タブレット市場はARMとAndroid、iOSが大勢を占めており、IntelとMicrosoft――“Wintel”陣営――は大きく出遅れている。両社は今、巻き返しを図っているところだ。
急成長中のタブレット市場は、IntelとMicrosoftにとって次第に大きな課題となっていくかもしれない。Goldman Sachsのアナリストがこのように指摘している。
12月13日に公開したリサーチノートで、Goldman Sachsのアナリスト、ビル・ショープ氏は、タブレット市場――Appleが今年iPadをリリースしたことで活性化した――は成長を続けるだろうが、販売されるデバイスのほとんどはARM設計のプロセッサを搭載し、AndroidかAppleのiOSを搭載するだろうと述べている。Goldman Sachsの予想では、2011年には5470万台のタブレットが売れる見込みだ。
「もしもそのような(ARMとAndroid、iOSが過半を占める)状況になり、当社のタブレット販売予想がほぼ正確なら、30年ぶりにWintel以外の技術がパーソナルコンピューティングに本格的に進出したことになる」(ショープ氏)
同氏は、タブレット分野の急速な成長は予想通りだが、どのプラットフォームがメーカーに人気か――そしてどれが不人気か――は予期していなかったとしている。
「iPadのライバルの相次ぐ登場は、それ自体は意外ではない。たいていはAppleがエレクトロニクスメディアとコンピューティング業界の方向を定義づける傾向があるからだ」と同氏は言う。「意外なのは、競合製品の多くがIntelのプロセッサとMicrosoftのオペレーティング環境を採用していないことだ」
IntelとMicrosoftはタブレット分野でもっと存在感を高める必要があるだろう。Goldman Sachsによると、タブレットはPCの売り上げを奪う見通しだからだ。同社は報告書で、タブレットはノートPCとNetbookの売り上げの3分の1を奪う可能性があると述べている。AppleとGoogleが大きく先鞭をつけたことを考えると、Microsoftとそのパートナーはタブレットの上げ潮にかなり乗り遅れたと言える。
MicrosoftとIntelの関係者は、両社はタブレット分野で重要なプレイヤーになるだろうと話している。10月の第3四半期決算報告で、Intelのポール・オッテリーニCEOは、タブレット市場を積極的に追求すると話していた。
「使える資産をすべて使って、このセグメントを勝ち取る」とオッテリーニ氏は語っていた。「全力でこの市場に乗り込む」
AppleはiPadで停滞していたタブレット市場に活気を取り戻し、今や急成長中のこの市場で約95%の圧倒的シェアを得ている。しかしHewlett-Packard(HP)、Dell、Lenovo、Samsung、Cisco Systems、BlackBerryメーカーのResearch In Motion(RIM)など多数のベンダーが独自のタブレットを立ち上げているか、来年投入する計画だ。
Intelは既に、タブレット分野へとより深く踏み込もうとしている。9月のIntel Developer Forum(IDF)で、同社は多数の開発中のAtom搭載タブレットを披露した。1月にラスベガスで開かれるConsumer Electronics Show(CES)ではさらにデバイスを用意していいると伝えられている。
Intelはまた2011年に、タブレット向けに2つのAtomプラットフォームをリリースする準備をしている。1つはMicrosoftのWindowsを走らせる「Oak Trail」で、もう1つはGoogleのAndroid、IntelとNokiaが開発するLinuxベースの「MeeGo」向けの「Moorestown」だ。
今月の別のイベントで、オッテリーニ氏は、タブレットメーカーがAtomを35機種に搭載する準備をしていると語った。このとき同氏の背後に映されたスライドには、Dell、ASUS、Lenovo、東芝など多数のベンダーが列挙されていた。
さらにこの市場に注力するために、Intelは今月、組み込み・通信部門にNetbook・タブレットグループを設けた。
Goldman Sachsのアナリスト、サラ・フライア氏は報告書で、「タブレットへの対応はまだ近くない」ようだとし、Microsoftが先に、Windows 7搭載タブレットをクリスマスまでに投入すると話していたことを指摘している。現在は、2011年初めの話になっている。
Microsoftはまた、2011年に向けたタブレット計画も用意している。スティーブ・バルマーCEOは、CESで多数のWindows 7タブレットを披露すると伝えられている。New York Timesが匿名の情報筋の話として伝えたところでは、Windows 7タブレットを投入するベンダーにはDellやSamsungが含まれるという。
バルマー氏は未発表のWindows 8を搭載したタブレットも披露する可能性があると同紙は報じている。
Microsoftはタブレット市場に食い込めると主張するアナリストもいる。調査会社iSuppliによると、タブレットの出荷台数は2010年の1380万台から2012年には6330万台に拡大する見通しだ。
「Microsoftは今のところタブレットでつまづいているが」とiSuppliは12月14日の報告書で述べている。「iSuppliは、Microsoftが機能的なタブレットOSを設計する方法を見出すと確信している」
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