USIMが“これから”果たす役割mobidec 2004

» 2004年08月26日 20時45分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 欧州では「70%のユーザーが扱ったことがある」という(U)SIM。国内でも、ドコモのFOMAやボーダフォンのVGSが利用しているが、とても海外ほどの認知度はないだろう。

 しかし今後は日本でもSIMに関する知識が必要になるかもしれない。「3G時代には技術的なタイムラグは最小。日本がベースで次は海外──は古い」(日本ジェムプラステレコム事業本部吉村晋一マーケティングディレクター)からだ。

欧州オペレータの課題「ブランド確立」をSIMで

ジェムプラスは世界の(U)SIMのシェア28%を持つトップクラスの企業。国内でもドコモやボーダフォンへUSIMを提供している

 8月26日に開催されたmobidec 2004で講演した日本ジェムプラスの吉村氏は、欧州を中心に(U)SIMの役割が増加しつつあると話す。SIMとは、契約者の電話番号が記録されたICチップで、GSM端末で利用されているほか、W-CDMA方式の3G端末ではUSIMとして標準採用されている。

 欧州では、日本と異なり端末はNokiaのようなメーカーから供給されるのが一般的。Vodafoneのような通信オペレータは(U)SIMだけを提供するという形を取る(8月6日の記事参照)。日本のようにキャリアブランドが前面に出た端末は多くない。

 その結果、欧州のユーザーに「あなたの携帯はどこのブランドですか?」と聞くと、Vodafoneと契約していても「Nokia」という返事が返ってくるのだという。

 激化する競争の中でオペレータはブランドを確立したい。その武器は、唯一自社から提供できる“モノ”である(U)SIMとなるわけだ。

(U)SIMの3つの可能性

 吉村氏が(U)SIMの可能性として挙げたのは3つ。1つは、(U)SIMにPINコードを設定して認証に使うということ。欧州では72%がSIMのPINコードを設定しているという。FOMAなどでもUSIMにPINコードが設定できるが、知っている人のほうが珍しいのではないだろうか。

 2つ目は、サービスプラットフォームとしての役割だ。SIMにコンテンツを入れて、携帯の画面で閲覧するといったことを指す。SIM内にゲームなどを入れることで、オペレータとしての差別化を図ろうというわけだ。

 次世代の(U)SIMではメモリ容量が1Mバイトまで拡大するほか、データ転送速度も400Kbpsと高速化されるなど、マルチメディアコンテンツも閲覧する気になる仕様になるという。しかしそれでも携帯のネットワークを使った通信に比べると見劣りしてしまう。

 そのためSIMへアクセスするJavaの拡張API「JSR177」を使うことが想定されるという。SIM内のデータをJavaでリッチに見せ「SIMカードの情報をJavaでビジュアライズ化する。またはSIMへの情報登録時にJavaを使う。iモードFeliCaと同じ考え方だ」(吉村氏)。

 3つ目は、デバイス管理の部分。弊誌の記事でも紹介したように、日本では買ってきた携帯に電源を入れればメールやWebなどがいきなり使えるのが当たり前だが、欧州では違う。設定が必要だ(8月24日の記事参照)。この設定をSIMが自動で行う役割を果たす。USIMによる「Plug-and-Play」というわけである。

 さらに携帯電話メニューのパーソナライズ化を、USIMに記録した情報で行ってはどうかという提案もある。設定やカスタマイズをUSIMを使って瞬時にセキュアに行おうというものだ。これは国内の現在の端末でも、導入のメリットがありそうな機能だろう。

 現在のところ、通信キャリアが自社ブランドで端末を販売している国内の現状では、USIMが果たせる役割は大きくない。認証用のチップとしてFeliCaなどが搭載されつつあることが、USIMの活用範囲をさらに限定する。

 しかし吉村氏が話す通り、W-CDMA方式の採用に伴い、今後欧米端末メーカー製の端末が国内でも増えていくことが予想される。ノキア・ジャパンが販売している「Nokia 7600」がそうであるように、欧米メーカー製端末はキャリアの束縛を逃れて自由に利用できるのが利点だ。そうした中では、国内でもUSIMが果たす役割がもっと注目されてもいいのかもしれない。

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