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» 2012年11月06日 11時34分 UPDATE

Dublin Web Summit 2012:変革期のモバイルゲーム業界、次の「Angry Birds」になるには――新興ゲーム企業が討論 (1/2)

スマートフォンの登場で、参入のハードルが下がったモバイルゲーム業界。この市場で成功を収め、それを維持するためには何が重要なのか。Dublin Web Summit 2012のパネルディスカッションで新興ゲーム企業のトップが討論した。

[末岡洋子,ITmedia]

 スマートフォンの登場で、ゲーム市場が大きく変わろうとしている。すきま時間で遊べるカジュアルなゲームが人気を博し、販売形態も“1本いくら”の売り切り型や月額課金型に加え、基本サービスは無料でアイテムや特別なサービスに課金するフリーミアム型といった新たなモデルが登場。配信プラットフォームもOSベンダーのアプリストアに加え、通信キャリアやSNSプロバイダ、端末ベンダーのアプリストアが登場するなど多様化が進んでいる。

 さらにコンソール機(専用ゲーム機)の時代に比べて参入のハードルが低くなったことから、市場に参入する企業や個人も増加し、「Angry Birds」のRovio(フィンランド)のように大きな成功を収める新興企業も現れ始めている。

 しかし、ゲーム市場はトレンドもビジネスモデルも移り変わりが激しく、成功し続けるのが難しい市場でもある。アイルランドのダブリンで開催されたベンチャービジネス系イベント「Dublin Web Summit 2012」のパネルディスカッションで、一定の成功を収めている新興ゲーム企業のトップが自社の戦略やマーケティングについて語った。

 パネルディスカッションには、独立したゲーム企業としてはアイルランドで最大の資金調達に成功したDigit Games Studio、中東を中心に展開するオンラインゲーム企業のPeak Game、日本でもファンが多い「Cut the Rope」を開発したゲーム企業のZeptoLab、英語圏を中心に教育系ゲームを開発するStoryToysのトップが参加した。

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プラットフォーム選択の重要性は

Photo Peak Game共同設立者のリナ・オヌル氏

 OS、サービスなど、さまざまなプラットフォームが乱立する中、どこからサービスをスタートさせるかは重要なポイントだ。FacebookからスタートしたPeak Gamesの共同設立者、リナ・オヌル(Rina Onur)氏はFacebookからスタートした理由について、「トルコや中東のユーザーにリーチするにあたって、(創業した)2年前はFacebookが最も効率がよかった」と述べ、プラットフォームやゲームのジャンルは重視していなかったと振り返る。その読みは当たり、1日のアクティブユーザーはなんと1000万人に達したという。Facebookで成功した実績があるため、現在進めているモバイルへの対応は非常にスムーズだとオヌル氏。「スマートフォンを持っているFacebookユーザーは、スマホでもプレイしてくれる。新規獲得の必要がない」と述べる。

 iOSからスタートし、Android、Amazonなどに販路拡大しているZeptoLabのゲーム「Cut the Rope」は、最初からクロスプラットフォームを目指していたという。「少しでも多くのユーザーにリーチするために、さまざまな端末、さまざまなスクリーンでゲームをできるようにした」とZeptoLabで最高売上責任者を務めるディアーナ・モルダフスキー(Diana Moldavsky)氏は述べる。その反面、「次々と新しいプラットフォームが登場しており、これに追いつくための作業が多い」と課題も口にした。スタートから2年が経過した今、Cut the Rope製ゲームのダウンロードは2億5000万回に達し、月間ユーザー数は1500万人を数える。

 創業間もないDigit Gamesは、アイルランド最大のクロスプラットフォームゲーム企業を目指し、iPad、iPhone、Android、Facebook、ブラウザなどにサービスを展開している。2013年にリリースした最新タイトル「Kings of the Realm」は、出版社のPenguin Booksと提携して書籍も販売するという。

ゲームはサービス事業、ユーザー動向の分析が重要

Photo ZeptoLabで最高売上責任者を務めるディアーナ・モルダフスキー氏

 パネルディスカッションに参加したのは、それぞれに成功を収めたゲーム企業だが、成功の背景やそれに至までの戦略は異なる。Peak Gamesは、今後の成長が見込める途上国市場の中でも、特にトルコと中東にフォーカスするという明確な戦略があった。「(成功したのは)ゲームの質が高かっただけでなく、消費者からのコンテンツ需要が高かったから。それまでは需要に対して供給が追いついておらず、地元のゲーム企業として登場した我々が供給に成功した」とオヌル氏は分析する。Peak Gameはわずか7カ月で5回の資金調達に成功しており、欧州・中東・アフリカ(EMEA)地区ではベンチャー業界からの注目も集めている。

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