2011年から一部の授業でAndroidタブレット「MOTOROLA XOOM Wi-Fi」を使い始めた横浜市立白幡小学校。現在、4年生と5年生、6年生の授業で200台のAndroidタブレットが使われており、生徒はもちろん、教師や保護者の反応も上々だという。
この取り組みにはKDDIが全面的に協力しており、コンテンツ作りやネットワークの構築を同社が担当。プロジェクトを担当する新規ビジネス推進本部 戦略推進部の幡容子氏は「学校側と密にコミュニケーションを図り、効果を見極めながら着実に進めている。その成果も見えてきた」と胸を張る。
Androidタブレットを使った小学校の授業とはどんなものなのか、生徒や教師はどのように受け止めているのか――。11月16日に実施された公開授業をのぞいてみた。
4年生と5年生が自習時間にタブレット端末を使って取り組んでいるのが「算数ドリル」だ。同校では週に3回、授業が始まる前の15分間を「めきめきタイム」という自習時間に充てており、そのうちの1回をタブレット版の計算ドリルで学習している。
タブレット版のドリルは、小学館が提供している紙ベースの教材をKDDIがアプリ化したもの。画面の左に問題が表示され、生徒は指を使って手書きで筆算しながら問題を解く。答えが出たら、回答欄に入力して次に進むという流れだ。
紙のドリルでは、解き終わった生徒が教師の前に並んで採点を待つ方式だったことから、15分間に解ける問題の数は限られていた。タブレットのドリルでは教師が採点する必要がなくなったため、例えば4年生の中島さんは、紙のドリルでは20問くらいだった回答数が90問にまで増えたといい、「前より算数ができるようになったと思います」と話す。操作についても「難しそうって思ってたけれど、いろんなボタンで(操作)できるから簡単だなと思いました」と、すぐ慣れたようだ。4年生を担当する教師の亀澤佳代氏も、「週に1回のペースで利用し、1カ月くらいで生徒全員がざわつくことなくスムーズに使えるようになった」と振り返る。
さらにこの計算ドリルは、生徒がどこでつまずいているかを教師がリアルタイムで把握できるのも大きなポイントだ。
タブレット版のドリルでは、誤った解答を入力すると枠が赤くなり、生徒自身が答えが合っているかどうかを確認できるようになっている。また、生徒の不連続正解数が3回に達すると、教師側管理画面のその生徒の名前が赤く光る仕組みで、1つの問題を解くのに4分以上かかっている場合には名前が緑色に光るようになっている。こうした“進ちょくの見える化”は、まさに“タブレットならでは”といえるだろう。
さらに、どこでつまずいているかを細かく分析できるよう、筆算の軌跡をあとから再生する機能も用意。生徒が苦手とする部分がどこかをすばやく把握し、すぐ対応できるのは生徒にとって有意義だと亀澤氏。同校では11月末から、生徒がタブレット端末を自宅に持ち帰る取り組みを開始する予定で、この機能を使えば親子で苦手な計算を再確認したり、やりなおしたりすることも可能だ。
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