人生において成功している人、仕事や勉強において常に最高の結果を出せている人は常日ごろ、どのような考えを持っているのでしょうか。今回は、常に成功する人は「突拍子もない、クレイジーなアイデア」を大切にしているというお話です。
“Think Different”――。これは1998年にアップルが世界キャンペーンのキャッチフレーズとして配信したコンセプトです。ご存じの人も多いかもしれませんが、そのCMでは、16組の偉人が次々に現れ、次のようなナレーションが流れます。
クレイジーな人たちがいる。反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。彼らはクレイジーと言われるが、私たちは天才だと思う。自分が世界を変えられると、本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えている。
人と異なる考え方がなければ、世界は変えられない。周囲が反対するような大胆なアイデアこそ、最もこの世の中で価値があるものだというわけです。今回取り上げるのはこの「大胆なアイデア」を引き出すための習慣です。世の中があっと驚くような新しい価値を生み出すには、どのような心構えが必要になるのでしょうか?
アップル創業者の故スティーブ・ジョブスに限らず、大胆なアイデアと並外れた実行力が、成功の原動力となるケースは少なくありません。
ヤマト運輸の小倉昌男氏は宅配便という新しい事業のアイデアに周囲は猛反対だったといいます。
楽天が旅行事業に進出するときに、三木谷社長以外は全員反対だったとか。
鈴木敏文氏が米国視察を終えて日本初のコンビニエンスストア、セブンイレブンを提唱した時も、ほとんどの経営陣が反対で、自分で責任をとる覚悟で第1号店を独断で敢行したといいます。
本当に価値の高いものにこそ、周囲の「常識ある面々」は反対するわけです。みんなが反対したものこそ、最もやるべきことかもしれません。
新しい製品やサービスを提供するためのアイデアには、2つのタイプがあります。1つは、現状の改善をベースに考える方法。もう1つは、これまでにない新しい価値を創造する方法。
前者はロジカルシンキングなどを使い、従来の考え方の延長線にあるもの。しかし、多くの人が「同じ答え」になるため、競争優位性が保ちづらいのがネックです。改善は、日本人が得意なアプローチです。
一方、後者は答えが延長線上ではなく、とんでもないところに存在しています。論理的思考よりは直感思考、逆転の発想的なアプローチで導くものです。ただし、こうした、「とんでもアイデア」は常識的な人々の目には、相当「クレイジー」に映るでしょう。日本人のメンタリティ的には、他人にクレイジーに映るという状況は避けたいかもしれませんね。
成功している人、結果が出せている人は、必ずしも常識的に考えません。可能性があることであれば試したくなる質ですし、固定観念から外れているということは、選択しないという理由にはならないのです。これは仕事でも勉強でも、すべての人生の選択において同様です。
こうした考えを持つようにするためには、自分の持つ固定観念を常に疑ってみる必要がありそうです。固定観念というのは、つまるところこれまでの環境によって構築されたものですから、従来にないモノをクリエイトしようとすれば、従来の観念の中には存在しなくて当たり前です。
大胆で突拍子もないアイデアをばかにしない、従来の固定観念を疑ってみる、そして別の視点を取り入れて可能性を探ってみるという姿勢がとても大事なのではないかと思います。勉強法においても同様。まずは、これまでのやり方を疑ってみる。そこからスタートしてはどうでしょうか?
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)、『ノート・手帳・メモが変わる「絵文字」の技術』(中経出版)、『人生の大問題を図解する!』(光文社)がある。
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