“ドコモを徹底的に真似た”のが、成功の秘訣フランスのiモード事情(後編)

» 2004年12月02日 17時31分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 着実に加入者を増やし、欧州iモードの中でも“成功例”として挙げられることが多い仏Bouygues(12月1日の記事参照)

 iモード部隊を率いるブノワ・ルヴェ氏(マルチメディアモバイル iモード本部長)に、導入から現在に至るまでの過程と成功の秘訣を聞いた。

 2カ月に1度は日本に行くというBouyguesのルヴェ氏。「日本は大好きな国」だという。Bouyguesは、ユーザー数ではOrange、SFRに次ぐ第3位の通信事業者。シェアは15%前後だ

日本のiモードユーザーに感動、導入を決意

 そもそも、どうしてBouyguesはiモードを提供しようと思ったのだろうか。ルヴェ氏は「マルチメディアサービスを提供しようとなったときにiモードを検討した。世界で最高のモバイルマルチメディアサービスと思ったし、この意見はいまでも変わらない」と話す。日本を訪問したBouygue Group会長のマーティン・ブイグ氏が、街頭で小さなケータイの画面に向かっている日本のiモードユーザーを見て感動し、「同じものをわが社でも!」と命じたというエピソードも教えてくれた。

 ルヴェ氏はiモードの提供が決まった当初から、Bouyguesのiモードチームを率いてきた立役者(日本でいうとドコモの榎啓一常務取締役や、マルチメディアサービス部長の夏野剛氏のような存在だろうか)として世界的に知られている。そのため日本以外でiモードを展開するオペレータ各社からアドバイスを求められることも多い。先日もイスラエルの担当者とやりとりをしたばかりだ。

人員構成の比率までドコモと同じに

 成功の秘訣は「“ドコモに学べ”の一言に尽きる」とルヴェ氏。iモードの採用を検討した際、iモードが機能するためにはiモードの経済モデル(エコシステム)が不可欠と学び、まったく同じ体制をフランスでも構築することを心がけた。同氏が率いるiモードチームの人員構成や比率までもが、ドコモと同じだという。

 「iモードは技術をシンプルに、容易に、安価で提供したから成功した。これを再現するには、同じモデルでなければ無理」(ルヴェ氏)。社員にも、なにか困ったことや分からないことがあれば“ドコモに学べ”という意識を徹底させている。

 Bouyguesショップにて。ショップでiモード担当スタッフは、iマークの入ったトレーナーを着用。スタッフの教育にも力を入れている

 通信事業者が主導するiモードモデルは、端末メーカー主導が主流だった当時の欧州モデルとは異なるものだった。そのため、当初は端末供給について欧州系端末ベンダーとやりとりするのに苦労したという。現在ではドコモがiモード対応端末の開発について、欧州系を含めた多くの端末ベンダーと関わるようになった。そのためBouyguesとしてもラインアップの拡充がしやすくなったという。

 マーケティング戦略としては、“ポケットに入るインターネット”というフレーズを常にiのロゴとともに並べ、「シンプル」「簡単」「動く」の3つのメッセージを伝えるようにしている。

 ユーザー啓蒙はいまだ課題。機能別にパンフレットを用意した。iモードを紹介する雑誌「i-mode mag」は隔月発行。無料で配布している

他社は早く競合できるコンテンツを提供してほしい

 Orangeの「Orange World」、SFRの「Vodafone live!」といった、他事業社が展開するサービスとの競合については、「まだ競合とは呼べない状態」だと余裕の表情。「(2社には)競えるレベルのものを提供してほしい。それが、全体としてのユーザー啓蒙につながる」。ルヴェ氏はまた、「コンテンツプロバイダはみな、iモードモデルを好んでいる」ともいい、iモードのエコシステムがフランスでも機能していることを強調した。

 今後の展望についてルヴェ氏は「年内に100万ユーザー獲得を目指す」と明言。11月には年末商戦に向けにカメラ付きの「N401i」などの端末を投入した。ターゲットユーザーは女性。年齢層では10代後半を狙う。N401iは赤、青、シルバーと3色展開、折りたたみ式と女性にアピールするデザイン。新サービスの着うた、着モーションも女性ユーザー獲得につながりそうだという。

 端末ラインアップは常時5〜10機種揃っている程度がベストと見ており、来年以降は新しい端末ベンダーも加わる予定。3GサービスのUMTSは「まだ先」だという見方で、来年にはGSMの発展形であるEDGE(用語参照)サービスを開始する。当分の間はEDGEとiモードに注力する方針だ。

 実際、iモードはこの2年で着実に認知を得ている。仏大手携帯端末ショップPhoneHouseの店員も、「他社のサービスと比べ安くて速い。コンテンツが多いから人気がある」と説明していた。日本発のビジネスモデルは、少なくともフランスでは認められたといえそうだ。

ゲームが予想外の人気コンテンツに

 iモードを展開していて驚いたのは、予想を超えるゲーム人気だとルヴェ氏。約1年前に開始したゲームは、当初試験的に最初の2カ月を無料にしたところ、予想を上回るアクセスがあったという。

 この夏にはBouyguesオリジナルのiモードサービスとして、動画サービスも登場した。スポーツやニュースなどの動画クリップのほか、対応端末で撮影した動画をメール送信可能にするサービスを提供している。ルヴェ氏のチームにとっては初めての前例なきプロジェクトとなったが、このときも、「ドコモならどうやるだろうか」と顧客主導の姿勢を追及したという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月28日 更新
  1. 「楽天モバイルWiFiスポット」を試してみた 屋内通信の不満解消へ期待も「接続性」に課題 (2026年07月26日)
  2. 夏の暑さ対策グッズでよく見掛ける「ペルチェ素子」ってなんだ? 賢く使うための注意点も (2026年07月27日)
  3. 日本通信、ドコモの音声網相互接続で設備工事や接続試験が完了 「ネオキャリア」に前進 (2026年07月27日)
  4. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  5. UQ mobileとY!mobileの「セット割なし」新割引を比較 ahamo、LINEMO、楽天モバイルよりもお得? (2026年07月27日)
  6. 気温35度以上のハンディファンは「逆効果」 猛暑を安全に乗り切る使い方と2026年おすすめ5選 (2026年07月27日)
  7. 折りたたみスマホ「OPPO Find N6」を3カ月使って実感した“真価” 仕事とプライベートで大活躍 (2026年07月26日)
  8. 「Xperia 1 VIII」に23万円超の価値はある? 大刷新のデザインとカメラ、“ソニーのこだわり”に迫る (2026年07月28日)
  9. なぜ「LINE VOOM」は嫌われたのか 保護者を悩ませた“子供たちの抜け道” (2026年07月24日)
  10. 界面活性剤とマイクロファイバーでタッチパネルをきれいに! ダイソーで220円の「スクリーンクリーナー」を試す (2026年07月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー