実際はほとんどが緊急性を要するものではないのに、メールやSNSが発する通知に意識を奪われてはいませんか? 貴重な時間を有効に使うためにも、そうした通知は最小限にとどめる方がいいでしょう。
あなたのPCやスマートフォンには、1時間に何回通知メッセージが表示されますか?
『The Information Diet:A Case for Conscious Consumption』の著者であるClay Johnson氏は通知機能の意味や存在理由などを踏まえ「私たちは、通知のおかげで日々どれだけの集中力を犠牲にしているのか?」について、次のように述べています。
Clay Johnson氏は自分の状況を調べてみたところ、1時間に表示された通知メッセージは10回。6分に1回の割合でした。
この通知について考えるに当たり、まずは「そもそも通知とは何か?」を定義しておきましょう。
ここで言う通知とは、自分の注意を引くに値するサービスから発信されるものとします。例えばGoogleページ上の赤いボックスはGoogle+の状況を通知しますし、Twitterからメッセージを受け取れば、新規メッセージの存在をそれぞれが教えてくれます。
また、システムトレイのアイコンでは新規メールの受信を通知し、Facebookは妹が最近引っ越したことなどの自分が見落としているものを知らせてくれます。
では、なぜ通知機能があるのでしょう? なぜ、スマートフォンは私たちの気を散漫にさせるような音が鳴るようになっているのでしょうか? 人生にとってそれほどまでに重要なものがあるからでしょうか? もちろん、そうではありません。
これほど多くの情報が通知される理由は、Web上で力を持つ企業が互いにユーザーの関心を奪いあっているからです。いわゆる「ユーザーエンゲージメント」と呼ばれるもので、誰もがこぞってこれを求めるがゆえに、あの手この手で私たちユーザーの注意を引き、より多くの広告に触れさせようとしています。
そうした通知は、ユーザーにとって直ちに気付くべき意味のあるものではなく、通知メッセージを生成しているサービスに時間を割かせるために設計されているものです。つまり、通知は有害なものといえます。
個人的にGoogleがやってきたことの中で1番有害だと思うのは、検索結果ページに赤いボックスを設置したこと。Google検索するたびに「まだ検索途中なのは分かっているけど、ひょっとしたら今すぐ、まだGoogle+で自分をフォローしてない人を知りたいかもしれないから、目に止まりやすいように赤いボックスをつくりました」と言わんばかりです。
実際このような仕様になっているのは、自分が直ちに注意を要する情報がGoogle+にあるからではなく、Googleが次の収支報告で「Google+のユーザーエンゲージメントが向上した」と発表できるよう、ユーザーにGoogle+をもっと使わせたいからです。
このような通知は無礼なものだという以前に、もっと邪悪なことをしでかします。それは、ユーザーを能動的ではなく、受動的な情報消費者にしてしまうこと。Googleの赤いボックスにしろ、Facebookのお知らせにしろ、自分が受信する通知を自分でコントロールしなければ、これに反応せざるを得ません。つまり、私たちはデフォルトのまま放置しておくことで「扇情的な通知」の経済を作り出しているわけです。
悪いことは言いません。通知機能をオフにしましょう。この通知の経済に参加してはいけません。情報との関係を受動的なものから能動的なものへと変えましょう。
例えば、自分の注意力をFacebookに支配してもらうのではなく、Facebookと付き合う時間を自分でスケジューリングすること。Facebookが自分にとって大事なら、チェックするための時間を予定表に入れておけばいいのです。通知機能は可能な限り無効にしましょう。注意力を散漫にさせる雑音は全て取り除くべしです。
メールにしろ、TwitterやFacebookのメッセージにしろ、実際ほとんどのものは、それほど緊急性を要するものではないのに、受信を通知するポップアップやアイコンが表示されていると、あまり意識せずについ反応してしまうのが人情。そして、そのような一見ささいな時間も、毎日積み重ねていけば意外とまとまった時間になるものです。貴重な時間を有効に使うためにも、通知は最小限にとどめる方がいいでしょう。
過去記事「みんなもう始めてる!? 『情報ダイエット』に挑戦!」なども参考に、「通知オフ」をぜひ実践してみてください。
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