ここで「顧客価値」の概念をおさらいしておきましょう。顧客価値とは顧客が得られるベネフィット(便益)から、顧客が支払う必要コストを引いたものです。
顧客価値を考える際に下の図式に当てはめれば、どれだけ顧客価値に差があったか再認識できるでしょう。のどから手が出るほど資金を必要としている個人や会社にタイミングよく融資できれば、そのベネフィットと顧客価値は計り知れません。
顧客価値は目に見えませんよね。だから、顧客価値をもっと分かりやすい形に変えて従業員の指標にしている会社もあるんです。それは「感謝」の言葉です。
例えば、外食大手のワタミでは「地球上で一番たくさんの“ありがとう”を集めるグループになろう」と分かりやすいスローガンを掲げています。聖人君子のキレイ事ではありません。
「ありがとう」の言葉の数は、顧客満足度を示す重要なKPI(重要業績評価指標)です。それは、感謝が集まるところに大きな利益も集まるからです。
そしてもう1つ大切なこと。それは本当の感謝の言葉は、顧客の期待を上回る価値が提供されたときに出るということです。
だから、どうすれば顧客から「ありがとう」をもらえるか、顧客の期待をきちんと理解して自分はどうすればそれを超えることができるのかの視点に立ち、自分の提供するビジネスの価値を見直すことが大事だと思います。
当たり前すぎるビジネスの基本が、いろんなしがらみや慣習によって、時折、視界不良になることがあります。そんな時こそ基本に立ち戻るべきです。誰かを幸せにする対価が売り上げの源泉となるべきです。
だからこそ、事あるごとに、自分に問い直してみましょう。「自分のビジネスは誰をどのように幸せにしているのだろうか」と。
なお本連載の基となった『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志著、かんき出版刊)では、5Aサイクルの具体例として、グーグルのほか、ダイソン、アマゾンなど今をときめくイノベーティブな企業群のエピソードを18のケースストーリーで紹介しています。
本連載は2012年12月19日に発売した『トップ1%の人だけが実践している思考の法則』(永田豊志著、かんき出版刊)から一部抜粋しています。
本書は、イノベーションを起こして、ビジネスで勝ち残るための「思考法則」についての解説書です。これからの働き方は、大きく変わります。今まで通りに目の前にある仕事を頑張って働くのではなく、新しいイノベーションを起こしてソリュ―ション(問題解決)することが不可欠になります。本書はあなたの仕事にイノベーションを起こすために、トップ1%のできるビジネスマンだけが実践している「思考の法則」を著者、永田豊志氏が見つけ、分かりやすくまとめたものです。
「営業」「企画」「経理」「総務」「財務」「マーケティング」――など、あなたが何を専門に従事しているかはまったく関係ありません。すべてのビジネスパーソンに必要な「思考」だからです。ぜひ、本書を読んで、変化の激しい時代に、あなたがたくましく生き残れるよう役立ててください。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
ビジネスマンの「知的生産性の向上」をテーマに精力的に執筆・講演活動も行っている。近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)、『すべての勉強は、「図」でうまくいく』(三笠書房刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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