携帯フィギュアといえば、これまでドコモのものが有名だった。しかし6月20日から、新たに「auケータイフィギュアセレクション」がコンビニなどの店頭に並ぶ(4月27日の記事参照)。両キャリアのライバル関係そのままに、フィギュアの世界でも「よりリアルに」「より精巧に」を目指した戦いが繰り広げられている。
ドコモのフィギュアを製作したのがマイタンであるのに対し、auフィギュアを販売するのはミニチュア製作を手がけるヨーデル。そのヨーデルとともに、製品の企画・開発を行ったシー・エム・ランドの木田茂男氏に、auフィギュアの特徴、ポイントなどを聞いた。
木田氏は、フィギュア企画のきっかけを「もともと携帯が好きだったから」と話す。
「ドコモのフィギュアを意識していない……といえばウソになるが、『ドコモがあったからauも』ではない。デザイン的にもau端末のほうが個性があり、作りがいがあるかなと思った」
企画をスタートさせたのは、2004年10月頃のこと。その後、年明けになって正式に企画が決定する。フィギュア化する機種は「2004年の秋冬モデル」と決め、まず5機種について開発を開始した。このとき注意したのは、ひたすらリアルさを追及することだったという。
木田氏の熱意は、たとえば端末キーの部分に現れている。フィギュアをよく見ると、本体とは別パーツとして端末キーが用意されている。両者をはめ合わせ、一台の端末を組み立てる構造だ。
液晶面もこだわった。単に「表面にイラストを貼り付けるだけ」ではなく、別パーツのクリアディスプレイを用意し、クリアディスプレイと本体の間に液晶面を表現した紙を挿し込むスタイルをとっている。
当初液晶面のイラストは、のりでクリアパネルに貼ろうと考えたが、これでは“のりの層”ができてしまうことが判明。紙のサイズを計算して、うまく枠にはめこんで固定できるよう工夫するなど、試行錯誤を重ねた。
「手間もコストもかかるが、よりよいものを目指すべきだと考えた」
もちろん、基本の部分もしっかり押さえている。プリントの文字は極細になっており、40%スケールでありながら字がつぶれていない。全体の造形も実機から3Dの図形を起こして制作しており、「機械で彫っている。ただそれでは細かい線は出ない部分もあるので、さらに職人が線を引いている」。
色みにもこだわった。
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