを配るプロモーション”については、“ニワトリが先か、タマゴが先か”の問題から立ち上がりに時間がかかるとVCのジョーダン氏。こうしたサービスを成立させるには、“サービスに参加するショップをたくさん集めること”と、“それを利用したいと思う顧客がたくさんいること”の2つが必要となるからだ。

 さきにIPOを果たしたデジタルクーポンのGrouponは、巨大な予算を割いて数千人規模の営業チームを構築しているが、適切なタイミングでサービスをオファーするアプリの提供には程遠い。一方、位置情報を活用したソーシャルサービスのFoursquareもクーポン事業を開始したが、営業部隊が貧弱だ。「この2つを両立させることは、現時点ではとても難しい」(ジョーダン氏)

 同氏がユニークな事例としてあげたのが、レストラン予約サービスのOpenTableだ。ユーザーに利用してもらうためには、種類、数、場所などの点でニーズを満たすレストランがそろっている必要がある。同時に、レストラン側にはリアルタイムの予約システムが必要となるが、これらの環境作りをOpenTableは8年がかりで行ったという。いったんコンシューマーが予約するようになると、レストラン側も投資に前向きになり、セレクションが増え、これが新しいユーザーを呼び込む。「OpenTableは創業12年。サイクルが回り始めるまで10年程度を要した」と説明する。

 OpenTableはモバイルのトレンドも見逃さなかった。容易に最寄のレストランを検索できるアプリを用意したところ、これが人気を博し、現在では予約の15%程度がモバイルからになったという。ジョーダン氏はモバイルとPCの違いについても言及し「PCからは前もって準備する誕生日や記念日の予約が多く、モバイルからの予約は同日か数時間後のものがほとんど。明らかに、ユーザーは便利さを感じているようだ」と述べた。

いかに“使いやすくするか”がカギに

 モバイル、コマース、ソーシャルは今後、どのように進展していくのだろうか。「モバイルが主流のパラダイムシフトが起こっており、その可能性は無限」と話すジョーダン氏は、端末の機能を利用したモバイル発のアプリが次々登場すると予測する。「これまではタブレットやスマートフォンなど、ハードウェア側の革新が進んだが、今後はソフトウェアが震源地になる」(ジョーダン氏)

 eBayのドナホー氏が「使いやすさが重要。消費者に技術を使いやすいものとしてみせるソリューションを提供するところが勝つ」と述べると、ウェーバー氏も同意し、「音声を利用して操作を容易にするアプリケーションに可能性がある」とした。音声については、McCannのフリーマン氏も「人間にとってネイティブなもので、大きなチャンスがある」と述べた。

 注目の企業については、全員がFacebookを挙げた。すでにFacebookはゲームの分野でプラットフォームとしての役割を果たしており、今後さまざまな分野のプラットフォームになるとみられる点でも意見が一致した。プラットフォームビジネスを目指すeBayのドナホー氏は、「Google、Amazonなどもプラットフォームになりたがっている」としながらも、「ゼロサムゲームではなく、Facebookの上にeBayがサービスを構築することも考えられる」と説明する。ウェーバー氏は「当面はFacebookに注目が集まるだろうが、まだ登場していない企業が出てくる可能性も十分にある」と展望した。

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