これが“携帯ならでは”のドラマの見せ方〜「横浜エイティーズ」

» 2004年09月30日 17時44分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 10月に番組改編を行うEZチャンネル(9月16日の記事参照)。その目玉となるのが、携帯オリジナルの連続ドラマとして製作・配信される「横浜エイティーズ」だ。

 ビッグコミック・スピリッツ(小学館)で連載されている人気コミック「東京エイティーズ」の、番外編という位置付けで、原作・脚本・監修は、コミック版の原作でおなじみの安藤夕馬氏が担当する。東京エイティーズで主人公の友人として登場する前田裕司と、その婚約者、仙道留美を主役に据え、横浜を舞台にストーリーが展開する。

 仙道留美を演じる木南晴夏さんと、前田裕司を演じる速水もこみちさん。原作のイメージにぴったりの配役で、速水もこみちさんについては、コミック版で作画を担当する大石知征氏が、「コミック用に彼をトレースしたい」とまで言ったそうだ

 1編あたり2分30秒ほどの長さで、全51話の連続ドラマ。毎週月曜日と木曜日に新しいストーリーが配信される。EZチャンネルの場合、新しいストーリーが配信されると古いストーリーを閲覧できなくなってしまうが、バックナンバーは、スカパーBB!での配信を検討している。

 この作品の特徴は、「携帯電話で見ることを前提」に製作している点。「これまではテレビ向けのものが携帯に、というアプローチだったが、権利のクリアや画面が小さい中での表現など、問題もある」(スカイパーフェクト・コミュニケーションズの執行役員、山崎宇充氏)。こうした事情から「携帯からテレビに持っていく」ことを見据えた作品製作に踏み切ったという。「メディアの多様化に向けた戦略の一環。ライフスタイルに密着した携帯で何ができるのかを探る」(山崎氏)。

 なお、最初に配信を開始するのはKDDIのEZチャンネルだが、「すぐに配信できる土壌があったのがKDDIだった。キャリアフリーで考えているので、他キャリアにも機会があったら出していきたい」(チーフプロデューサーの高瀬一弘氏)と、他キャリア展開にも意欲的。

 また、連載中のコミックとの連携についても「どこかでクロスするような仕掛けも検討中」(スカイパーフェクTV)と期待を持たせた。

マンガの1コマが、抜け出してきたようなドラマを

 “携帯発”の作品だけに、表現方法にもこだわったと監督の長江俊和氏。原作のオリジナリティを生かす「コミックのような動画」という撮影アプローチだ。「今回やろうと思っているのは、原作の構図やキャラクターを損なわないようにすること。原作の1コマこまが、抜け出したようなものが撮れればいいなと」(長江氏)。

 こうした作品作りのため、演じる側にも“いつもとは違う苦労”があるようだ。主役の1人、仙道留美を演じる木南晴夏さんは「(一般的な作品に比べて)アップが多い。首から下で演技しても伝わらないので、顔の演技が大変」と話す。

 このドラマは、「電車の中でコミックを読む感覚で楽しんでほしい」と長江監督。「1話の長さは2分半ほどで、見ている時間の長さは、週刊連載マンガの1話相当。電車の中でスピリッツを読むような感覚で見る作品になれば」(長江氏)。

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