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» 2005年08月23日 20時47分 公開

第三勢力の台頭と「ホリエモン携帯」の現実味モバイル戦国時代(第3回)(1/3 ページ)

最終回は、ドコモや新規事業者の影にある「第三勢力」を扱う。平成電電、アイピーモバイル、YOZAN、ライブドア。いずれも虎視眈々とチャンスを狙っている。

[杉浦正武,ITmedia]

 激動する移動体業界をまとめる「モバイル戦国時代」、最終回はNTTドコモ、新規事業者の対立の影にあって主役の座をうかがう「第三勢力」たちを扱う。

 本稿でいう第三勢力とは、“携帯事業”を行うとは明言していないが“モバイルデータ通信”の提供を予定しており、将来的には音声通話サービスにも進出してきそうな事業者を指す。具体的には平成電電、アイピーモバイル、YOZAN、ライブドアといった事業者がこれにあたる。いずれも、虎視眈々とチャンスを狙っている。

勇躍、WiMAXに踏み込んだ平成電電

 まず注目株なのが平成電電だ。既にドリームテクノロジーズと組んで、WiMAXとWi-Fiを組み合わせたサービスを発表している。

 全国に15万〜20万カ所のアクセスポイント(AP)を設置し、これを平成電電の光ファイバーバックボーンに接続する計画(7月5日の記事参照)。当初はデータ通信サービスを展開するが、将来的にはVoIPサービスも視野に入れているようだ。

 WiMAXといえば、多くの事業者が注目する無線通信技術(7月4日の記事参照)。しかしサービスの開始時期、具体像をここまで明示した事業者は、平成電電が初めてとなる。

 過去に固定通信の分野でも、現在KDDIやソフトバンクが力を入れる「回線直収型電話サービス」(2003年4月2日の記事参照)にいち早く取り組んだのは、ほかでもない平成電電だった。「WiMAXの開拓者」として、先行者利益を確保できるかがポイントになる。

2GHz帯レースで先行? アイピーモバイル

 TD-CDMAを旗印にモバイルデータ通信市場に挑むのが、アイピーモバイルだ。昨年、ソフトバンクとイー・アクセスが相次いでTD-CDMAからFDD方式のCDMA通信に「鞍替え」したが(2004年12月27日の記事参照)、アイピーモバイルは一途にTD-CDMAで事業展開を考えている。

 現時点でサービス概要は不明だが、アイピーモバイル支持者にとって嬉しいニュースもあった。総務省が7月末に発表した、2GHzの割当方針がそれだ(総務省の報道資料参照)

 それによると、総務省は2GHz帯で「ITUで国際標準とされた第3世代移動通信システムを導入する」と明言。「(特定事業者の)基地局の開設計画の審査の結果……(中略)計画の適切性、計画実施の確実性などの要件を満たす申請者が存在しない場合」に、IMT-2000以外のシステム導入も検討するという。

 2GHz帯の割当に手を挙げると見られるのは、アイピーモバイル、ウィルコム、ライブドアの3社。しかし、3G採用を表明しているのはアイピーモバイルだけだ。

 総務省の表現をどうとるかは微妙だが、素直に考えれば「アイピーモバイルが問題なければ、アイピーモバイルで決まり」と読める。2GHz帯獲得レースでは、アイピーモバイルが一歩リードといえそうだ。

YOZANは「コンシューマサービス」を放棄

 平成電電と同じく、WiMAXでの事業展開をうたうYOZANだが、こちらは現実的なサービスを選択した。当初、PHSをWiMAXに置き換えたコンシューマーサービスを展開するのかと見られていたが、「ワイヤレスジャパン2005」会場でこれを明確に否定している(7月13日の記事参照)

 「コンシューマー事業をやりぬく体力がない。VNO事業者に対して回線を提供し、黒子に徹する。プラットフォームベンダーとしてのYOZAN」(YOZANの高取直社長)

 VNO、とはモバイル戦国時代の第1回で出てきた「MVNO」(Mobile Virtual Network Operator)の“Mobile”をとったバージョンのこと。YOZANのサービスは当初モバイルサービスではないため、このような表現になる。

 サービス例としては、地域の通信事業者に回線を卸売りしたり、中小規模の企業向けに無線網を構築したりといったモデルが挙げられている。より具体的な内容はVNO事業者次第……ということになるが、どこか派手さを欠くサービスになってしまった感は否めない。

 YOZANがトーンダウンしたのと入れ違いに、話題性を高めてきたのがライブドアだ。

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