テレビとスマホの良さが融合、対応アプリも続々登場――KDDIが「Smart TV Box」の詳細を説明:CEATEC JAPAN 2012
7月の発表から約3カ月。CEATEC JAPAN 2012にて、Android 4.0搭載のセットトップボックス「Smart TV Box」の詳細があらためて発表された。KDDIのブースではSmart TV Boxのインタフェースや映像コンテンツを試せるデモも実施している。
KDDIが10月2日、CEATEC JAPAN 2012の同社ブースにて、Android搭載のセットトップボックス「Smart TV Box」のプレスカンファレンスを開催。新規事業統括本部 メディア・CATV推進本部長の河上浩一氏と、副本部長の神山隆氏が、Smart TV Boxの詳細をあらためて説明した。
Smart TV Boxは、地デジ/BS/ケーブルテレビ放送を受信できる、日本ケーブルラボの技術仕様に準拠したセットトップボックス。製造元はパナソニック。Wi-Fiアクセスポイントも搭載しており、IEEE802.11a/b/g/nと2.4GHz/5GHzをサポートする。KDDIがケーブルテレビ事業者にSmart TV Boxを提供し、ケーブルテレビ事業者が自社のユーザーに販売する形態なので、購入するにはケーブルテレビの契約が前提となる。ケーブルテレビありきの製品ということもあり、ケーブルテレビ契約の伴わない量販店などでの販売は予定していない。
河上氏は、Smart TV Boxを7月に「ケーブルコンベンション 2012」で出展してから「多くのメディアに取り上げられた」と話し、反響の多さを振り返った。KDDIは「auスマートバリュー」の対象にケーブルテレビ事業者を加えているほか、JCN(ジャパンケーブルネット)、J-COM(ジュピターテレコム)、CNCI(コミュニティネットワークセンター )と資本提携するなど、ケーブルテレビ事業者とは深い関係にある。加えて、「テレビは家庭の中心にある。また震災時には53.6%の人が、最初に触れたメディアとしてテレビを挙げるなど、情報の信頼性も高い」(河上氏)といった理由から、あらためてテレビの影響力に着目。携帯電話ではスマートフォンシフトが進み、河上氏は「豊富なアプリをネットからダウンロードでき、いつでもどこでも誰とでも、ネットワークを通じて自由に使える」とスマホのメリットを話す。こうしたテレビの良さとスマートフォンの良さをつなげることができる機器として、Smart TV Boxが開発された。
Smart TV Boxの特徴は (1)最新のAndroid 4.0 (2)豊富なチャンネルから見たい番組を簡単に視聴できるケーブルテレビ (3)大画面でniconicoやYouTubeを楽しめるインターネット (4)スマホやタブレットが接続できるWi-Fiアクセスポイント (5)auスマートパスやGoogle Playからダウンロードできる豊富なアプリ――の5点だと河上氏は説明する。
では、Smart TV Boxの具体的な使用方法を見ていこう。Smart TV Boxを起動すると、専用UI(ユーザーインタフェース)のホーム画面が現れ、ここを起点にして「テレビエリア」「インフォメーションエリア」「PLAYエリア」「アプリエリア」にアクセスできる。これらの4エリアからさまざまなコンテンツに誘導する流れだ。専用リモコンも同梱し、決定/十字/ホーム/メニュー/戻るボタンから基本操作を行える。ホーム画面からどのように遷移しているのかが分かりやすくなるよう、移動したルートを矢印で表示するインタフェースも採用した。
テレビエリアでは、テレビに関するすべての機能を集約させ、地デジ、BS、CATVをシームレスに視聴できる。Smart TV Boxは3つのチューナーを備えており、地デジ、BS、CATVのうち2番組を同時に録画することも可能。外付けHDDを利用した録画(Smart TV BoxはHDDを内蔵していない)や、Gガイド番組表、リモート録画にも対応する。オンエア中の番組、録画した番組、ビデオパス、動画サイト(YouTubeとniconico)、Google検索をベースに、キーワードから一括検索できる「映像まとめて検索」機能も便利だ。
インフォメーションエリアでは、ニュースや天気などの日常情報をチェックできる。日常生活でよく使うアプリをカテゴリーごとに集約した「LIFE」というコーナーも用意し、デモではSmart TV Box用にカスタマイズされた「radiko.jp」が紹介された。
PLAYエリアは、ビデオパス、YouTube、niconicoなどの動画サービスをはじめ、音楽やゲームを含むエンタメサービスの入り口として機能する。ビデオパスの映像サイズはスマートフォン向けよりも高解像度のHD(720×1280ピクセル)を実現。ブースの説明員によると、将来的には1080pのフルHDサイズの映像配信も検討しているとのことだ。ビットレートは「CPUへの負荷やバックグラウンドでの動作状況に応じて、2Mbps/4Mbps/7Mbpsに変更可能」(説明員)だという。ネットで話題の動画をジャンルごとにリコメンドする「ビデオラッシュ」は、「検索キーワードを入れなくても楽しめる」(神山氏)のが特長だ。音楽ではauのラジオアプリ「LISMO WAVE」や、月額315円で音楽が聴き放題の「うたパス」も楽しめる。テレビを介して長時間利用するコンテンツとしてゲームにも着目し、パズル・脳トレ、テーブルゲームなどSmart TV Box向けゲームも配信する。ゲームは同梱のリモコンから操作できるが、「市販のゲームコントローラーも利用できる」(神山氏)という。
Android OSを搭載しているので、アプリをダウンロードできるのも特長だ。神山氏によると、auスマートパスでは約100本のアプリがSmart TV Box用に最適化されているほか、Google Playにも約200本のアプリがテレビ(Smart TV Box)向けに最適化されているという。Smart TV Box用に最適化されていないアプリも「表示することは可能」(説明員)で、左右に余白ができる形で表示されるようだ。auスマートパスはau向けのサービスだが、auユーザーでなくても、au IDを取得することで利用できる。すでにauスマートパスを利用していれば、追加料金なしでSmart TV Boxでも利用可能。アプリの入り口であるアプリケーションエリアには、auスマートパスとGoogle Playのリンクが用意されているほか、隣には「Coming Soon」の項目も見られる。KDDIはケーブルテレビ事業者が自社でアプリマーケットを運営することも想定しており、ここでCATVのアプリを集めたマーケットも扱っていく見込みだ。
無線LAN接続をすることで、スマートフォンやタブレットとSmart TV Boxを連携させ、スマホやタブレットをリモコンとして使えるほか、ゲームコントローラーにもなる。例えば「大富豪」ゲームアプリのデモでは、スマホの画面で手札を確認し、フリック操作で置いたカードがテレビ画面に表示される様子が紹介された。また、DLNA対応の外付けHDDに接続し、タブレットで見ていた録画番組の続きをテレビで見るといったことも可能だ。
Smart TV Boxの発売時期は当初は「2012年秋」とされていたが、現在は未定。「現在、開発の最終局面を迎えており、最後のチューニングをしている。発売時期は、近々アナウンスできる」(神山氏)とのこと。KDDIブースでは、Smart TV Boxの映像コンテンツやゲームなどを体験できるので、興味のある人は試してみてはいかがだろうか。
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