4Gは世代交代?──ドコモとKDDIの違いワイヤレスジャパン2005

» 2005年07月19日 00時00分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 3Gも普及期に入りHSDPAなどの3.5Gも目前。無線ネットワークの話題はWiMAXやiBurst、スーパー3G、そして「第4世代」(4G)といった次世代通信方式に移りつつある。その中で4Gについてとなると、各社の考えは違う。ワイヤレスジャパン2005の講演では、ドコモとKDDIで次世代ネットワークに対する考え方が大きく異なることが見えてきた。

無線アクセス技術の進化(KDDIスライドより)

スーパー3Gは、4Gの“お膳立て”

 2Gから3Gへとネットワークが置き換えられたように、再度4Gで新しいネットワークを構築する──。ドコモは、次世代ネットワークをそのように捉えている。

 では、3GのFOMAで味わったようなネットワーク移行の苦しみを、4Gで再度経験するのか? 実は、この「3Gと4Gのギャップを埋める」(IP無線ネットワーク開発部長の尾上誠蔵氏)ために開発されているのがスーパー3Gだ(7月15日の記事参照)

 30M〜100Mbpsという速度など、スペックに注目が集まることが多いスーパー3Gだが、実は「(スーパー3Gが生まれた)元々の考えは、いかにスムーズに4Gに移行していくか」(尾上氏)だ。

 そのためスーパー3Gでは、無線アクセスネットワーク部分(Radio Access Network:RAN)に4Gと同じものを使うというシナリオをドコモは描いている。周波数帯こそ3Gと同じ2GHz帯を使うが、コアネットワークやRANはそもそも4Gと共通。「エアインタフェースの変更のみで4Gを追加できる。スーパー3Gを入れたときに準備をしてしまって、4Gをスムーズに導入する」(尾上氏)のが狙いだ。

スーパー3Gは、周波数帯は3Gと同じだが、ほかは4Gと共通。4G導入のお膳立てをする役割を担う

「4Gと呼んでいるのは日本だけ」──KDDI

 一方でKDDIは、4Gの導入自体を疑問視する。「第4世代──4Gというのは、日本だけの呼称」と言うのは、ワイヤレスブロードバンド開発部の要海敏和氏だ。

 そもそも3Gは「IMT-2000」という名称が付いている。その延長線上に出てきたITU-R勧告が「Beyond 3G」と呼ばれるものだ。Beyond 3Gは、以下の2つの要素からなっている。

名称 概要
New capabilities of System beyond IMT-2000 100Mbps/1Gbpsの速度。追加の周波数
Relationship of IMT-2000、systems beyond IMT-2000、and other access systems 異なるネットワークに渡る連携

 ドコモは、この「New capabilities of System」として開発中の新無線方式を、4Gと呼んでいる。下記の「VANダイアグラム」は同じくITU-R勧告によるもので、4Gを語る時に必ず出てくる図だ。しかし、図の解釈はドコモとKDDIで異なる。

ドコモが示した図版より。低速から高速まですべてをカバーする新無線方式が4G。そこへの世代交代を想定

 「ここを4Gと呼んで、開発を進めている」とドコモの尾上氏。開発中の無線方式も、VANダイアグラムが示す低速時1Gbpsと高速時100Mbpsを目標とした結果、決まってきたものだ(6月23日の記事参照)

KDDIが示した図版より。新しい移動通信システムの速度はまだ決定していないというスタンス。低速時は無線LANやWiMAX、高速時は携帯ネットワークを使い、それらを組み合わせる部分に力点が置かれる(7月15日の記事参照)

 「3Gで2Gを巻き取ったように、(4Gで)また新たな世界が生まれるのか。そうは考えていない。(VANダイアグラムは)統合型のネットワークだという理解をしている」とKDDIの要海氏は話す。第4世代という言葉はなく、世代交代も起こらないという認識だ。

 ITU-Rでいう「New capabilities of System」では、新しい周波数帯の利用が前提となるが、ここに対するスタンスも異なる。ドコモは、「スーパー3Gはあくまで3G。4Gは、4G用の新たな広帯域な周波数割当を期待」とする。反面KDDIは、「beyond IMT-2000の周波数の分配や特定は、ちょっと不透明なところが見え隠れしている」とした。

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