世界の中心で、愛をさけぶ「なぁ、お前、高校の頃のこと覚えてる?」Mobile&Movie 第122回

» 2004年07月23日 23時07分 公開
[本田亜友子,ITmedia]

作品名世界の中心で、愛をさけぶ
監督行定勲
制作年・製作国2004年日本作品

 高校時代、初恋の相手アキを失った朔太郎。喪失感を抱えながら十数年が過ぎて、朔太郎には律子という恋人ができました。結婚の約束をし、いよいよ同居が決まったある日、律子は朔太郎の前から突然姿を消してしまいます。

 “しばらく出かけてきます。心配しないで下さい”というメモだけが残っていました。朔太郎は律子を紹介してくれた友人・大木の営むバーを訪ねますが、そこにも律子の姿はありません。大木は朔太郎の高校時代からの親友。途方に暮れている朔太郎に問いかけます。

「電話してみたのか?」

「まだだ……」

 朔太郎はまだ律子の携帯に電話をかけてもいなかったのです。

「早くかけろよ。命にかかわってるんだから」

 大木は行方不明の律子を心配して、朔太郎の背中を押します。テーブルに置かれたテレビでは、台風の上陸を伝えるニュースが流れていました。朔太郎がちょうど電話をかけた時、テレビ画面には雨の中を歩く律子の姿が。台風速報は、高松からの中継でした。

「律子ちゃん、なんで高松にいるんだろう」

 大木の言葉を最後まで聞かず、朔太郎は律子の元へと駆け出していきます。高松は、朔太郎が青春時代を過ごした故郷。今日と同じような台風の夜、朔太郎はかけがけえのない思い出を胸に刻みつけたのでした。高松へ降り立った朔太郎は、高校の頃を振り返ります。

 同じクラスだった朔太郎とアキ。可愛くて優等生のアキは、朔太郎にとっては憧れの存在でした。それでも気さくに話しかけてくるアキと朔太郎は少しずつ仲良くなり、高校2年の夏から二人は、小さな恋を育むようになりました。

 夏休みには思い切って二人きりで一泊旅行にでかけて、楽しい時間を過ごしますが、この旅行がきっかけでアキの悲しい運命を知ってしまったのでした。突然倒れたアキを病院へ運んで検査したところ、白血病ということが分かったのです。懸命に治療を続け、日に日に顔色を悪くしていきながらも、明るくふるまうアキの姿に、朔太郎は自分の無力さを知るのでした。せめて、アキの願いを叶えてやりたいと、朔太郎は奔走します。それはアキと2人で“世界の中心へ旅立つこと”。しかし、その願いは叶えられず……。

 高松でアキとの思い出に浸っていた朔太郎は、ふと大木に連絡します。

「もしもし俺」

「お前、律子ちゃんに会えたのか?」

「まだだけど……」

「なぁ、お前、高校の頃のこと覚える?」

「いや」

「どうして忘れちまうんだろうな。大切なこと、いっぱいあったのに」

「お前、律子ちゃんを探しに行ったんだろう」

 その言葉に、朔太郎は現実に戻されます。しかし

「ここに来るとまだアキがいるような気がするんだ」

 と大木に語る朔太郎は、過去を断ち切ることができるのでしょうか。そして、律子はなぜ高松を訪れたのでしょうか。2人が再び出会えた時、純愛の側面が明らかになります。

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