イベント会場で、携帯をゲートにかざして入場する。こんな「電子チケット」サービスが、iモードFeliCaの登場で普及へ向かおうとしている。
電子チケット化に積極的に取り組むぴあは、電子チケットを、「第3の創業」と位置付けている。「第2の創業」は、1984年にオンラインチケット販売サービス「チケットぴあ」を開始したとき。今、それ以来となる大きな変革の時期を迎えたという認識だ。
同社は既に電子チケットサービスを開始しているが、使い勝手から見ても“本命”はやはりiモードFeliCa。同社のコーポレート本部全社戦略室、覚張正浩室長に、FeliCa携帯が事業にもたらすインパクトを聞いた。
同社は2003年10月から、携帯電話やICカードを利用した電子チケットサービスを開始している(2003年9月29日の記事参照)。もっとも携帯電話版サービスはIrDA(赤外線)を利用したもので、今回のようなFeliCaサービスとは異なる。
覚張氏は、こうした事業が「順調な滑り出し」だと話す。
「ユーザーサイドでは、あまり問題はない。実際、面倒なのだが携帯で“ピッ”とゲートを通過できると、『おー、通過できた』と素直に喜んだりしている」
しかしその一方で、興行主側は不安を募らせていると話す。
「一度使えば手順は分かってもらえるのだが、『あれ、どうだっけ?』とゲート付近で立ち止まるユーザーがいる。ゲートに着いてから、電子チケット関連アプリの起動を始める人もいて、やはり、(行列の)滞留がある」。利用者が増えると、問題になってくるだろうという。
これを解決できるのが、iモードFeliCaだ。既にお伝えしているとおり、FeliCa携帯では非接触ICチップを搭載しており、アプリなどを起動させる必要なく「かざすだけ」でゲートを通過できる。
「スタンバイの動作がいらず、電源オフでも利用できる」。
ぴあは今後、従来のIrDAや非接触ICカードのサービスを廃し、FeliCa携帯による電子チケットサービスに一本化するのだろうか。
覚張氏は、「携帯のサービスはFeliCaへ変わるだろう」と話す。やはり、IrDAに比べたFelicaの優位性は大きい。
もっとも、“非接触ICカード”方式のサービスは残るだろうという。「携帯の方がディスプレイがあり、使い勝手のいいメディアであることは間違いない。しかし、それではカードがダメで、ナシか、というとそんなことはない」(同氏)。
「ファンクラブのカードなどは、持っていると『自分はここに帰属しているんだ』という意識が生まれる」。カード表面に自由な絵柄をプリントできるというメリットもあるため、全部携帯にスライドすることはないだろうという。
ところで、ぴあはチケットを電子化すれば満足なのだろうか。覚張氏の話を聞いていると、まだ「その先」に描いているプランがあるようだ。
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