“N”FOMAのターニングポイントになる──開発陣に聞く「N901iS」(2/2 ページ)

» 2005年06月22日 17時26分 公開
[後藤祥子,ITmedia]
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iモードでできないことを補う──フルブラウザ

NEC モバイルターミナル事業本部商品企画部の岡本克彦主任

 新たに搭載したフルブラウザ(5月26日の記事参照)のコンセプトもユニークだ。「iモードでできないことをフルブラウザで補うというコンセプト。“はじめにフルブラウザありき”という発想ではない」(岡本氏)。ブラウザはACCESS製の「NetFront」を採用。「iモードブラウザとエンジンとしては同じ。インタフェースも同じにしているので、フルブラウザであることを意識せずに使える」というのも特徴の1つだ。

 そこには、これまで携帯ビジネスを支えてきたiモードとフルブラウザを共存させたいという思いがある。「iモードという携帯に最適化されたサービスありきでフルブラウザを考えたい。iモードサイトを見ていて、たまたま見られなかったものを、簡単にフルブラウザに切り替えて閲覧できるようなイメージ。2つのサイトの親和性やシームレスな切り替えという点にこだわった」(岡本氏)

 例えばiモード向けかPC向けか分からないURL入りメールが送られてきた場合、それがPC向けのサイトだとレイアウトが崩れてうまく表示されないことがある。こんな時、N901iSではサブメニューからフルブラウザに切り替えられるので、URLを入力し直す必要がない

 「PCのサイトは、画面が大きいPCで見るのが一番見やすい。それを“全部携帯で見よう”というのではないと思う。iモードで閲覧できないサイトを携帯で見たり、時間や場所の制約でPCがない環境の時に携帯で見るなど、携帯の使い方を拡張していく位置付け。iモードゲートウェイを通して、PCサイトの情報もかいま見れるという感覚で使ってもらうことを想定した」(溝口氏)

 機能を用意する上で意識したのは“携帯+フルブラウザ”ならではの機能だ。携帯カメラで撮った写真をブログなどにアップできるようにしたのもその1つ。逆にダウンロードについては、Web表示された画像の取り込みやコンテンツのダウンロードはできない。

 画面表示は等倍(PC表示モード)と通常(携帯モード)の2つを用意。ニューロポインターを使えば、マウス感覚でスクロールやリンクのクリック操作が行える。ページアップ、ページダウンはサイドキーにも割り当てられているが、「進む」「戻る」はメニューキーから行う

液晶とカメラにもこだわり

 N901iSに搭載された液晶は、普通のQVGAに比べて縦に25ピクセル長いQVGA+と呼ばれるもの。サイズもN901iCの2.3インチから2.5インチへと大型化が図られた。

 サイズだけでなく、液晶のクオリティも向上した。「N901iCなどの従来端末に比べて、色表現の範囲を示す色度域が1.5倍に、コントラストが1.5倍に向上している」(岡本氏)。色表現の向上は一言でいうと、使える色のパレット数が増えたということ。コントラストの向上との組み合わせにより色再現性が向上。輝度を上げながら青、赤、緑の原色が鮮やかに表現されるという。「色度域は約72%を実現し、最新ノートPCや液晶テレビに迫るレベル」

 カメラもNEC端末としては初めてオートフォーカス機構が付くなど、強化された部分だ。カメラ機能の進化ポイントは「いかに簡単にきれいに撮って、大画面で楽しめるか」(岡本氏)

 ユーザーインタフェースが一新され、メニューをたどる必要なく各種設定を行えるようになったほか、前回終了時の設定状態の保存、任意のユーザー設定値の保存、保存先フォルダの事前設定も行えるようになった。

ユーザーニーズの多様化に、どう対応するか

 ムーバ時代の“N”は、ダントツのシェアでトップの座を守り続けてきた。しかし、ユーザーの趣味嗜好が多様化する中、「横綱相撲をとれる時代ではない」というのが、溝口氏の見方だ。

 「チャレンジャーとして、新しいアプローチを図っていく。従来から継承されるべき使いやすさや質感はそのままに、新しい流行やセンス、技術を取り入れた端末開発を目指す」(溝口氏)

「Star Wars」の着メロで3Dサラウンドに驚く

 N901iSには季節柄なのか「StarWars」の3Dサラウンド対応着メロが入っている。これがなかなか迫力の音で驚かされる。曲が始まると、耳元でR2-D2のピコピコ声が聞こえ、その後もレーザー音が右へ左へと飛び交う。

 和風テイストの「鹿威し」もいい。水の流れる音が、気持ち悪くなるくらい耳元でリアルに響き、最後に「カコーン」という音で締めくくられる──という粋な感じだ。もちろん、人気のヒヨコ(2月24日の記事参照)も入っている。N901iSを購入したユーザーは、試してみよう。

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