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ガンダム、“素早く”大地に立つ――ドコモ「dアニメストア」がHEVCを採用dビデオはHD化

» 2014年05月14日 15時36分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 NTTドコモは5月14日、2014年夏モデル12機種を発表した。このうちスマートフォンやタブレット(一部除く)には、新たに最新の映像符号化方式であるH.265(HEVC)のデコーダー機能を搭載。合わせて動画配信サービス「dアニメストア」でHEVC動画の配信を開始すると発表した。


 HEVC(High Efficiency Video Coding)は、従来のH.264(MPEG-4 AVC)に比べて約2倍の圧縮効率を誇る新しい動画符号化方式だ。昨年ITU-Tで「H.265」として標準化され、6月2日に始まるNexTV-Fの4K試験放送をはじめ高解像度映像の伝送に欠かせない圧縮技術となった。一方、逆に映像の解像度や画質を変えなければファイル容量をおよそ半分にまで小さくできる。dアニメストアは後者のメリットを活かした「高速ダウンロード」を提供する。

高速ダウンロードサービスの概要

 dアニメストアは、NTTドコモが運営するスマートフォン向けの動画配信サービスで、現在約115万人の会員を抱えている(2014年4月時点)。H.265でエンコードしたコンテンツの提供は6月に開始し、まず「機動戦士ガンダム」「魔法少女まどか☆マギカ」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」など約50作品を順次提供する。その後も「進撃の巨人」などの人気タイトルを含め、ユーザーの反応を見ながら増やしていく計画だ。

 新製品発表会では、従来のH.264と新しいH.265を同じタイトルでエンコードした動画を使い、その違いをアピール。例えば「機動戦士ガンダム」の第1話「ガンダム、大地に立つ」は、H.264なら292Mバイトだが、H.265では161Mバイトだ。「画質は従来と変わらず、容量を半分にできた。ダウンロードにかかる時間を大幅に短縮できる」(同社)。

「機動戦士ガンダム」第1話をダウンロード中。青いバーの進み方が違う(左)。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は、H.264が279Mバイトに対し、H.265は122Mバイトと半分以下の容量になっている。コンテンツによって圧縮効率は異なる(右)

 ただし、H.265の動画を再生するには、端末側が専用のデコーダーを搭載している必要がある。対応端末は2014年夏モデルのうち、すべてのスマートフォンおよび一部を除くタブレット。ディズニーモデルを除く8機種で利用できる。また、H.265デコーダーはDSPで処理するタイプとソフトウェアデコーダーの2種類がある(端末によって異なる)が、同社が消費電力などを比較検証したところ、どちらも「従来のH.264ハードウェアデコーダーとあまり変わらなかった」という。

 高速ダウンロードに対応する作品は、タイトル情報に「H.265」アイコンが付く予定だ。実際のダウンロード時には端末の機種によって自動的に動画ファイルが選択されるため、ユーザーが意識する必要はないという。なお、dアニメストアでは、従来機種向けにH.264動画の提供も継続する。

「dビデオ」は720p解像度の配信をスタート

 一方、映画などを配信する「dビデオ」では、符号化方式はそのままでHD対応を進めることを発表した。解像度は720p(1280×720ピクセル)。5月15日から「ゼロ・グラビティ」「ワールド・ウォーZ」など約150タイトルでスタートし、順次対応を進める。

HD配信の概要と画質比較。なお、HD画質は容量が大きくなるため、Wi-Fi接続時のみ、ストリーミングやダウンロードが可能になるという

 対応端末は、スマートフォンやタブレット、PCなどで、スマートフォンは2012年以降に発売された従来機を含む50〜60機種。もちろんMHLやMiracastに対応したモデルなら、大画面テレビにも映し出すことも可能だ。同社は今後の展開について、フルHD化の予定はないものの、HEVC/H.265対応については順次検討していくとしている。

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