震災時に企業サイトが発信できなかった理由とは?有事の情報発信体制を考える(3/3 ページ)

» 2011年05月20日 12時45分 公開
[聞き手:小林利恵子,Business Media 誠]
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権限委譲、SaaS、クラウド

増井 今回、多くの企業が他社の動向を見て、情報を上げるタイミングや、お見舞い文に全面切り替えしたキービジュアルを、いつ平常時の状態に戻すのかなどのタイミングを判断していたと思います。一方で、サントリーのように震災関連情報を配信しながらも,経済活性化も大事というポリシーを決め、他社に先駆け自発的に平常時のコンテンツに戻した企業もあります。有事の際に、素早い意思決定で、先見的な動きをすればするほど、Webの価値は上がります。逆に、他社動向を見て二番手三番手でやっていけば、リスクは軽減されるかもしれませんが、Webサイトや企業の価値は一定以上の評価を受けることはないと思います。ですから、迅速かつ自発的に判断し、有用な情報発信できるような体制、つまり権限委譲が明確でライター機能を十分発揮できる体制があるといいなと思いますね。

小野寺 データセンターをコアビジネスとしている日立情報システムズでは、われわれが扱っているCMSというソリューションとデータセンターの融合し、いわゆるSaaSサービスとして提供していくことが今後課題となっています。そして、それは不測の事態を含め、世の中のニーズになりつつある。この機会にその対応を加速させていくべきだと感じています。

諏訪 ロフトワークは、業務を行うためのツール関係がほぼクラウドに乗っている状態だったこともあり、出社ができない状態でも、自宅でもかなり自由に仕事ができました。ただ、情報発信に関しては、有事の際、企業側で何かを作りたいと思っても、どこに依頼をすればいいかが分からない。そういうとき、我々が持つWebの制作能力が生きてくるということを、適切な人に発信できなかったことは課題です。Webが強いというのは分かったので、有事の際も積極的に企業の情報発信を支援したいと思います。おそらく企業は今回の震災で多くを学び、独自の権限で情報を出すということに少しずつ変わっていくと思いますし、良いクリエイティブがいっしょに出せればいいなと思います。

お知らせ

 日立情報システムズとロフトワークは、6月1日「不測の事態にも対応する企業の情報発信体制を考える」を開催。セミナーでは、社内情報システムのクラウド化と社内Twitterの有効活用により、緊急時のプレゼンス確認および自宅勤務を可能にした体制づくりも含めて、有事における情報発信について考えていきたいと思います。


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