作品名 | 子猫をお願い(Take care of my cat) |
監督 | チョン・ジェウン |
制作年・製作国 | 2001年韓国作品 |
ソウルから電車で1時間ほどの近郊都市の高校の同級生だった、ヘジュ、テヒ、ジヨン、ピリュ、オンジョの5人。高校時代は毎日一緒になかよく過ごしていましたが、卒業して一年経った今、少しずつお互いの距離ができるのを感じ始めていました。
ヘジュは、大企業に就職し、洋服や美容にお金をかけ、アフターファイブにはお食事会、と華やかにOL生活を満喫。テヒは家業の手伝いをしながら、積極的にボランティア活動をしていましたが、将来については模索中。中国系の双子のピリュとオンジョは、チャイナ・タウンに二人で暮らし、アクセサリーの露店で生計を立てていました。一番成績のよかったジヨンは、グラフィックデザイナーになる夢を持ちながらも、今は無職。両親を早く亡くし、祖父母とバラック街で慎ましく暮らしていました。
バラバラになった5人でしたが、携帯電話のメールなどでまめに連絡を取り、近況を伝え合っていました。
ソウルの会社で働くヘジュは、朝早く通勤電車の中からメールを送り、
「まだ寝ているでしょうね。明日の夜、クラブで会いましょう」
自分の誕生日に、みんなを呼び出しました。その晩、久しぶりに五人全員が顔を合わせ、にぎやかにヘジュへのプレゼントを披露しあいます。
「携帯を準備して」
呼びかけに応えて、5人はバースデーソングの着メロを鳴らしながら歌ったのでした。プレゼントを買うお金のなかったジヨンが用意したのは、拾った子猫。その場では喜んだヘジュでしたが、その後ジヨンを呼び出し、手間がかかるから飼えないと子猫をつき返してしまいます。待ち合わせをしたのにすっぽかしたり、忙しぶって電話を切ったりと、これまでのヘジュの自分勝手なふるまいの数々、そして今回の仕打ち。ジヨンはヘジュを許せなくなりました。
「一カ月に一回くらい会わなきゃ、友情が壊れるわ」
ヘジュとジヨンの関係の悪化を知らず、5人を集めたのはテヒでした。ショッピングセンターで買い物しまくるヘジュとはぐれて、携帯電話で連絡を取り合います。
「どこにいるの?」
「あんたこそどこ?」
ヘジュと顔を合わせたくなかったジヨンは、先に帰ってしまいました。ヘジュとジヨンの仲が悪くなったことに気付き、テヒは2人の関係を修復させようとしますが、なかなかうまくいきません。生きる世界が違ってしまうと、友情は長続きしないのでしょうか。連絡も来なくなったジヨンにテヒは携帯メールを入れます。
「最近どうしてる? たまには連絡してね」
久しぶりに出すメールの内容は、日本でも韓国でも同じよう。携帯の使い方も日本で見かける光景と似ていて、五人の韓国の少女たちに親近感がわいてきます。何だってできる、どこにだって行けると思っていた二十歳の春。すれ違う友情と環境の変化の中で、5人はどのように現実に立ち向かっていくのでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.