久々に覚えたワクワク感――Android普及の礎を築いた「Xperia」「GALAXY S」「IS03」:ITmediaスタッフが選ぶ、2010年の“注目ケータイ&トピック”(編集部田中編)(2/2 ページ)
筆者の2010年は「スマートフォン一色」と言っても過言ではないほどスマートフォン(Android)に染まった。ドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルいずれも魅力的なモデルを発売し、Android普及の礎を築いたといえる。中でも強く印象に残ったのは――。
これぞ日本のスマートフォンだと感じた「IS03」
スマートフォンの投入で後塵を拝していたKDDIが、反転攻勢の一手として放ったのが「IS03」だ。各キャリアでスマートフォンを普及させたキラー端末は、ソフトバンクがiPhone、ドコモがXperiaだとしたら、auは間違いなくIS03だ。ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイという“三種の神器”を備えるのはもちろん、au one ナビウォークや助手席ナビ、LISMO、Run&Walkなど、auケータイで慣れ親しんだアプリやサービスもきっちり対応させたのは、ドコモやソフトバンクのAndroid端末と比べても評価できる(個人的にはオムロンの歩数計の移植もうれしい)。au網を利用した「Skype au」も話題を集め、KDDIが水面下で着々と進めてきた準備がようやく実を結んだといえる。iPhoneやXperiaを見てやきもきしたauユーザーの中には、IS03を見て、KDDIの田中社長のように「感無量」だった人も多かったのではないだろうか。
側面にフレームをあしらったデザイン、(意外と訴求されていないが)iPhone 4と同解像度(640×960ピクセル)のディスプレイ、機能性を兼ねたメモリ液晶、文字入力のしやすさなど、随所に完成度の高さを感じる一方で、タッチパネルの反応やバッテリーの持ちなど、「もう一歩」と思うところもある。それでも、IS03にはモノとしての愛着を特別に感じる何かがある。XperiaやGALAXY Sはグローバルモデルがベースになっているので、どこか距離を感じてしまうところがあるが、IS03は純粋に日本人のために作られたスマートフォンなので、親しみや安心感を持って使える。
IS03を見て「スマートフォンがガラケー化した」なんていう声も聞くが、先述のとおりIS03はハードウェア性能も高いので、しっかりローカライズすれば、海外でも十分通用するのではと思う。と同時に、IS03には「日本のスマートフォンはこうあるべき」というKDDIの意思表示を感じた。すでに春モデルとして「IS04」や「IS05」が発表済みだが、2011年も、さらに進化したIS seriesを見せてほしいと思う。
最近は知人から「Androidってあのauのやつでしょ」「レディー・ガガのCMが頭から離れない」といった話をよく聞くようになった。KDDIの「Android au」のプロモーションが功を奏し、IS03はAndroidを広く知らしめることにも貢献したといえる。
完成度は随一、シャープ色を強く感じる「GALAPAGOS 003SH」
上記の3機種と比べると印象度は次点になるが、2011年の冬春モデルとして発表されたスマートフォン(Android端末)の中で、デザイン、機能、サービス、UIすべての要素で最もバランスよくまとまっていると感じたのが、ソフトバンクの「GALAPAGOS 003SH」だ。ワンセグ、赤外線通信、おサイフケータイ、キャリアメールのほか、3Dコンテンツを楽しめる3D液晶も備える。日本メーカー製モデルでは、現時点で唯一となるAndroid 2.2を搭載しているのもポイントが高い。工夫が凝らされたホーム画面や独自の「TapFlow UI」など、iPhoneとは違った直感的な操作性も光る(関連記事)。
ソフトバンクモバイルがiPhoneほど積極的に売り出していないのが残念だが、同梱の16GバイトmicroSDHCに多数の3Dコンテンツをプリセットしたり、ビューンやソフトバンク ブックストアなど、ソフトバンクならではのコンテンツも増えつつある。また、003SHはシャープのコンテンツプラットフォームである「GALAPAGOS」の名を冠するモデルでもある。シャープのスマートフォン向けポータルサイト「GALAPAGOS SQUARE」で利用できるものは3Dコンテンツを除き、IS03、SH-03C、003SHいずれも同じだが、シャープがスマートフォン向けに新サービスを始める際、まずは003SHから対応、といったこともあるかもしれない。
IS03がKDDIカラーの強い端末だとすると、003SHはシャープカラーの強い端末といえる。サービス重視ならIS03、機能重視なら003SHといったところだろうか。日本メーカーでは先行してAndroid端末を発売してきたシャープは、現時点で他社をリードしているのは間違いない。2011年のラインアップも楽しみだ。
余談だが、ドコモはXperiaやGALAXY Sで「新しいユーザー体験」を、KDDIはIS03で「日本ならではのスマートフォン」を訴求していることを強く感じるが、ソフトバンクモバイルがAndroidを通して何を訴求したいのかが、いまひとつ伝わってこない感がある。ここで取り上げた003SHも、Xperia、GALAXY S、IS03のように発売日にセレモニー(関連記事1/2/3)をやってもいいのではと思うほどエポックメイキングな製品だと思うのだが……。4月に発売された「HTC Desire X06HT」に至っては、3月28日の日曜日(!)に開催された「ソフトバンクオープンデイ」で発表された。新製品が日曜日に発表されるのは異例のこと。もちろんソフトバンクの主役はiPhoneだが、せっかく優れた製品が多いのだから、Androidにももう少しスポットライトを当ててほしいと思ってしまう。
2011年は2010年よりもさらにスマートフォンのラインアップが増えるだろうが、「フルタッチ型のAndroid端末」が主流と考えると、フィーチャーフォンよりもデザインや機能で差別化を図ることが難しくなる。日本メーカーにとっては腕の見せ所だろう。Samsung電子やHTC、LGエレクトロニクス、Huaweiなど海外メーカー勢は日本メーカーにとっては脅威になりえるが、1人の記者としては非常に興味深い。次はどんなワクワクする端末で驚かせてくれるのだろうか。2011年も目が離せない1年になりそうだ。
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