企業としての狙いは何か。ロッテ広報課の似内裕一課長はこう話す。
「当社はESG中期目標で、国内で噛むことを意識して実践している人の割合を2028年度までに50%以上に拡大することを掲げています。もともとスポーツにも力を入れており、『噛む力』によるアスリートの支援を行っています。こうした活動を通じて、噛むことの大切さを一般消費者の方にも訴えていければと思います。今後も多くの分野のアスリートを噛むことの啓発を通じて応援していきたいですね」
ロッテとしてのガム市場のシェアは堅調ではあるものの、実はガムの国内小売市場の規模そのものは縮小の一途をたどっている。日本チューインガム協会の統計によると、小売市場のピークは2004年の1881億円に対し、19年は930億円、コロナ禍に見舞われた20年は755億円と、約60%減とピーク時の半分以下に落ち込んでいる。
理由は2000年代半ばに入り台頭してきた、タブレットタイプ製品の普及だ。噛み終わったものをごみとして捨てなければならないガムに対して、タブレットタイプのものは口に入れるだけという手軽さに魅力がある。
だが、タブレット菓子は噛むことが基本ないため、噛むことによって得られる健康面のメリットはない。噛むことによって得られる効能はガムならではのものだ。こうした科学的な裏付けを取りながら、今一度チューインガムの魅力についてPRしたい狙いがある。
18年のガムによる支援開始から3年。日本の2大プロスポーツとして野球・サッカーが注目を浴びているが、野球界では千葉ロッテマリーンズのリーグ優勝がかかっている。そしてサッカー界では川崎フロンターレが常勝軍団と化してさらに躍進。これらは偶然なのか必然なのか。「噛む力」は全くの無関係なのか。これにウメハラをはじめ、支援するアスリートによる成果がさらに続けば、ロッテもチューインガムも「再評価」される日も遠くはないかもしれない。(一部、敬称略)
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