「1台でこと足りる端末を」〜Nokiaの端末開発戦略

» 2004年11月08日 16時22分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 Nokiaがモナコで開催した「Nokia Mobility Conference 2004」では、音声通話とSMS(用語参照)、MMS(10月8日の記事参照)にとどまらない携帯電話の将来像が打ち出された。複数の機能や無線技術が登場する中、携帯電話はどのように進化するのだろう。

 マルチメディア戦略についてNokiaのマルチメディア事業部リッチメディア・ビジネスプログラム担当副社長とリチャード・シャープ氏に、ネットワーク戦略について同ネットワークス事業部マーケティング・ディレクター、エサ・ハルユ氏について話を聞いた。

 リチャード・シャープ氏。「日本は(さまざまな機能を携帯電話にアグレッシブに搭載する)チャレンジングな市場。学ぶことも多く、もっと参加したいと思っている」


 エサ・ハルユ氏

「モバイルテレビ」は、メディアコンバージェンスの好例

ITmedia マルチメディア分野での取り組みについて教えてください。

シャープ氏 携帯電話は信頼できるパーソナルな端末です。1台に複数の機能があれば、複数台の携帯端末を持ち歩く必要がなくなります。これがマルチメディア事業のべースとなるコンセプトです。

 Nokiaの事業を見ると、イメージングではカメラ付き端末がヒットし、予想以上の成功を収めています(11月5日の記事参照)。ほかにも、ゲーム、テレビやラジオなどのリッチメディアなどの分野があります(11月4日の記事参照)

 テレビ分野では、モバイルテレビにコミットしています。先日発表した「Nokia 7710」は(11月4日の記事参照)、DVB-H仕様をベースとしたモバイルテレビのパイロットで使われる端末で、カバーを装着してテレビ番組を受信します。Series 60でも、モバイルテレビ機能をサポートする予定です。Series 60のユーザーは多いので、これが実現すればオペレータやテレビ局、コンテンツプロバイダなどにとって大きな意味を持つでしょう。

 「Nokia 7710」はモバイルテレビのパイロット端末でもある

ITmedia モバイルテレビの実現の見通しは?

シャープ氏 2006年を目標に、Nokia1社ではなく、放送局やオペレータなどと協力しながら進めています。“デジタルコンバージェンス(統合)”の良い例です。メディア、端末ベンダー、テレコム、ITベンダーが関係しており、全員がコンシューマーのニーズを革新しています。

 テレビ番組はDVB-Hをベースとしたネットワークでブロードキャストされ、セルラーネットワークがあることで、課金やインタラクティブなサービス、アクセス制限が可能になります。モバイルテレビは3Gにとって補完的なサービスとなり、オペレータにはARPU増加のチャンスとなるでしょう。

2004年は3G元年

ITmedia 世界的に3Gの導入が始まっているようですが(5月26日の記事参照)、状況をどのように見ていますか?

ハルユ氏 3Gはドコモがいち早く開始し、欧州や一部アジア地域でHatchisonの「3」が先駆者となりました(1月28日の記事参照)。現在世界で約50のオペレーターがサービスを開始しており、年内にこの数は60になると見込んでいます。そういった意味で2004年は、3G本格スタートの年となるでしょう。また欧州では、クリスマス商戦で3G端末が売れた年としても記憶されることでしょう。

 3Gが成功するためには、ネットワーク技術と端末が必要です。日本では、3GPP標準が固まる前にドコモがネットワークを敷き、体制を整えたので成功したと思います。それ以外の国では状況は異なります。欧州では、昨年まではオペレーターが財務的に厳しい環境にありました。今では各社の財務状況は回復しており、3Gネットワークに投資を行っています。このように3Gネットワークは着実に広がっており、端末も揃いました。3G離陸のための環境は整ったといえるでしょう。

 現在、世界の3G加入者は1000万人で、多くはドコモの加入者です(10月29日の記事参照)。来年にはVodafoneやOrange、3など他社の加入者も加わり増加ペースは大きく上向くと見ています。その点では非常に楽観視しています。

WiMAXは、W-CDMAやHSDPAを補完するもの

ITmedia Nokiaは今年中ごろ、WiMAX Forumに再加入しました(6月18日の記事参照)。WiMAXはモバイル業界にどのような影響を与えるのでしょう?

ハルユ氏 WiMAXは技術ポートフォリオの1つで、モバイル技術というよりブロードバンド無線アクセス技術です。WiMAXが実現しようとする技術はダウンロード速度の速い接続技術で、モビリティではありません。屋根にアンテナが必要で、基本的にはアクセス中に端末を動かすことはできません。

 IEEEの802.16eではある程度のモビリティの要素が加わる見込みで、Nokiaはこの標準化策定作業に参加しています。

 今後市場にどんな可能性があるのか、動向を見ていきます。最大のメリットは、ライセンスされていない周波数帯を利用できるという点になるのかもしれません。国際ローミング、完全なモビリティを提供するW-CDMAやHSDPAを置き換えるのではなく、(WiFiのように)補完する技術になるでしょう。

ITmedia WiFiやWiMAXなど、GSM、GPRS、W-CDMA以外にさまざまな無線技術が出てきていますが、携帯電話メーカーとしてのNokiaはどのような戦略ですか?

シャープ氏 Nokiaのマルチメディア戦略はマルチ無線技術をサポートしていくことでもあります。WiFiはコミュニケーターの「Nokia 9500」(3月19日の記事参照)でサポートしました。W-CDMAは、日本でも提供する「Nokia 6630」(10月19日の記事参照)「Nokia 7600」(8月20日の記事参照)などを揃えています。さまざまな製品ポートフォリオを揃え、各種無線技術をサポートする──。そんなビジョンを持っています。

 大切なことは、ユーザーがどんな場面でどの技術を望むかです。Nokia戦略の中でユーザーは中心にあります。われわれはオペレータと共にユーザーの行動やニーズを理解し、それに応える端末を市場に投入していきます。この際、優れたユーザーエクスペリエンス、使いやすさは重要な要素となります。口で言うと簡単ですが、チャレンジングな課題です。

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