開発者に聞く、液晶なしのツーカーSができるまでWPC EXPO 2004(2/3 ページ)

» 2004年10月21日 00時40分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 ツーカーSでは、携帯では一般的な誤動作防止のためのキーロック機能がない。「発信時には通話ボタンを押す」というルールを設けることで、誤って電話がかかりにくくしているのだ。通話ボタンは若干くぼませているので、意図せずに押されることは少ない。

Photo 側面から見たところ。上部と下部がわずかながら出っ張っている。「黒電話の“受話器”のニュアンスは残している」(上杉氏)

 もう1つの理由が面白い。ツーカーSではディスプレイ表示がないため「電池残量」「電波状況」などが表示できないが、これと前述の操作が密に結びついているのだ。

 ツーカーSでは電波状況・電池残量を確認するため、通話ボタンを押す必要がある。電池の持ちが十分で、電波状況が良好であれば、端末下方にあるインジケータが10秒ほど点灯する。

Photo 「電池」「電波」と書かれたインジケータ。状態が良好なら点灯する。「点きっぱなしにしようかと思ったが、電力消費の問題から見送った」

 具体的には、通常の携帯で電池表示が1本〜3本のときに点灯。0本で、ギリギリ残っているというときには点滅するようになっている。「点滅すれば、あと数分ぐらい話せるということ」。電池がなければ点灯しない。

 電波は、アンテナが1本〜3本で点灯。圏外ではないが0本で、アンテナマークだけが立っているような状態で点滅する。圏外では点灯しない。「ユーザーにすれば、アンテナ1本だろうが3本だろうが話せればいい」。表示方法は細分化しないよう気をつけたという。

 先ほどの「まず通話ボタンを押す」という設定は、まず通話できるかどうかを確認する――という意味合いもあるわけだ。電話をかけようと通話ボタンを押し、ランプの点灯を見て電池・電波とも問題ないことを確認。それから改めて番号をダイヤルしてもらうという流れになる。

 「ランプが緑なら、ゴーサイン。電話をかけられる。黒電話で受話器を持ち上げ、『ツー』という音を確認してからダイヤルするのと似ている」

 着信にもこだわりが見られる。

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