ドコモ、「901i」で800MHz対応果たせず

» 2004年11月25日 18時33分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 FOMA 901iで800M/2GHzのデュアルバンド対応を目指していたドコモだが、今回端末側での対応は果たせなかった。「総務省からの800MHz帯の割当方針が決まっていないため、今回のものは非対応とした」(ドコモ)。

 現在2GHz帯を使ってサービスしているFOMAだが、同社は昨年末から800MHz帯を使ったFOMAサービスを準備してきた(2003年11月25日の記事参照)。2GHz帯のひっぱくが予想されるのに加え、800MHz帯のほうが電波の浸透率が高いため効率よくカバーエリアを広げられるためだ(11月4日の記事参照)。特に基地局密度の薄い地方部で効果が高いため、地方部を中心に800MHzをFOMAに利用していく計画だった。

 端末側は800MHz/2GHzのデュアル端末とし、両周波数を利用する計画で進めてきた。予定通りいけば、そろそろデュアルバンド対応端末が出てきていいタイミングだった。

800MHz帯対応に、突如の黄信号点灯

 800MHz対応がいったん停止した背景には、既定路線だった既存事業者への800MHz帯再割当に待ったがかかったことがある。

 デュアル端末開発も順調に進んでいたであろう今年9月、800MHz帯を既存事業者に再割当する総務省方針にソフトバンクが猛反発(9月4日の記事参照)。割当実施の差し止めを求める行政訴訟を起こすなど(10月13日の記事参照)、800MHz帯がすんなりと利用できない状況に追い込んだ。

 800MHz帯のFOMA利用は、2012年までに行う再編案に基づいたもの。「5MHz幅×2を2006年度までにFOMAに使いたい」と公式にアナウンスしており、上り/下りも国際標準にそろえる。つまり800MHz帯再編が総務省案に沿って行われることが前提となる(11月8日の記事参照)

 800MHz帯を901iが使えなくなったことで、ユーザー側のメリット・デメリットはどうか。まず800MHz帯を使うといっても、あくまでW-CDMA方式でのサービスだということは把握しておきたい。つまり「N2701」のようなムーバとFOMAのデュアルモード端末ではなく、利用できるネットワークはFOMAのみとなる。

 そのため800MHz帯を使っても大幅にエリアが拡大することは考えにくい。ただし地方部などで2GHz帯の電波が届かないところでは、多少のエリアの違いが発生する可能性もある。ドコモは、「(800MHz帯の利用は)あくまで通信品質の問題」としている。


 FOMAが800MHz帯を利用できるのはいつなのか。「総務省が出す方針に従って、(800MHz対応の)時期を決めたい」というのがドコモの現状のスタンスだ。

 しかしFOMAユーザー数は同社の予想を上回る伸びを見せており、2005年末にはPDCのユーザー数と逆転すると見積もっている(11月8日の記事参照)。W-CDMAはPDCに比べて周波数の利用効率がいいものの、パケット定額制サービスなどの導入により通信量はうなぎ登りに増えている。一刻も早く800MHz帯をFOMAに利用したいのが実情だろう。

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